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   第五話  捜索開始と戦闘開始




    ◆   ◆   ◆   ◆   ◆



 俺達は山道の入り口付近に到着。各々で戦闘の準備を始める。ジークの特異能力(シンギュラースキル)で見た情報だと、登山にはならないほど山道の入り口に近い。それに山道は幅広で、山道の入り口近くにいるのなら簡単に見つかると思うのだが。



「なんか視線を感じるんだけど……」

「え?いきなり?俺には感じないけど。考えすぎじゃ…いや、なんか俺も感じる」

「え?私達には…」

「僕達には感じないけど」

「うん」



 視線を感じる俺と優花。一方で視線を感じないサリスとジーク、そしてクラリ。今回の場合はただの視線じゃない。魔力によるもの。考えられるのは魔獣。だから違和感というのはなかった。



「本当になにも感じないのか?」

「うん」

「そうだね」

「私もです」

「気のせいなのかな…。でも優花も感じてるわけでしょ?」

「うん。そうなん……――――」



 優花が最後まで話そうとしていた直後、後ろから大きな影が現れた。さっきまで遠くで感じてはずの視線の正体。その影の形は大きい犬だった。オオカミか。



「優花!危ない!」

「えっ…?」



 俺は優花を無理やりこっちに引き寄せて俺の後ろに移動させ、その反動で前へ出る。



「ガアアァァ――――ッ!」

「この野郎――!」



 俺は身体強化の能力を発動させて、拳で顎に一発。アッパーを食らわせてやった。って…



「いってえ!」

「仁也。血が」

「あいつの顎が岩みたいにゴツゴツしてて頑丈だから…」

「仁也!」



 と、余裕かまして油断してるとまたさっきのやつが襲ってきた。



「やっぱ気絶しないか」



 俺は剣で応戦したいところだが、不意打ちとなると収納魔法で剣を取り出す時間がなかった。対抗できるのは拳だけだ。



「これならどうだ!」



 まだ身体強化はされているのでそのまま再びアッパー。学習能力がないのか以外にあっさりと攻撃が入った。

 そしてアッパーで宙返りしそうな状態で、俺に腹を見せているオオカミ。隙あり!



「おらっ!」

「ギャッ……!」



 俺は正面にあったオオカミの腹を拳で殴る。

 オオカミはそれに()術術(すべ)なく後方に吹っ飛んでいき、木々の中に消えていった。



「ああ。終わった…」

「大丈夫?右手?」

「い、いや。あの岩みたいな肌は尖ってたし…。かなり深い傷かも…」

「あの…それなら私が…」



 少し自信なさそうに手を挙げるクラリ。



「クラリシアは、治癒魔法などのサポート系の魔法が得意なんだ」

「へえ~。そうなんだ。じゃあ。お願いするよ」

「わ、わかりました」



 俺は右手の甲を前に出して、クラリはその近くまで来て目の前で手を広げた。

 クラリの手には魔法陣が現れた。



「【治癒魔法発動 ヒーリング】」



 傷が見えないほど血が溢れて激痛が走っていたが、その痛みは段々と消えていくのがわかった。



「これで傷は塞がったはずです」

「ホントだ。痛くない」



 俺は血の付いた右手を水魔法で発現させた水で洗い流した。洗い流している最中、右手の甲は傷一つなく本当にあったのかと疑ってしまうほどだ。


「ジーク。あれって魔獣だよな?」

「うん。ロックウルフだよ。名前の通り土属性の魔獣、かな」

「なんか曖昧な言い方だけど、どうしたの?」

「いや。なんというか…一匹だけっていうのが気になって。こういうのって群れてるのが多いから。前例がないわけじゃないんだけど」


「群れからはぐれたんじゃないの?」

「う~ん。それが妥当だと思うけど…」

「そんなに深く考えることか?」


「うん。ロックウルフは魔獣で集団行動に長けてるけど、一匹だと無力。魔獣だってバカじゃないから、孤立した状態で進んで敵に立ち向かおうとはしない。群れを探す。もしくは群れがあれば戻る。だけど今のロックウルフは一匹で襲ってきた。本能に逆らってる」



 俺は魔獣に関して細かい情報は知らないからなんとも言えないが、さっきのロックウルフが違和感だったってのはよく伝わる話だった。



「でも、私はそんなに気にすることじゃないと思う。どちらかといえば、今は女の子を探さないとだし」



 優花の一言。言っていることは正論だった。



「てかさ。ホントにこれ大丈夫なの?」



  サリスが急に俺達に投げかけた疑問。

 それに対してジークが反応する。



「え?」

「だってさ。どう考えたっておかしくない?こんな山の中に女の子がいるなんて」

「まあ。そうだけど…」


「でも、今のところはおかしなところもないし。ジークの特異能力(シンギュラースキル)でここにいるってわかったからいいんじゃない?サリス」

「優花がそう言うんだったら…」



 なんか優花が凄い存在に見えてくるなあ…。ただ単にサリスの(へき)かもしれないけど…。



「じゃあ。女の子のいる辺りはここだから探そう」」

「「「うん」」」

「おう…って。また【魔力探知(マジカルサーチ)】使わないの?ここで使えばさらに正確に場所がわかるじゃん」

「無理」


「なんで?」

「さすがに頻繁には使えないよ」

「頻繁って、一応時間は空いてるけど」


「まあ。使えなくはないんだけど、使う度に反動がどんどん強くなってくるんだよ。それにこれから戦闘だってするかもしれないから。温存しておくことも大切だし。ある程度は場所わかってるから」



 ジーク先を見据えた考えを持っていた。そして、自分のことをよく理解していた。強要することもないし、納得できる。ジークのことはジーク自身にしかわからない。



「そうか。ジークに負担掛けるわけにはいかないよな。すまん」

「別に謝ることは…」

「はいはい。男子二人が仲いいことがわかったから。早く探そうね」

「そうです!」

「そうそう」



 俺達がそう話しているとそう遠くないところから遠吠えが聞こえた。



「ワオオオ――――ン」



 遠吠えは山に木霊して聞こえる。辺りの木から小鳥が慌ただしく飛び立っていく。急に辺りが騒がしくなった。



「ねえ。今の遠吠えって」

「もしかしたら、さっきのロックウルフの群れかも」

「え?だってあれは一匹…」

「いや。あの状況からだとそう考えるけど、遠吠えが聞こえたってことは群れの偵察係かもしれない」

「ええ…」


「正直言って僕も面倒くさいとは思うよ。たぶん、仁也が吹き飛ばしたロックウルフが報告したんだと思う。群れのボスに」

「てことは、ここ。バレてる?」

「うん。たぶんロックウルフを倒さないと女の子は探せない」



 そう言ってジークは剣を構えだした。俺達も同じように剣を取り出して構える。けど、ここで俺達全員が固まるように立ち往生してたら時間の無駄になる。



「ジーク。俺は女の子を探していいか?」

「そうだね。仁也一人だと心配だから…」



 どういう意味で心配か気になるが。



「私がいく!」



 堂々と声を上げて挙手したのは優花だった。



「そうだね…。お願いするよ」

「任せて!」



 そう言って俺のほうに少し寄ってくる。ジーク側にはサリスがいるから心強いな。



「仁也一人だけだと怪しくて女の子泣いちゃうからね」

「それりゃどういう意味だよ」



 俺を少しおちょくる優花。俺をどう言いたいのかよくわからん。


 なんて思っていると、やや左手の木々から荒々しい葉擦れの音が聞こえてきた。それに複数の足音が聞こえてくる。



「これはもう…」

「来るでしょ」



 複数聞こえる足音はいつしか騒音のような足音になって辺り一帯に響かせる。確実にこちらに近づいていた。



「治癒魔法で魔力を使ったからその流れに反応して来たんだ」

「でも、来るのが早過ぎない?」

「確かに、早過ぎる…」



 緊迫した状況。戦慄。この状況がどう影響するかもわからない。

 


「ガアアァァ――――」



「来た!」



 その瞬間。木々から勢いよく飛び出し、現れた。数メートルも飛躍した二匹の巨大なロックウルフに、続いて次々と普通のロックウルフが木々から飛び出すように現れた。



「仁也!」

「おう!そっちは任せた!」



 俺はジークに一言、すぐに優花とこの場を離れる行動を始めて、俺は剣を腰にある鞘に納めて身体強化の能力を使って猛ダッシュ、優花はイメージを乗せた魔力で飛行できる魔法を発動させてこの場を離れた。


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