5.なろうエッセイ・批判系エッセイ(過去作は検索除外しているのでこちらから)
「一つ星クレクレ」を考察する。
少し前(2020年3月3日)に、なろうの評価システムが変更されたことは記憶に新しいと思います。そうですね、要点としては以下のような感じでしょうか。
・評価項目を撤廃、星の数による五段階評価を導入。
・評価可能なタイミングを各話読了時に変更。
・評価操作の簡略化
・評価欄の文言を「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」に変更。
まあ、この変更をどう感じるのかは人それぞれだと思います。大きな変更と感じる人もいるし、単に見せ方が変わっただけと感じる人もいるのかなと。私としては、評価項目の撤廃は少し残念だけど「応援」と明記したのは良い感じかな、なんて思っているのですが。
でもまあ、私がそう感じるのは、「評価というのは完結(完成)した作品に対して行うものだ」という考え方を持っているからかな、なんて気もします。最後まで読まないと「ストーリーが素晴らしい」とか「全体を通して読みやすい」とか、そういった評価をすることってできないと思いますから。
そういった意味では、任意のタイミングで評価できるようにした以上、評価項目を撤廃して星の数で評価するように変更したのも必要なことだったのかなと、そんな気もしています。
まあ、今まで何年間も「全話読了時に文章とストーリを評価する」というシステムを使ってきましたからね。最初のうちはそれと同じようなノリで考えてしまうのは仕方がないとは思います。
だけど、任意のタイミングで評価できて星に決まった基準が無い、さらに「星をつける=作者への応援になる」と考えると、今までとは全く違う考え方で評価することもできると思うのです。
――そうですね、例えばこんな評価基準はどうでしょう。
一つ星:とりあえず続きを読みたい。
二つ星:最後まで読みたい、結末を知りたい。
三つ星:うん、普通に最後まで読めた。
四つ星:面白かった。人にお勧めできるよ!
五つ星:書籍化したら買うよ!
今までは、最新話まで読み進めないと評価出来なかったじゃないですか。「とりあえず続きを読みたいな」と思える作品に出会っても、そこで評価をするのは現実的ではなかったと思うのです。
でも今は、いつでも星を気軽に付けることができます。――なら「続きを読みたい」「最後まで読みたい」と思った時点で一旦星を付けるような、「読みながら星を付けていく」評価方法もありだと思うのです。
――作者が早い段階で「一つ星」で評価して欲しいと宣言をして、読者が「一つ星」で評価することに忌避感を感じなければ、そんな形で作者が読者に評価を求めることも可能だと、そう思うのです。
◇
例えば第一話に軽く目を通して、もう少し読み進めてみようかなと感じたとします。で、そのまま物語の導入部を読み終えて、さらに続きを読んでみようと思ったのなら、その時点で、「その作品には評価できる何かがある」と思っていいと思うのです。
だから、そこで評価を促すために、導入部が終わった時点で「一つ星でもいいから」と、評価を呼びかけてみてもいいのかなと。
あとはくどくならないよう間を開けて、完結までに数回(一、二回?)、軽く評価を呼び掛ける。
で、完結時に最終話のあとがきで、最後まで読んでもらったことに対する感謝の言葉と共に、しっかりとした評価を呼びかける。
――これだけでもね、何もしないのと比べれば、読者もかなり星が入れやすくなるのかな、なんて思うのです。
◇
もう三年も前に完結した作品になるのですが。私の処女作「バード王子の独立記」が完結したときから数日間のアクセスは、大体以下のような感じです。
ユニークユーザー数:390人
一話目の話別ユーザー数:120人
導入部以降を読み進めてくれた人の数:40人
全話読了:16人
評価者:2人
評価点:20pt(平均 星5)
ブックマーク:33件
総合評価:86pt
これを、仮に導入部以降を読み進めてくれた人が全員、最低でも一つ星で評価してくれたと仮定すると、以下のようになります。
――1.完読した人も「一つ星評価」の場合――
評価者:40人(五つ星×2、一つ星×38)
評価点:96pt(平均 星1.2)
ブックマーク:33件
総合評価:162pt
――2.完読した人は「三つ星評価」の場合――
評価者:40人(五つ星×2、三つ星×14、一つ星×24)
評価点:152pt(平均 星1.9)
ブックマーク:33件
総合評価:218pt
――――――――――――――――――――――
まあ、全員が評価するという仮定はかなり苦しいとは思いますが。それでも、仮にそうなった場合、総合評価が二倍強にまで跳ね上がる可能性がある訳です。
それに、物語の節目でだけ評価を呼び掛ける前提ですからね、毎話のように評価を呼び掛けるよりはしつこくないと思うのですよ。
――まあ、上手くクレクレできる人から見たら全然ダメな考え方なのかも知れませんが。でも、自分はこのくらいがちょうど良いと感じるのです。
この方法ならあまり手間もかかりませんし、しっかりとした評価は全部読んでからというスタンスも守ることができる。その上、完結時にちゃんとした評価を求めることで完結ブースト時に評価が集中する可能性だってある。
絶対にランキングに乗らないなんて思いながら執筆するよりはね、完結時の楽しみが一つ増えていいかななんて思う訳です。
――何より、完結した長編作品って、評価を呼び掛けるのがとても難しいんですよね。特に以前は、物語の途中でいきなり「評価をお願いします」と呼びかけても、最終話でしか評価できなかった訳で。でも今は物語の途中で評価を呼び掛けることができる。で、もしかしたらそれで評価が入るようになるかもしれないじゃないですか。それだけでもね、試してみる価値はあるような気がするのです。
◇
評価システムの変更後も、読者に低評価をためらわせるような主張を、これまでいくつか見てきました。そうですね、「四つ星や五つ星以外はいらない」とか「評価荒らし」とか、そんな感じの言葉ですね。でも、今回の変更で運営ははっきりと「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」と、評価する人が必ず目にする場所に明記したのです。
――今はまだ、今までの評価システムの頃のイメージが色濃く残っています。でも、その内少しずつ、応援のために「一つ星」を付ける読者が出てくると思います。「星をつける=応援」と考える読者さんはね、これから増えていくはずなのです。
結局ね、「低評価はいらない」なんていうのは、怖がりすぎだとしか思えないのですよ。さらに進んで「高評価以外いらない」なんてところまで行くのは、正直、かなり不健全だと思います。
初めから、一つ星も当たり前に来るものだと思っておけば、一つ星で評価されたとしてもどうってことはないと思いますよ。仮にショックを覚えたとしても、すぐに慣れるかなと。まあ、私も(小説では)最低評価をもらったことがないので、これはただの推測なのですが。
読んで評価してくれたのなら、それは感謝すべきことだと思いますし、途中まででも読んでもらうことができたのなら、それはそれで素敵なことだと思うのです。なら、それがたとえ「一つ星」の形だとしても、「評価者」の一人として残ってくれた方が嬉しいかなと。
思うにね、私のような考え方の作者って、決して少なくないと思うのです。私はエッセイでいろんなことを発信していますが、そうでない人もたくさんいるよねと。
評価されないまま愚痴も言わず、ただ黙々と書き続ける人だってここにはたくさんいるのです。そういう人は「低評価はいらない」なんてことを思ってはいないと、そう思うのです。
――大体、「一つ星」を付けられようがなんだろうが、「バード王子の独立記」で完結したときに見に来てくれた390人の読者の内、374人の人間が最後まで読まずに立ち去ったという事実は変わりません。低評価が嫌ならね、低評価はいらないなんて声をかけるのではない、もっと多くの人も最後まで読んでもらえるよう、努力すべきだと思うのです。
私は、評価を入れてくれたであろう読者を変なフィルターを通して見たくはありません。「応援のために」と明記された今ではなおさらです。そんなことをする位なら、一つ星だろうがなんだろうが受け入れる努力をする方を選びたいと思います。
――そしてきっと、作者一人一人のそういった態度こそが、健全な環境を生み出すのだと、そんな風に思います。
◇
と、変な風に話が脱線してしまいましたが。こんな考えから、とりあえずウチの長編二作「バード王子の独立記」と「フィリ・ディーアが触れる世界」に、以下のような文言を追加してみました。
―― あらすじの先頭 ―――――――――――
【一つ星でもいいので気軽に応援いただけると嬉しいし、励みになります】
―― 導入部終了時のあとがき ―――――――
ここまで読んでいただきありがとうございます。この先を楽しみにしていただけたのなら、一つ星でもいいので気軽に星を付けていただけると、とても嬉しいです。励みにさせていただきます。
―― 節目となる話のあとがき ―――――――
面白いと感じていただけたのなら、一つ星や二つ星でもいいので、気軽に星を付けていただけると嬉しいです。
―― 最終話あとがき ―――――――――――
以上で完結となります。ここまでに星を付けていただいた方も、思ったままの評価で構いませんので、この作品に対して再度評価をして頂けると、この上ない励みになります。
――最後に、この作品を楽しんで頂けたのなら、作者として、それに勝るよろこびはありません。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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うん、これで評価者が増えるといいなと、淡い期待を抱いているのですが、どうでしょうね。それに、もしかすると副次的な効果が期待できるかもしれないと、そんなことを思ってもいるのですよ。
例えばそうですね、「星をつける」というアクションが、次のアクションへの背中を押すことにつながらないかな、とか。星を付けるというアクションが作品に親近感を抱いてくれるきっかけになるかもしれないし、その勢いで感想も書いてみようなんて思ってくれるかもしれない。
そんな動きが期待できなくても、評価によって外部にリンクが一つ増えますからね。もしかしたらそこから誰かが来てくれるかもしれないわけです。そう考えるとね、星をつけてもらうことにデメリットなんてほとんど何もないと思うのですよ。
まあ、そんなにアクセスのある作品でもないし、結果が出るのは数か月後、下手すると年単位でかかるのかな、なんて思ってもいるのですが。
――うん、早く次の長編を書き始めないと、なんて思うのですが。でも、構想がね。このエッセイに書いたことを本格的に試せるようになるのはいつの日になることやら(笑)
まあ、せっかく運営が評価をしやすくなるようにシステムを変更してくれたのです。そのシステムを使いこなすにはどうすれば良いか、色々と考えて試してみてもいいのかなと、そんな風に思います、まる。