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コンビニコート (仮)

 異なる選択をした世界の行く末を観察して、良い結果は取り込み、好ましからざる結果は避けようと言う研究シリーズ。


 今回は、コンビニに於ける店舗オーナーと本部の関係だ。


サラリーマンでも、実体のない管理職のポストを与え、労使の枠外で休日出勤や深夜長時間労働を科すやり方が問題になった。

コンビニでも、実質的な経営権や利益の多くを本部が収奪し、出店費用や売れ残りの損失長時間労働が問題だ。これらは力関係で、店舗オーナーに対してコンビニ本部が圧倒的に立場が上で、交渉の余地もなく従属させられていることにある。実際、利益のほとんどを本部に吸い上げられ、本部の商戦略で使い潰される様は、しばしば宗主国と植民地よりも非道いと言われている。

一方的だったその関係も、酷使される店舗オーナーが手を組みユニオンで組織化され各個撃破できなくなり、団体交渉で不平等が是正される方向へ舵を切り始めた。


元々、かつての商店街を小型店舗に集約し、売れ筋商品に絞りきったのがコンビニだと説明されることがあったが、新時代のコンビニはそれに似たフードコートのコンビニ版になっている。

店舗中央部にはコンビニの独自ブランド以外の商品が並べられ、壁際には各コンビニの独自ブランド商品が並べられるレイアウトだ。各コンビニの商品棚は、コンビニ本部が店舗オーナーから棚を借りる形で、商品補充陳列は本部が、店舗は販売決済を請け負う形になっている。コンビニブランドでない商品の選択と値付け廃棄は店舗オーナーが采配する一方、コンビニブランド商品の選択と値付け廃棄は本部が負担する。サラリーマン上がりなどで商才も経験も乏しいオーナーには、以前のFC形態よりもリスキーだが、コンビニ本部への貸し棚比率を上げたり、店舗丸ごと委託して家賃収入に一本化する従来に近い形態も残されてはいる。


従来のコンビニ店舗で見られなかったものとして、出入り口が二重というか店舗が複数に仕切られている形態が出て来た。良くある商慣習では、運送屋が外側の扉の鍵を預かり、夜間早朝に二重扉の間に荷物を置いて受け渡しとする事がある。だがここでは、深夜でも売れる商品や対人レジで躊躇される生理用品などが自販機によって販売される。この形態で、深夜開店を躊躇する店舗オーナーが、奥の有人区画のみ閉店し深夜客向けに自販機区画を24時間解放することが行われつつある。この自販機区画には、金融機関の預払機や宅配業者共用の宅配ロッカーが置かれることもある。勿論、悪戯犯罪利用防止に、監視カメラも常備されている。

コンビニ本部以外にも、貸し棚スペースを宅配業者が借りて宅配ロッカーや立地によっては受付カウンターを置くケースも出て来た。宅配ロッカーでは、留守だった受け取り主のために荷物を入れておく一方で、送りたい荷物を台に置いて計量計測し、送り先などの情報を入力し代金を決済すれば、荷札送り状が印字され排出され、それを荷物へ添付してロッカーに入れて受け付ける送り出しの使い方も出てきた。


特に地方の住宅地や商用区ではない郊外に近い立地の店舗では、自動車を利用する客のために広い駐車場を併設している。中心街でも、商品搬入のために駐車スペースは必須だが、時に店舗の利用に比べ活用率が極端に低いことがある。そのためか、コンビニとは関係ない者が長時間違法に占有したり、売り上げにつながらない者がたむろして騒音などの社会問題にもなった。

そのような経緯から、無料駐車場から有料貸し出しへシフトするところが出てきた。同時に隣接する周辺の商店にも契約貸し出したり、共用駐車場として有効活用するケースも出て来た。

基本有料ではあるが、コンビニや契約する隣接商店を利用すれば、当日限り一定時間分割引となるクーポンが発行されるので、店舗で買い物するくらいの短時間なら実質無料で利用できる。駐車場を利用しない客には、共用のショップポイントが付与されるケースもある。駐車場が無い中心街の店舗で、ほかの有料駐車場利用の補填名目で敢えて発行してリピートにつなげるケースもある。

田舎では、スーパーやディスカウントショップで見かけるように、客引きを兼ねて、屋台やテント露天商にスペースを貸し出すケースも出て来た。以前のコンビニ本部に専従契約では出来なかったビジネスモデルだ。この様な采配できる範囲の広さが、店舗オーナーの意欲に繋がると共に、器量を試されることにもなってきた。


コンビニは、売れ筋商品を集めた24時間営業から、マイクロショッピングモール、ミニ商店街スモールマーケットの様相へシフトしつつある。それと共に、かつてのコンビニ本部は、プライベート商品の開発卸販売や経営コンサルタントへと縮小シフトしつつある。中には、開店資金や運営資金を貸し付けることで以前のように縛るケースもないではないが、オーナー組合が互助会としても機能しだしているので、本部の言いなりに落とし込まれることは減っているようだ。

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