そのいちのいち
旦那の家は類的にはエリートなのだろう。
大手企業で働く父に地方公務員枠だと言えばそう言える場所で働く母。
兄は院卒の国家資格がないと働けない業種の人間でその妻も同職者。
そんな家庭に産まれた旦那に対して、あたしのところは本当に普通の会社員の父と母。そして学生の弟。
住む世界が違うと言えば違うあたしたちが出会ったのは、旦那からのナンパ。
約10個上の真面目そうな旦那があたしの職場に来て声をかけたのが最初。
毎日のように会いに来る旦那に痺れを切らして休みの日に食事に行き帰り際に旦那からの一目惚れだというカミングアウトに驚きつつ見た目と大人の雰囲気に魅了され交際へ。
その後毎日のようにあたしの家に通うもんだから同棲しようということになり付き合ってすぐに同棲へ。
同棲したその年のクリスマスにプロポーズされて婚約。
特にこれといってこだわりがなかったため、あまり知られていない指輪屋さんで婚約指輪と結婚指輪を購入。
ダイヤの大きさは旦那が大きい方がいいのではという謎な言葉で平均より少し大きめのものを婚約指輪にはめてもらった。
キラキラした指輪を見ながら指輪よりもキラキラして幸せな結婚生活を夢見ていた。
それが人生甘かった。
トントン拍子に進んでいたのも束の間だった。
これから終わりのない闘いが待っていることも
人生最大のラスボスが現れることも知らずに
のんきに浮かれていた。
今ならあの頃のあたしに言える。
ーもう少し後で結婚しなさいよ。
ーあなたの姑の裏の顔をきちんと知りなさいよ。
と。