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黒鉄の塔 -記憶以外の全てを持った男-  作者: カメるふ
プロローグ
1/7

語り部は、語る。


さて、これから英雄の話をしよう。

さぁさぁ、この火のそばにお寄りなさい。

老人の話と、お茶でもどうぞ。



この国に伝わる話だが、大昔、何千年も前だがね。

この世界が混沌に陥ったとき、それは強大な力を持った少年が現れたらしい。

その少年は国や島を救ったんだけど、混沌が消えたとき、彼もまた消えちまったのさ。


消された、っていう噂もある。

その昔話を語るには、ちょっとこの島のことをおさらいしておこう。


この島は、昔はもっと小さくて、だが国や種族はたくさんいたようだよ。


「竜頭島」。


周りを囲む海は潮の流れが非常に速いうえ複雑で、そのため外海との接触はなく、島が世界のすべて。

伝説の生き物、ドラゴンの頭の形をした島。

それが竜頭島。


そんな竜頭島には、ちょうどドラゴンの眼のあるあたりに、それは高い火山がそびえており、「竜の眼」なんて呼ばれている。

竜の眼からは島を割るように三方向に山脈が連なっていて、それが天候や地質にそれぞれの変化を生み出し、高い生態系が生まれていた。


その山には、山族といわれる種族がいてね。

彼らは山を神聖な場所として崇拝した、魔法が得意な種族だ。

姿はマントやローブで隠して、山に紛れるようにしていたみたいだね。


竜の眼から東側は2本の山脈と海に囲まれた、地族の領域。

地族は、ドワーフという種族でね。火山を生かした炭鉱や温泉で栄えていたんだ。

彼らは働き者だったが、同時に酒癖が非常に悪くて、あるときから山族の支配を受けるようになった。

彼らはそれで満足していたようだがね。


竜の眼の北側は、「竜の鬣」とよばれていた。

ちょうどふたこぶラクダみたいにデコボコがあって、東側には森族というエルフたちが住んでいて、彼らは豊富な水源や豊かな緑を利用した農作を愛するおとなしい種族だ。

西側には火族という異形の種族が住んでいた。

彼らはエルフと違って実に好戦的で、しょっちゅう周りと喧嘩していたようだね。

どうやらすべての部族に恨みでもあるようだった。


それから島のまわりには海族と呼ばれている、海中人もいた。

だけれど竜頭島のまわりの海は、さっきも言ったけど潮の流れがむちゃくちゃなんだ。

だから海族は、ドラゴンの口の中にあたる比較的おだやかな海を縄張りに住んでいた。


竜の眼の西側には最も大きな種族が住んでいて、それが私たち人族の領域。

竜の鼻づらから首まで、すべてが人族の領域だ。

昔はこの国以外にもいくつか国があって、「竜の鼻づら」「竜の上顎」「竜の下顎」「竜の首」って感じに領土があったらしい。



いま、人族にある国はたった一つ。

かつて竜の上顎と呼ばれた国、「ルーデウス王国」だ。


それどころか、人族以外の部族も、みんななくなっていまったんだよ。


なぜこの国が生き残ったのか。

国を救った英雄とは、いったい誰なのか。

彼はいまどこにいるのだろうか?



これは、「記憶以外の全てを持った男」の物語だ。





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