いつか眠る遠い記憶
どこだここ?暗くて何も見えない。真っ暗な闇の中に一つのオーロラが浮かび上がる。それはオーロラの形をしたモニターのようなものだった。モニターなのだから当然映像が流れていた。
「今日は─君の1才のお誕生日で〜す。」
そこに映し出されてたのはハッキリと分かる。俺自身だ。そして
父さん…母さん。懐かしい過去の記憶もう戻ることの叶わない過去。俺の頬に涙が伝って落ちている事に気づき、袖で拭う。
。先程までいた暗闇から打って代わり今度は明るい住宅内の1件の玄関前にいた。────ここは?。いや聞くまでもない。自分が良くわかっている。もう今はない〃元〃我が家だ。ゆっくりとドアを開ける。外とは違って家の中は薄暗かった。目の前に男の子が靴を脱いで上がろうとする。紛れもなくこの男の子は6年前の俺だ。俺はこの日何が怒ったのかよく覚えている。忘れるはずがない。靴を脱ぎ終わった靴下で最初に踏んだのはいつも通りの床ではなく絵の具の様にぬるっとしていて、思わず転んでしまった。床に付いた手にべっとりと付いた。自分の手を見て思わず大声を出しそうになってしまった。それだけではない、何がが背もたれになっている。さっきは薄暗くて良く分からなかったが何かが置いてある。否定それは倒れていた。───母さん……?。先程の手にべっとりと付いたのは絵の具何かじゃなく今正に目の前で倒れている母のお腹から出ている血だった。奥で父の声が微かに聞こえる。それと誰か知らない人の声も。
『父さん!!母さんが玄関で────』
そういいながらリビングのドアへ走っていく。
『だめだ来るな!!!』
幼い頃の目の前で起こった光景は、父をナイフで刺そうとする黒ずくめの男と、それに抵抗使用とその腕を抑える父の姿だった。
昔の俺がドアの外で中の光景を見て固まる。そしてハットしたようにリビングに入って直ぐ右手にある固定電話に気が付く。電話するなら今しかない。速くしないと父が……父が幼い俺に必死に逃げるように促している。そまま俺は1歩後ずさり、無我夢中で玄関のドアを開け逃げ出した。公園へ逃げ、良くあるトンネルの洞窟に身を隠しながら蹲る。結局その後家へ帰った時には近所の人達や野次馬が家の周りに集まり、誰かが通報したのだろう。警察が立ち入りを禁止していた。結局犯人は未だに見付かっていない。
ザザーと周りにノイズの様なバグが走り世界が切り替わる。
『今日から此処が貴方の家ですよ〜』
身寄りが少なかった俺は誰にも引き取って貰えず施設に預けられた。あの家は親戚一同で奪いあってる中俺が割って入った。殺人が起きた家だそう高くは売れない。だから俺が売れるであろう金額のばい払うという話になった。最初は皆笑ったでも、俺の見て受けてくれた。当然当時小学2年だった俺に払えるわけが無い。そこで条件を出された。『高校卒業まで』それまでに払えなかったら。売り払うと。そもそも此処は本来なら俺の家なのにそれを買わされるっておかしな話だ。そして施設に入れられた俺は当然孤立した。誰から広まったのかはわからないが、あの事件の事を皆が知っていて、他の児童ならまだしも保育士間でもが俺から距離を置いた。1人例外を除いて……
『空っぽ丸でセミの抜け殻見たい。』
それが今の俺の妹だった。普通の人なら伝わらない言葉だだが小さい頃の俺にはその言葉が心によく伝わった。
『私は那奈葉実はこれ本名じゃないんだよね……』
そう言いながら俺の隣へ座る。─そういや最近俺妹の名前すら忘れかけてた……。幼い頃の妹が俯きながら語り出す。
『でも君見たいな人には言える私の本名は────』