開始そうそう問題発生
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「あの、私をこのギルドに……『ブレイズキャット』に入れてください!!」
賑やかだった薄暗い酒場は静まり返り声を張り上げた1人の少女へ視線が集まる。
「お嬢ちゃん能力は?」
「ケットシー...です...」
「何使い?」
少女は問われるまま自分の精霊を出した。静まり返った酒場に先程賑わっていた時より数倍の笑いが溢れた。
「おい!なんだよそれ!!アハハ!あー腹いてーぬいぐるみじゃねーか悪いが嬢ちゃんの居場所はここにはねぇ他いってそのぬいぐるみ劇でも披露してくれや。それともここで俺らの世話をするか────」
バゴ。先程の様に静まり返るが辺りはザワザワしている。
「いってー……」
「あ…ごめんなさい……」
はっとしたしたように我に返った少女は自分がとんでもないをしでかしたのかすぐ理解した。辺りを見渡すとこれから何やら劇を始まるの待っているかのようなこちらを観ながら酒を飲んでる人や先程思わずぶってしまった奴が立ち上がりこちらに歩み寄ってくる。
「いいねぇ、その威勢だが相手を間違えたな嬢ちゃん。おっと逃げよう立ってそうはいかね。」
逃げようとした少女を逃がさまいと扉の前に男達が立ちはだかる。
「まぁ、丁度最近退屈してた所でな、相手してくれや。勝ったらお前の要求を一つのもう……だが俺が勝ったらそうだなお前可愛いから今日から俺の女になれ。なに退屈はさせねぇ。」
思わず1歩後ずさりしたが、後ろの男に突き飛ばされ男の前に出る。周りの男達はニヤニヤしながら観戦して来る。
「あっあの悪気は無かったんです、ついカットなっ────」
瞬間少女の身体がスーパーボールが上へ跳ねるように真後ろへ吹き飛ぶ。
「ちっ、あのぬいぐるみで瀕死は免れたか。」
「がはっ」
口から血が出るのがわかる。ぬいぐるみいや、名前を付けよう。『テティ』がクッション代わりになってくれなければもう死んでた。先程まで興奮してたのか身体が銃で撃ち抜かれたように痛い。俺のそれだけではないもう意識が……
「ちっ、つまらねぇ。じゃあ俺の勝ちでいいのか?じゃ無きゃ立て俺がお前に触れる前に立たなかったら今日から俺の女な」
男が歩寄ってくる奥で店の店主だろうか見て見ないふりをしている。やばい立たなきゃでも、身体が言うこと聞かない。あっもうすぐ目の前まで、人差し指が直ぐそこまで来てるのにゆっくり見える。本来なら私に触れるまで2秒も掛からないだろう。でも今はゆっくり見える。それよりも私のいしきが……
「なんだこれ、扉が硬いぞ、それなら!」
助走付け硬い扉へ体当たり勢いで前に倒れ込む。周りが騒がしい。身体を起こす目の前に倒れ込む少女口からは血が垂れている。そして少女の前にかがみ込み触ろうとしていたのだろうかそのままの体制で驚きながらこちらを見つめる。
「えっと、あの、...」
あまりの運の悪さに自分を呪いたい。一瞬静まり返ったが、また賑わいはじめる。青と黒い目の中年位の男が一瞬驚いた顔をしたが腹立ちを隠したように立ち上がりあきれたように語り出した。
「はぁ、たく空気を読めよ今はそこの女が俺の物になる儀式の途中だってのによォ。まぁいい、ほら行け見逃してやる。邪魔だ」
そういいながら男の汚い手はうつ伏せになっている為顔は分からないが綺麗な白銀の髪の少女へ伸びる。そうだ、俺には関係無いんだ早くこの場から立ち去ろう。まだ俺には運が残っていた。────逃げる?また?いや逃げるが勝ちという言葉だってある。男の手は少女にまもなく到達する。逃げて何を得た?孤独?いやそれよりも……。
俺の腕の中には意識のない少女がいた。
それは誰もが驚いただろう。実際俺もかなり驚いている。この少女を助けたこともそうだが、何より一瞬俺は、速かった。いや速すぎた。あの距離から少女から数ミリしか離れてない手が触れる前に少女を抱え、スライディングした。
「どういうつもりだ?」
「汚い…汚い手でコイツにふれるな!!」
終わった……あぁ少女を救ったならまだしも喧嘩を売るなんて...────けど、悔いはない。────いつからだろう。友達から家族からそして現状からひたすら逃げて、立ち向かうことをしなくて。そんな俺がこんな事を言うなんて。妹に見せてやりたいわ...妹?そうだ此処で死ぬわけには行かない。いかないんだ。ゆっくり少女を下ろす。そして誰に聞こえないような小声で、
「ちょっとかりるね...」
ゆっくりと立ち上がり男に向き直りこちらから歩み寄る。慌てるな。相手の土台に乗って踊るな。どんな闘いでも先に手を出した方が不利になる。それは読まれてしまうからだ。耐えろ。
「ッツ!!」
耐え続けろ。耐え続ければ勝機は見えてくる。相手を油断させろ取るに足らない相手でまともな対決にならないと遊ばせろ。
「ったくこんなザコに邪魔されたってのか腹立つな。悪いがちょっとの間サウンドバック代わりをしてくれ。」
大量の目には見えない程の衝撃波が俺の身体に痛みを植え付け背中からすり抜けていく。やばいなもう意識が途切れそうだよ……でも、身体の激痛を少し和らげる喜びはあった。────コイツが能無しで良かった。心で笑いたくなるくらいに。
「もう飽きたわこれで終いにしてやるよ!!」
あーもう笑いが止まんねぇ思わずにやけちゃった。
「どおっせえぇぇぇぇえいい!!!」
俺の拳が奴の顔面にめり込む。手加減なんてしない一撃で決める。そのまま床へ叩きつける。少し遅れて、周りがが現状を把握して慌ただしくなる。
「おい何が起こったんだよ……」
「わかんねぇよ...俺に聞くな!」
「おっおいアイツのザザんを殴った逆の方の手のひら……そうかあれでザザんの衝撃波を……」
俺の右手には血がまとわりついていた。無論俺の血ではない。
ようやく気付いたか能無し共。しかしこの少女が居なくても。アイツが加減して来なかったら死んでたわ。やはり運はよく分かんねぇな。ハハやべー意識が持ちそうにない。
「おい起きろザザ!」
数人の男が頭の周りに集まり体を揺する。ハハ起きるわけねーだろ。あれだけのパンチだ顔面の頭蓋骨はもう粉ごなに────能の中の言葉が目の前の非現実に言葉を切る。そんな馬鹿な!?……ザザんと呼ばれる男は頭を抑えながら立ち上がり。何事も無かったかの様に首を鳴らす。少なくとも鼻の骨は折れたはずなのに……飛び散った血すら消えている。まるで再生したかのように。仮に本当に再生してるとしたらチートにも程がある。
「化け物か……」
翻弄する意識の中何とか出せた言葉だ。
「化物?侵害だなお前だって普通の人から見たらそうだろう。あのパンチ瞬発力、まさか自分に秘められてた本当の力だと思ったのか?周りにいる奴ら見たいのだったら。即死だな。」
頭の言葉に男達がざわめき1歩後ずさる。
「成程……お前が1歩上手……だった……てことか」
強者はやはり強者だ弱者が付け入るスキなんてない。だが何故アイツは傷一つつかなかった。聞きたいがもう声を出せる力なんてない。このまま死ぬのだろうか。
「なぜって顔をしているな……良いだろう夢の世界へ行く前に教えてやる。」
そういいながら、ザザんは脇にいた下っ端から剣を受け取り自分の右腕を切り落とした!──何してるんだこいつ!?
「な〜に怖がらなくていい」
そういいながら、ザザんは近くの柱へ歩み寄り残っている右手で柱に触れた。もう理由が分からない。消えた左手が木が伸びる様に生えて来る。10秒もし無いうちに元通りになった。
「ご覧の通り切った腕だって10秒もし無いうちに元通りだ」
成程それはあれだけ余裕が出来るはずだ。悔しいが仕方がないもう意識が重い……。そのままの俺の視界は閉じた。