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小学生になった少女は上級生と別れ一人でウキウキしながら帰宅する。もう少しで家というところだしお気に入りのランドセルから家の鍵を取り出した。雑にしていたからか鍵は海岸に落ちた。お父さんと一緒に何回も海岸に降りたことはあったし、それなら一人で降りるなんて簡単だと思い降り、実際何も問題はなく鍵を取ることができた。しかしランドセルははるか向こうに流されてしまった。制服が濡れるのも御構い無しにランドセルを泳いで追いかける。少女は水泳が嫌いだ。一年の夏に先生に無理やり上級生用のプールに入れられた時苦手になったし、恐怖もあった。しかしあれはママとお父さんが買ってくれた大切なランドセル。海水を飲みながらも必死にたどり着いたけれど岸に戻る元気はない。服も重いし動かずにいてもずっと波がおそってくる。ここで少女は『死』を初めて実感したという。苦しい死にたくないよう助けて。声を出しても出しても口を開けるたびに海水が入ってきてまともに人を呼ぶことなんてできなかった。
そんな中自転車に乗ったおじいさんが助けてくれてことにより一命は取り留め、少女はもっと気をつけて生きていかないと大変なことになると実感した。