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皮肉な名言

 今回は、ネンネのことから、離れた内容です。


 少し前、葬儀会場にいた。


 職場のボスだった人が、亡くなったのだ。

 俺の職場の管理職クラスは、何年かごとに転勤しながら、偉くなる。

 その間、良い人もいれば、阿呆もいる。

 今回の前ボスは、良い人だった。

 それは、通夜にも証明された。

 職場の人々が、たくさん別れの挨拶に来ていた。

 俺も知ってる顔がたくさん居て、その顔見知りと話し込んだ。

 そして、みんな

 「良い人間は、早く死ぬよ!」

と、ため息まじりに、皮肉を言い合った。

 皮肉だな……。

 悔しいが、当たっている。

 「良い人間は、この世から引き剥がされて、天国へ行くんだよ。」

 そんなことを言っていた、知り合いもいた。

 何をバカな……とは、突っ込めなかった。

 静かに、ウンウンと頷いていた。

 何だか、悔しかった。

 みんなに泣かれ、良い人と言われ、天国で幸せに暮らして等、温かさがある言葉ばかりだからだ。

 もし、俺がしんだら、みんなは温かい言葉をくれるだろうか?

 応えは、NOだろう。

 いや、NOだ。

 自分勝手で、協調性もなく、皮肉ばかりで、湿っぽい、こんな俺には無関係だ。

 俺は、人一倍長生きしたい。

 みんなに、嘲笑われるのが嫌だからだ。

 死んで、ありがとうと言われる可能性も、否定出来ない。

 だから、少しでも長生きして、そんな輩が先に行き、俺はしぶとく生き続けようと、思った。


 6月の空は明るく、まだ日が落ちない。

 そんな空より、雨が落ちてきた。

 みんなの悲しい気持ちが、天に通じ雨となり涙を流している……と、格好付けながら帰るとしよう。

 クルマから流れるラジオから、本日梅雨入り宣言があったことを伏せながら。

 

 



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