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ワンダーリアル

ワンダーリアル短編集-大和タケルととある壁画-

作者: 淡水

私がその壁画と出会ったのは私がまだ6歳の頃だった。

絵師は不明で誰が残したのかも不明だと祖父は語った。しかし、不明の理由は当然分かっている。

それが戦時中に書かれたものだったからである。

その壁画は非常に美しい。美しく戦争が描かれているのだ。


奇妙な絵だった。


そこには魔法界らしからぬ物体が書かれているのだ。そらを飛ぶ’セントウキ’と呼ばれる物体。白の背景に赤い丸が描かれた旗を掲げる’センスイカン’と呼ばれる物体。

それら全てが刻銘に描かれているのだ。


しかし、この壁画は数年後に取り壊されたのだ。


要はその話である。

火の里 19XX年。

「取り壊す!?」

1人の老人の声が響いた。

私は周囲の子供と一緒に長老の家の近くでその話を固唾を飲んで聞いていた。

「はい。あれは戦争を象徴している。」

「ですけど、忘れないために!」

後に分かったことだが・・・。この壁画に描かれていた私の言う魔法界らしからぬ物体たちが本当は国家機密の相当するものだったのだがセルノーツの総統が替わり悪魔と処理。

結果が取り壊すということ。

確かに当時の総統は頭が固く伝統を守るということで有名な男だった。

故にこの100年と満たない期間の記憶ですら悪魔と成されたのだった。

勿論、このときはそんなことは知りえないし、知ったところで当時の私ならば止めただろう。

しかし、このとき訪れた公務員は壊すことを前提で話を進めていた。私はそれに堪らなく腹を立てた。


同日 壁画前。

「これですか・・・・ん?」

公務員が私の存在に気がつく。私は壁画の前にただ立っていたからだ。

「坊や・・・何してる?」

恐らく何をしているか・・・概ね理解していたのだろう。

だが、私は一歩も動く気が無かった。

「何故壊すんです?」

私が聞いた。「忘れるためだ」「何故?」

短いやり取りが続いた。


「僕はこの壁画を見て育った。この壁画は言葉を発せない・・・動けない・・・でも僕らを育ててくれた親なんです。」

すると、公務員は壁画に近づいた。


「これは?」

「?」

センスイカンの絵に指をさす公務員。

「せ、センスイカン。」

「・・・こっちは?」

「センシャ。」

「・・・?」

「セントウキ。」


この後話が弾んだことは言うまでも無かった。

「おじさん!名前は?」

「私か?私はヒューズ・イノセントだ。君は?」

「僕は大和タケル!イノセントさん・・・この壁画壊すの?」


「分かった。私が何とかしよう。」


数十年後。

エリア王国。

「大佐。お久しぶりです。」

私はあの後イノセント大佐がウルフ将軍にこっぴどく怒られた聞きました。

ですが・・・。


あの壁画は空の里に壊されること無く。


未だに残っています。

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