第2話
あれからどれくらい経ったのだろうか
トラックはずっと嵐の中を走っている
アークは少し不安だった
いや、正しく言えば、彼の家族全員が不安だった
彼らが不安だという理由は、リチャードの持っている魔方陣の書物である
リチャードの持っている書物は、この国の命運をかけたものらしく、それを近くにある国の隠れ家で解読しなければならないらしい
だが、あらゆる権力者が魔方陣の書物を狙っている為、実績や信頼の高いコーディの傭兵団に護衛を任したのだ
「・・・や・・・ボウヤ!」
アークは、ハッと起きた
「着いたよ。中へ入りなさい」
アークを起こした男はシモンズという傭兵団の男だった
少々、年を取っており、黒い髭を蓄えている
「お~・・・中々、顔だちの良い坊ちゃんじゃないか」
シモンズは人懐っこい笑みを浮かべながら、アークの頬を指で押した
そして、シモンズはアークの頭を撫でた
「おっと!こうしていると、コーディの若僧に怒られちまう」
シモンズはポケットにあった煙草を取りだし、火をつけた
紫煙が宙に舞う
「自己紹介が遅れたな」
シモンズは煙草の吸殻を靴の底で消し、捨てた
「俺の名前は、シモンズ。傭兵団では、副団長を務めているが、オッサンって呼ばれているから、適当におじちゃんとかで呼びな」
アークは頷いた
シモンズはアークを連れ、隠れ家の中に入った
中へ入ると、豪華なシャンデリアが天井に吊るされており、床は大理石みたいな物でできていた
シモンズは呆れたような顔をした
「隠れ家がこんなに豪華でいいのかよ」
「貴族の館とカムフラージュするためだ」
すぐ横の階段からコーディが降りてきた
「ふーん、そうなんすか」
「シモンズ、エントランスの所を警護してくれ。私は、2階を見回りしてくる」
シモンズは頷き、エントランスを見回りに行った
コーディはアークを見た
「アーク君、君はもう寝ると良い。疲れただろう。お兄さんと同じ個室と案内するよ」
アークはコーディに抱っこされ、兄のいる個室へ案内された
「それでは、おやすみ。アーク君」
コーディはその場を去り、警護に戻った
アークはそのまま部屋の中に入った
だが、アークは知らなかった
これが悲しい復讐劇の始まりだとは・・・・