19◆オマケ◆三千名様ご訪問感謝記念〜味方が居ません〜
三千名サマご訪問有難うございますm(._.)m
通常頁でもリハビリ投稿です。
マユミもご訪問記念程度なら……と思いつつ悩みちうです。
シーリンは会社の香苗編を進めるか新婚編を書くか悩みちうだったのですが結局放置。
取り敢えずは、ご訪問感謝記念と云う事でww
弟は『間の悪い』彼ですww
実態は如何でしょうか?
少しでもお楽しみ戴けたら倖いですm(._.)m
☆☆☆
「あ………。」
玄関の扉を開けて。
私は固まった。
うっかり自宅に戻ってしまったからだ。
すると右手に有るリビングの扉が開き、弟が顔を出した。
相変わらず退屈そうな、面倒臭そうな顔をしている。
私の双子の弟だ。
二卵性の筈なのに、鏡でも見てるみたいで気持ち悪いといつも思う。
「何をしてんの?」
弟はノンビリと私に問い掛けて来た。
この弟はゆっくりとした口調で話す。完璧な美少女顔も手伝って、凄く大人しい男の子に見える。同じ顔した私が云うのも何だけど………。
私には面倒臭そうに見える表情が、他人には大人しくて素直そうに見えるとか訳が解らない。
しかし、私の眸に映る表情さえも、こいつの本質を表してはいない。
面倒臭そうで、退屈そうな眼差しは、どう考えてもシーリンみたいな怠惰を予想する。
しかし、こいつは結構な行動派だった。
シーリンを見ていると、私は自分の引き籠もり気質を反省して、少しは出歩かねばと思う。
単に、あの屋敷に居るのが落ち着かないだけだが。
だって、どれもこれも高いし、使用人とか居るから何か嫌なんだもん。
しかし怠惰を絵に描いた様なシーリンは、見掛けだけは完璧な王子様だった。
しかも本当に王様だった。まだ冗談みたいな現実に、私は適応していない。
明るい眼差し、キラキラしい笑顔。
シーリンの怠惰を、外見から推し測るのは難しい。
育ちの良さをそのまま表した鷹揚さと、上品で穏やかな物腰。あのキラキラしい顔にニコリと笑顔を浮かべたら、何処に出しても恥ずかしく無い王子様。いや……紳士然としている。
詐欺みたいな外見なのだ。
そう云う意味では、この弟も変わらないだろう。
大人しいだなんて、とんでもない。
私は一体こいつの所為で、何回死んだと思ったか知れない。サバイバル上等、喧嘩上等、人生バクチ打ちみたいな奴なのだ。
思えば、私の引き籠もり気質は、こいつの所為でも有る。
「もしもおし?生きてるかあ?」
「……間違った。」
目前で手のひらがヒラヒラと揺れて、私は我に返った。
取り敢えず、息を吐いて。
呟くように答えた。
「あっ、そう。」
弟は直ぐに理解して、興味を失った様である。
「せっかく来たんだから。上がれば?入籍した日に実家戻るとか、莫迦だと思うけど。」
「………お邪魔します。」
一応客だよね?と、ただいま……では無く、お邪魔します、と告げた。
ただいまと云ったなら、更に辛辣な台詞が向けられる予感がしたからだ。
私の体感時間と他の人の時間は差が有るけれど、それも一週間や十日なら日が経つにつれて大した差では無くなる。
最近の私は家で夕食を摂る事が少なかったから、これはお互いに久しぶりに共に過ごす夕食となった。
母の味も久しぶりだ。
その母が心配そうに云う。
「もう。新婚早々……夕食の支度とか大丈夫なの?ええとシーリンさんのご飯はどうするの?お呼びする?」
母はまだシーリンをどう呼んで良いのか悩み中の様だ。しかし、シーリンの美貌は母の少ないミーハー精神を擽るらしく、最後の言葉はウキウキと発せられた。
「だいじょぶ。料理人居るから。」
「………。」
料理人?それともコック?普通の家なら家政婦とでも呼ぶところだが、あそこの皆さんは仕事を専門事に分担してソコにはキッチリとした線引きがある。
侍女が夕食を作る事は無いし、料理人が風呂を沸かす事も無く、家宰がケーキを焼いたりもしない。
その代わり、使用人?達の住まいする領域は、賄いで満足出来ない趣味が有るならソレを昇華出来るだけの設備も有るそうだ。
とはいえ。
私はあの広い屋敷をまだ完全には把握していないし、彼らの領域に足を踏み入れた事も無いけど。
「何?」
母が何とも云えない表情で私を見ていた。
いや、父も、兄も、あの弟も、何やら物問いたげな眼差しである。
「あのね?料理人……て、何かお店でも?」
「てかさ。そもそもシーリンさんて何してる人なの?微妙に誤魔化されたと云うか。投資家とか云ってたけど……ぶっちゃけマジで資産家だったとか?」
母の遠回しの質問を遮り、弟が質問と云う名の妄想だか想像だかを披露する。
「………ん〜。」
私はアソコでの美味だが上品な食事から解放され、気持ち的には非常に懐かしい甘辛い魚の煮付けを口の中に放り込む。
箸を銜えたまま、天井を仰いだ。
天井が低くて………凄く心が和む。
ちょっと泪が滲んだ。
「おい?……お前、いきなり結婚したけど……大丈夫なのか?」
私の様子に気付いて、兄が少し珍しいくらい厳しい声を出した。
厳しいけど、私に対する労りがある。
テーブルを見渡せば、家族が心配そうに、私を見つめていた。
「あのね?」
私は口を開いた。
結果。
私の味方は誰も居なかったけどね!!
「贅沢な。」
「でも落ち着かないんだよ?何十万だか何百万だかする椅子だの座るだけで緊張するんだっての!何百万だか何千万だかする家具とか、下手したら食器とか、ベッドひとつが幾らなのさ?天蓋って何の為にあるのさ?ソファーに何てそんなお金遣うの?そもそも、何で何をするにも後ろに誰かしら控えてんの!?」
私はエキサイトした。
弟が感心したように云った。
「なるほどね。身分違いの結婚て、こういう事なんだね。」
「控えて……って、ああ使用人とか?」
兄がぶつぶつ呟いて一人納得している。
母はシンデレラだの玉の輿だのウキウキして、父は自分の稼ぎを思うのか苦笑いと遠い眼差し。
誰も役に立たない。
「とにかくさ、何が一番ダメって、その後ろに控えてる人がダメよ。シーリンは当たり前過ぎて、奴らの存在なんか空気程も感じない鈍感野郎なのよ!私の脳には人を空気に変換する能力はないのよ!」
「産まれながらのってヤツ?まあ王子サマみたいな人ではあったね。」
弟はのんびりと頷く。
「おかげで屋敷では落ち着かないのよ。会社が凄く和んだ。でもヤツが居るから完全には和まない〜!」
私が叫ぶと。
兄と弟が、冷ややかに告げた。
「それは自業自得だろ?」
「てか、最低。」
「俺はアイツに同情する。」
「大体あんなんで別れたとか、いつも直ぐに縒りが戻るじゃない。納得出来ないの当たり前。」
「全くだ。」
これが妹や姉に云う台詞だろうか。しかも浮気承認とは何事だ。シーリンにさえ妻や愛人を捨てさせたのに、あの人はなんたって王様だよ?ヤツなんか全き庶民じゃないか。
いや。それ以前に。
「何で知ってるのよ!?今日の今日なのに。」
「メール来た。」
「電話したら、丁度お前に逃げられたとこだと云われた。」
私は舌打ちした。
だから幼なじみってのは厄介なんだ。
あんなのでも、幼なじみだから、かなり割引して欠点が抑えられる。
「浮気する時点でダメだっての。」
「……それだけど。」
「ん?」
弟が淡々とした、真面目な口調で私を見つめた。
「シーリンさんてモテるでしょ?」
フッ。
と私は笑った。
「浮気したら殺すと云ってあるわ。」
「………ええと、過去とか色々あったんじゃ?とかは?」
兄はガッツリドン引きして、弟は微かに腰が引けてる。
多分ね。兄弟だから理解出来るんだろうね。
私が本気だって。
ヤツの時は、言葉だけだったソレが、シーリン相手だと……実行を伴う真実になる。
全く。
神様の威力は半端ないです。
「愛人達とは手を切らせたわ。問題はこれからだもの。私を手に入れたからには、シーリンも私だけのモノになってくれないと。」
そう。
私にはもはやシーリンしか見えない。シーリン以外どうでも良い。誰も愛せる気がしない。
ならば。
シーリンも私だけで良い筈だった。
私は拳を握り天井を超えた先の、更に世界を超えた先を見据える。
――そうでしょう?神様。責任は取って貰います。
「愛人いたんだって。どう思います?」
「しかも複数ですか?ちょっと羨ましいです。」
兄弟がコソコソと囁き合っていた。
☆☆☆




