18◇番外編2◇シーリン趣味の友達
やはり清親まで書かないとね。
と、マイナーなりの理屈で……シーリンに趣味の友達が出来ました♪
いや。この人と、どう云う共通の趣味にしようかと考えてね。
結果、浮世絵にしちゃった。と云う。
あはは………(~▽~;)
☆☆☆
シーリンは北斎の美人画と、小林清親の風景画が好きだ。
水に映る灯りと夜の風景。朝靄。光と影のコントラスト。写真を学んだからこその清親の視点。
美しい風景画。
しかし代表作の美人画には然して興味は無い。
シーリンの好みは微妙に王道から外れていた。
「ええ〜?だからって明治丸出しな真っ赤な風景画は要らないなぁ。」
北斎の風景画は黙って受け取ったシーリンだったが、明治の流行とも云える赤は拒否した。
小林清親は好きだが、赤を使用した清親の画は、余り好みでは無かったのだ。
「大体何で作風無視した赤使ったのか、理解出来ないんだよね。」
唐突な赤。
明治の浮世絵に良く見られる色彩である。
小林清親には似合わないとシーリンは考えた。
淡く溶かした暖色なら受け入れるが、イキナリの不意討ちの様に、不自然な赤を使った絵を提示されたのである。
「ああ、それは。この時代に赤が出回ったから、皆使いたがったんですよね。」
小林清親も人の子である。
つまりはミーハーな心が、抑え切れなかったのである。
「え?そんな理由?」
時代色は絢爛な赤に彩られ、明治を浮き立つ様な背景に飾り立てていた。
その時代「色」が単なるミーハーの賜物だとは、目から鱗なシーリンだった。
その赤はそれ迄に無い「赤」だった為に、絵師達はこぞって使用したのである。
明治の浮世絵に、不自然な迄にその「赤」が目立つ理由がソレであった。
曰く。みんなが使ってるから使ってみたいよね?
曰く。初めてのハッキリした「赤」だよ!使ってみたいよね!?
と、まあ。
こう云う次第なのである。
「それは私も知らなかったな。」
「そうなの?諒は確か広重が好きなんだっけ?」
聖野一族が連れて来たのは、山瀬諒と云う美麗な青年だった。
浮世絵を蒐集する過程で、聖野一族が気を使うシーリンに興味を持った人間は少なからず存在する。
山瀬諒はその内の一人であり、聖野一族に顔もきく為に、紹介と相成ったのである。
山瀬家がシーリンが求める、北斎の美人画を所蔵していた事も大きかった。
シーリンは山瀬から譲り受けた美人画を、非常に気に入った。
人外の美貌を誇る二人の青年は、聖野一族の介添えにより邂逅を果たした。
「広重は雪景色がファンタスティックだよね。」
「ああ。叙情的なところが良いな。叙情性と云えば、小林清親の透明感がある風景画も好きだが。」
「やっぱり良いよね〜清親。」
聖野が認めるカリスマ、山瀬諒。聖野でさえ気を使う「無名」のシーリン・シラー。
社交の場では知らぬ者が居ない二人の青年の友情、永きに渡る交流の始まりがこの日の出会いだった。
山瀬の妻はともかく。
シーリンの妻は、その事態に引き攣る笑顔を見せた。
香苗・シラー。旧姓三田村香苗。
彼女が勤める会社は、間接的ではあるが、山瀬グループの傘下にあった。
山瀬グループの総帥は。
もちろん。
山瀬諒その人である。
人外どもめ……と。
香苗はこっそり呟いたかも………知れない。
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