その3
「見てて。面白い事発見したんだ。」
みらいは池の周りに張り巡らされた低い柵をまたいで越えていく。
彼女の体が空中にふわりと舞い、池に浮かんだ一枚の落ち葉に足をつく。
大き目の葉は沈む事無くみらいの体を水面に浮かべる。
みらいの足が水を蹴る。
水しぶきが光を反射しながら舞う。
すると彼女ごと葉は水面を滑っていった。
水面に波紋と軌跡を残しながら。
「みらい!」
危なげな彼女に声をかけると、振り返って手を振る。
そしてアイススケートのように滑っていってしまう。
僕は彼女を見守る。
池の向こう側へと大きく回りながら。
噴水をくぐり抜ける。
髪にしぶきを纏い風に乗る。
鳥と並んで滑ってゆく。
翼と風に翻弄されながら。
ターン。
クルクルと波紋をおこしながら。
戻ってきながら僕に手を振る。
微笑みは今までに見たことの無い輝きを放つ。
眩しさに目を細めながら。
僕はそれに手を上げて答える。
みらいは水面を回る。
クルクルと回り波紋が広がっていく。
光の中を。
水しぶきの中を。
みらいは踊るように滑走してゆく。
誰にも見えない。
僕にしか見えない。
こんなにも綺麗な。
息をする事も忘れるような。
煌く午後の一瞬。
池に映るみらい。
風と踊るみらい。
僕達がこれからどうなるのかなんて、全然想像もつかない。
みらいの未来。
僕の未来。
それすらも、何も…。
…。
でも。
この幸せな瞬間はここにある。
僕達が確かにここにいる。
みらいは踊る。
光り輝く水面を。
僕は目を細め、ただ見つめる。
水面に映る綺麗なみらいを。
きれいな。
奇麗なみらいをただ見つめていた。
<終>




