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Log-in 〝War〟ld  作者: 神崎はやて
プロローグ
1/14

Prologue 【Shall we dance?】

適材適所という言葉がある。


どんなものにもそれに適した場所というものがあり、そこが一番、力を発揮することが出来るのだという言葉だ。


どんなものにも、それにお誂向きの場所がある。だから、自分がここで力を発揮できないのは、ここが、自分が力を発揮するに値する場所ではないからだと――そんな、言い訳がましい台詞を吐くつもりはない。


だが結局は、その理屈に甘んじてしまう自分を否定できない。

人間というのは時に、今の位置に安住して、新天地へ旅立つことを恐れるものだ。


今、自室でパソコンのマウス片手に画面へ向き合っている少年もまた、そんな思考の持ち主であった。


風上 迅。それが、彼の名である。


市内の高校に通う、ごくごく普通の高校2年生。

家庭にも恵まれ、会社員の父親と、専業主婦の母を両親に持つ。

2つ下の妹は、兄の出来の悪さに溜め息をつきながらも、面倒見よく相手をしてくれる出来た娘だった。


一方少年自身は、特に可も無く不可も無くというレベルの日常を謳歌していた。


運動神経は十分過ぎるくらいにいいし、学業における成績も悪くない。


が、にも関わらず部活動は無所属――つまりは帰宅部で、代わり映えのしない学校生活を終えた後は、家へ帰って趣味のネットサーフィンに精を出す。


今日もまた学校から帰宅するなりネットを開き、夕食後も宿題と予習復習を済ませた後、意気揚々とパソコンを開いて、次々とインターネットを渡り歩いていく。


と、そんな中だった。


まさに、晴天の霹靂としか言いようがない。


いつもどおりサイトを渡り歩く最中(さなか)、ワインレッドの色をした、いかにも怪しげなサイトに偶然接続してしまったのだ。


その、トップに書かれているのは――。


「マスカ……レイド? 何だ、このサイト……?」


怪しいと思いながら、シンプルな字体で大きく〝マスカレイド〟と描かれた下にある、〝Mask in〟という文字を試しにクリックしてみる。


すると。


「なっ、おいおいおい!?」


突如、パソコンが勝手に何かをダウンロードし始めた。


しまった、ウイルスの類か!


そう思ったが既に時遅し、一旦始まったダウンロードは何故かキャンセルすることが出来ず、いくら弄っても〝ダウンロード中〟と表示されたウインドウは消えてくれない。


そして、ついにダウンロード率が100%となり、作業の完了を示す表示が映し出された。


「だ、大丈夫……なのか?」


何も起こらないことを理解すると、おそるおそる、ダウンロードされたばかりのファイルを開いて中身を確認する。


突如表示されたウインドウに一瞬意味も無く身構えるも、その内容を見、迅は思わず溜め息を漏らした。


「何だ、やっぱウイルスとかじゃなかったか……。……けど、これって一体、何のファイルだ……?」


見たところ、ウインドウにクリック出来る場所は何もなく、ただ一言、こう書かれていた。







『……Shall we dance?』









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