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美少女⑤彩~恋に落ちたらⅡ

女学院の一行は夢心地のアメリカ旅行を済ませ東海岸ロサンゼルスから帰国をする。


空港では買えるだけおみあげをパックに詰めていた。

「わあっ~やだなあ。もう日本に戻っちゃうんだなあ。アメリカンホットドック美味しかったなあ。日本に帰ったらつまんないなあ」

アメリカンファーストフードで満足したため一行はふっくらとしていた。


帰国した女学院の3年は夏休みである。大学内部進学が控えていた。


「私勉強嫌いだもん。内部進学して女学院大学で勉強してもだなあ」


ロサンゼルスで遊び癖がついてしまい勉強に身が入らない。


進学に迷いがあるのは裕子も同じである。


お嬢様学校の女学院高等部はほとんど全員が進学をする。


裕子ひとり就職を希望とはならないようだった。


「大学に行ったとしてもね」


中流家庭の裕子である。女学院のクラスメイトは医者・弁護士・会社社長と上流階級がずらりと並ぶ。


「裕子は(内部進学を)希望しないの?もしかしたら他の大学?受験するの」


弁護士の娘や医者の娘が心配して聞いた。


「そんなっ受験だなんて。無理よ。私成績よくないから」



進学について裕子は謎の人物となり秘かに夏休みを過ごす。


裕子が帰国してまもなくである。ティーネェージャー向き雑誌は発売日を迎えた。


今週の雑誌の表紙は全米で人気No.1のグラビアアイドルを使った。


「おおいっ。本当かっ!」

雑誌の売れ行きはいつになく好調で売店の軒先に山積みされたものは瞬く間に捌けてしまう。


「完売したのか!あのアイドルのおかげなのか。しかしだなぁ俄に信じ難いことなんだよなっ。発売日からすぐに完売するなんて」


購買層は女子高生を中心のアイドル雑誌。


元々人気のあるティーン雑誌。グラビアに人気モデルが飾っていたら完売も珍しいことではなかった。


表紙を飾るアイドルの可愛いらしさは売上に結びついたのではないかと編集部では見ていた。


「いやっ待ってくれ。全米No.のアイドルは毎度起用している。今週だけずば抜けて人気だとは言い切れない」


編集部は売上好調の本当の理由を知りたい。後々参考にしたい。


「インターネットで見てみるか」


年配の編集部管理職はハイティーンの(なま)の意見が知りたい。


雑誌名をインターネット検索サイトに書き込む。


"あのモデルってさあ~"


雑誌の呼び込みから読者の忌憚ない意見がわかる。


「うーん人気グラビアモデルは話題になってないじゃあないか」


"日米対決!参っちゃうなあ"


「うん?日米って」


編集部では話題にもならないなんのこともないシロウトさんが女子高生の話題である。


"アメリカンガールがつまんないんだよね。だからジャパニーズに見劣りしている"


"いやっジャパニーズはカワイコチャンとは思わないわ。背が低い(足が短い)。バストも発展途上なのよ。ボイッシュなアメリカンがどう見ても美形"


アジアンにアメリカンが負けてしまうなんて。あってはならないこと。


編集部はため息すら出ない。


「なんだかなあ。三面記事にも劣るシロウトグラビアだぞ。日本vsアメリカの女子高生対決が人気にある。理解できない」


くだらない話しだ


アメリカンのハイスクールガールは雑誌を買い求め学校でクラスメイトに見せびらかし自慢気であった。


「へぇ~この幼いジャパニーズガールが人気なの。どれどれ見せて見せて」


アジアンビューティーにはとんと興味なしのアメリカン編集部の男性記者たち。

「うん?ちょっと…」

ジャパニーズ裕子のグラビアのクレジット(紹介記事)

なっなんだ!


ジャパニーズ裕子の可愛らしさはハリウッドのエグゼクティブの折り紙つき。


ハリウッドで一大勢力を誇るエグゼクティブ。その名を見るだけで背筋がゾクッとしてくる。


エグゼクティブの多角経営する会社のひとつがこの出版社。子会社・孫会社扱いであった。


「エグゼクティブがハリウッドで発掘をしたモデルとクレジットされている」


編集部はスチールを撮影したカメラマンがちょこちょこと記したクレジットまで検閲はしなかった。


ハリウッドの大御所エグゼクティブが背後にあるとなれば。


編集部は再度ジャパニーズ裕子をプッシュする使命を持っていたのかもしれない。


同じくハリウッド映画のパンフレットにも裕子のスチールが使われておりこちらもじわりじわりと好評を得るのである。


編集部はしげしげと裕子のグラビア写真を眺めるのである。


「ジャパニーズ裕子か」


アジアンに興味があろうがなかろうが名前と顔を覚えたのである。


アメリカでミス裕子のグラビアが話題となる頃は日本は初秋の季節であった。


来春に女学院高等を卒業する裕子は進路を決めなければならない。


「ねぇねぇ~知ってる?みんな聞いて聞いて」


クラスメイトがこそこそと裕子の噂を広めている。


「ハリウッド旅行で裕子が写真を撮ったでしょ。あの写真は女子高生用の雑誌に掲載されたんだって」


インターネットを検索したら"ミス裕子""ジャパニーズガール"でヒットをしたらしい。


(女学院裕子でも)


「裕子のグラビアだけど」

カチャカチャと携帯画像を開示してみせた。


「えっ!これが裕子なの?まるでアイドルのプロマイドだわ。売れっ子のアイドルじゃあないの」


本当に裕子だろうか


「ハリウッドは違うわね。化粧の技術とカメラマンの腕なのよ」


女学院にいるクラスメイトの可愛らしい女の子は裕子は裕子である。こちらは庶民的な可愛らしさではないか。


ジャパニーズ裕子として名乗るグラビアモデルは赤の他人。


よく似た顔だちはケバさが尋常ではない。まったくの別人ではないか。


「よくよく見たらすごいね。ねぇねぇ。いつもモデルさんの写真を見て思うけど…」


女ってさあ~化けるわねぇ~


女学院の生徒が何気なくインターネットで見つけたジャパニーズ裕子(アメリカン雑誌グラビア)。


すぐに男の子らが日本語サイトに転記してアメリカンから日本で話題になる。


「アメリカの雑誌に掲載された女の子なんだろ。日系なんだ。ロサンゼルスかっ。ハリウッド?スゲー」


Yahoo!の翻訳機は調子よくポイントを外します。


エグゼクティブ(社長)=優雅な人(誤訳


ジャパニーズガール裕子=日系の女の子


「ハリウッド映画で活躍の女の子だな。ミス裕子って言うのか。ケバさは際立つけど。素顔は庶民的な女の子みたいだなあ」


インターネットで転記した裕子は遠くロサンゼルスに在住している。


ロス在住で日系裕子にされたままモデルをハリウッドでしていると誤報をされていく。


「日系が頑張っているのか。そんな異国の土地で。よしっ頑張って売れっ子モデルにしてあげよう」


日本からアメリカン雑誌にインターネットの声が届く。


アメリカンから日本から。女子高生や年頃の男の子。日米問わずグラビア裕子は支持されていく。


「インターネットの裕子?どんな女の子が棲息しているんだい」


アンダーグラウンド的な存在から噂となり広がった。

アメリカン雑誌にいるモデルは日本の芸能界に名前とグラビアが知れ渡る。


「この女の子がアメリカンで人気なのか?ロス在住の日系ねぇ」


話題性のある女の子は日本芸能界にちょくちょくチェックをされピックアップもされる。


グラビア雑誌・ファッション・タレント


…となると


大手の芸能プロダクションがネットの書き込みを信じ日系の女の子を探し出してみる。


たちどころに日本にいる裕子とわかりアクセスをする。


可愛い女の子てわかりモデル・タレントにスカウトをする。


カワイコチャンの裕子は喜んでプロダクションとタレント契約を結ぶ。


気がついたら…


シンデレラ姫の裕子


お茶の間デビュー


…めでたしめでたし


ちょっと待った!


裕子の芸能界デビューのサクセスストーリーはでき過ぎ。


現実は…


実話としての事情は…


インターネットにこっそり棲息する


男の子に人気を集めた女の子はあくまでもアンダーグラウンド。


テレビや映画で活躍をする芸能界とは無縁なもの。明るい青少年にお目にかかる立場でなかった。


明るくて元気はつらつ。


庶民的な女の子が裕子である。


健康的に太陽の燦々と光輝きな表街道を歩く世界からの"お誘い"…


女学院の女子高生の知る知識になかった。


リーンリーン


秋の気配が感じられる頃である。裕子の携帯が鳴る。

リーンリーン


うん?


受信履歴を裕子は見る。


「誰かしら。登録のない電話だわ」


裕子の運命が決まる瞬間だった。

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