母親を殺して「小説家になろう」へ来た人の話
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母親を殺して「小説家になろう」へ来た人の話
作者:片金おとこ しおりしおりを挿む
彼は小学3年生の頃に、いじめが原因で不登校になりました。
母親は彼を甘やかせますが、父親は厳格であるももの子供の事には無関心で面倒事は全て妻に任せるというものでした。それにより彼は自宅学習という特例措置を受けて学校へ通うことなく義務教育を終えます。
ですか、彼には学習障害という障害がありました。学習障害は当時としては認知されていない類の物で彼自身も、また誰一人として、その障害に気付きませんでした。、
この障害は、その名の通り学習するのが困難な体質であり障害なのですが、彼は成長するに従って障害がより強いものへとなっていきました。。
彼は母に愛されていると思っていました。
また母も彼を愛していました
ですが母の愛は強すぎました。
母は彼が学習障害である事に気付かず皆に遅れを取らない様に必死で勉強を教え込もうとします。
その甲斐があって彼の学力は同世代のそれと比べて高いのでしたが、時間が経る毎に障害が悪化し、新しい事が覚えられなくなっていきました。
学力は同年代の子らに、いつの間にか追い越されて彼自身も母親もその事に絶望しました。
ですが母は彼に、その絶望する自分の姿を一切見せまんでした。
外の世界と一切の交流が経たれて約3年が経ちました。
もし、学校へ通えば中学1年となる時期になりました。
この頃から父親が彼に関心を示し始め学校へ行かせる様に手続きを始めました。
理由は初対面からならば新たな友達が出来き、集団の輪に一から入る必要も無いと考えたからです。
しかし、上手くはいきませんでした。
彼は自分を周囲と比べる事により劣等感を感じる様になりました。
それもその筈で、彼は友人が居ない生活が当たり前である日常であり、それが彼の中での常識だった。
周囲と常識が違えば、彼が行う振る舞い方は周囲のそれは違うもので、否応なしに区別する意識が芽生える。
彼は周囲と同じ様に振舞いができない自分に強い苛立ちと、クラスメイトから必要とされない事による劣等感を感じていました。
それにより不登校に戻るのですが、父親はその事を談じて許しませんでした。
彼は表面上、学校で友人も作れて、それなりの形で社会に溶け込めていたので、今、その道から逸れるのは悪い事であり逃げと判断したのです。
彼も母もそれが正しいと思い同意しました。
しかし、父親は仕事柄、朝家にはいません。
彼が朝、必死で学校を休みたいと母親に懇願すれば願いは叶います。
学校の理解できない勉強よりもマイペースで勉強した方が身になると判断した母親は、彼の言いなりになりました。
しかし、頑張っても学力が身に付きません。
あの手この手で試行錯誤しましたが母親も疲れ果てストレスが貯まり諦めました。
学力の無い不出来な子として認め、学校に行かせようとします。
母としては学力が無くても社会適応できればどうにかなると考えるに至ったのです。
でも、彼は自分を不出来な子として認めたくなかった。
散々、努力して勉強したのに身に付かないのは、彼が一番気にしていたからです。
プライドと自尊心がズタズタの状態で彼は登校するのだけれど、勉強しか知らない彼は友人とは何も話題が会わない事を知りました。
何を言葉にしても自分から気を使うばかりで、何処にも居場所がありません。
周囲の楽しそうな友人の輪を見る度に羨ましく思うも、どんなに頑張ってみても、そのらしい関係が作れないのです。
その苦痛に耐えかねて彼の不登校がまた始まります。
泣きすがる彼を母親は甘やかせますが、同時に子供の将来に対しての不安を募らせていきました。
その不安を母は父に相談をしました。。
父親は彼と話をしました。
どうして学校へ行きたくないのかを聞き、なぜ行くべきかをとことん話しました。
でも彼は自分の学校での苦痛を言葉に出来なかった。
勉強も駄目で人間関係も駄目等という親不孝で否定的な現実をどうしても親に話せなかった。
彼は泣くばかりで会話の無い状況が続き父親を激怒させます。
その日の彼は説教をされて眠りにつきました。
翌朝、父親は無理やり彼を学校へと行かせようと引っ張り出そうしました。
しかし、彼はそれに断固抵抗します。
モノに対して八つ当たりしまいた。
彼は、そんな事しかできない自分が余計に情けなくて、情けない自分が両親にそれが見られているのが悔しくて、どうにも出来ずパニックになり八つ当たりがエスカレートしていきました。
テーブルの食器はグチャグチャに散乱して、その姿を両親は呆然と見ていました。
日頃大人しい彼からは、想像も付かない光景だったのでしょう。
その暴れる彼を止めようと母親が力ずくで抑えようとしました。
その拍子に彼は母親を突き飛ばしました。
母は気絶しているのか動きません。
彼は、自分のした結果を目の当たりにした瞬間に自分を殺そうと決意しました。
台所の包丁を手にとって死のうと試みたのですが、父が割り込み、もみあいになりました。そして父親も突き飛ばしました。
その拍子に父も母と同じように気絶しました。
唯一違ったのは、父親の腹部に包丁が刺さっていた事です。
彼は包丁を抜き取った後に、父を殺したのを自覚しました。
母は、まだ、生きているかもしれないと思う彼は、それでも自分が父親を殺したという最悪な事実だけは母に知られたくなかった。
彼は母親にこの不幸の現実を知らずに居て欲しい。
そう思い彼は母を殺しました。
彼は何度刺したか判らない程刺した。
刺せば刺すほど自分が何をしているのか判らなくなってパニックを起こす彼は、
死の基準が何処にあるのか判らなくて、泣きながら何度も刺したのです。
彼はその後、自分で自殺を図ろうとしましたが、どうしても死ねなかった。
逃げる様に家を飛び出し、日が暮れた。
行く当ても無く結局、家に帰ると、そこで警察に逮捕された。
通報したのは父親だった。
父は気絶していただけで、重症であったものの一命は免れていたのです。
彼が親を殺したその時、13歳。少年法と障害が考慮されて罪は軽く、5年で少年院から出所した。
彼は父親と会って話しました。
自分がなぜ、こんな酷い事ができたのかを話した彼は父に受け入れられた。
全てを受け入れられ、それでも許してくれる父の存在は彼にとって大きくて、だけど、それ以上に自分のしでかした行為に罪を感じた。
親の愛を感じれば感じる程に、母を殺した事を自覚せざる終えない訳で、その苦しみから逃れる為に、何度もリストカットした。
けれど、その都度、父が止めに入り彼は生きていた。
父は何度も言いました。
「お前が生きているだけでいい。」と……
ある日、彼は自己分析をしている内に「小説家になろう」にて出来心で、この話の一節を投稿しました。
すると絶賛する読者が一人現れ、その人と友達になりました。
彼はその人の事が好きで、その人の小説を読む内に次第に自分も小説らしいものを書きたいと願うようになりました。
彼は沢山の小説を読み書き、日々を現実逃避していたら、沢山の友達が出来てしまいまいた。
友達と付き合う内、自分が必要とされている事を感じた彼は、自分の立場を思い出しました。
『好かれる様な人間じゃない』『人を好きになって良い人間じゃない』と……
それからというもの、友人と交流する度、親を殺した時の恐怖と罪悪感が蘇ってしまいました。
その苦しみに耐えられなくなった彼は自問自答を繰り返した。
その結果『嫌われたい』『恨まれたい』その方がきっと楽であると、そう考える様になりました。
そして、彼は人に忌み嫌われる様な愚かな行為を始めた。
だけど、彼の優しさを既に知ってしまった者には全く通用しなかった。
ある程度は彼らと離れる事ができたけれど、彼自信は人が好きで必要としていた。
現実世界で友達が居なかった彼にとっては、ココは憩いの場であって、
どうしてもココに来て、つい皆を見てしまう。
その都度苦しみを思い出してしまう彼は逃げた。
誰とも交流を交わすことなく逃げ続けた。
でも、駄目だった。
思い出を消す事は彼には無理だったのです。。
つらそうな人を見てしまうと、つい、励ましたくなって声を掛けてしまう。
しかし、その都度嫌な記憶が蘇る。
彼は思いました。
『せめて、誰かを傷付けずに恨まれる術があったなら、自分が必要とされるなんて思わない。そしたら少しは苦しまなく済んだのに……』
そう思った彼は最後に友人に聞いた。
『誰かを傷付けずに恨まれる方法ってないのかな?』
でも、そんな方法は、ありはしなかった。
嫌な記憶を思い出し自殺未遂を繰り返そうとしてしまう彼は、その都度、父を困らせます。
その都度、2人は苦しくて苦しくて……でも、ようやく晴れた。
彼の父親は病気で死んでしまいました。。
残された彼の自殺を止める者が誰も居ません。
これ以上苦しまなくて良いと理解した彼は父の後を負う様に自殺へと向かいます。
おしまい
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