7. 『音楽の世界』
すみません、丸2日も遅れてしまいました。ちゃんと理由はありました。
ですが、ご覧の通り、小説はまだ続いています。僕は投げ出していないし、死んでもいません。
次の章はちゃんと時間通りに投稿できるように頑張ります!
新しい現実での最初の朝は、僕たちが食料を買いに店へ向かうところから始まった。
太陽の姿は見えなかったが、黒いベールを通して差し込む光で、朝と夕方の区別はついた。
光は考え事をしながら食料の袋を運んでいた。
ピアノを探し始めようとは決めたものの、どこから始めればいいかはまだ分からなかった。
僕たちのポケットには願いごとのリストが入っていた。
目が覚めてからずっと、まだ追加したい項目を考えていたけど、この状況ではできることが限られていて、何も思いつかなかった。
他の国には行けないし、パラシュートで飛び降りることもできない(できたとしてもやらない)、新しい言語を学ぶ必要もなくなってしまったし、そんなふうに諦めたことは他にも山ほどある。
だから、無理に考えようとせず、自然に心に浮かんだ願いだけを書くことにした。
無理やり絞り出した願いごとに、リストを使いたくない。
でも光は、そんなことは気にしていないようだった。
彼の思考はただ一つのことに集中していて、それ以外のことに頭を使うつもりはなさそうだった。
「えーと、一番近い楽器屋まで歩いて三十分くらい、だよな?」
「たぶんね。秋葉原にはもう長く行ってないから、正確には分からない。」
「たぶん、楽器は全部壊れてると思う。だから、修理できる人を探さないといけないな。どこにいるか分かる?」
「全然分かんない。壊れたピアノを直せる知り合いなんていないよ。」
「じゃあ、問題はその都度解決していこう。まずは楽器屋に行くぞ。」
「賛成。帰ったらすぐに向かおう。」
キッチンには光の両親が座っていた。
光がやっと十分な量の食料を持ち帰ってきたことに、明らかに喜んでいた。
でも、もし彼らが自分で買いに行っていたら、そこまで喜ばなかったかもしれない。
たった一日で、スーパーの食料は目に見えて減っていた。
半分まではいかなかったが、このままのスピードで減り続ければ、すぐに別のスーパーを探す必要が出てくるだろう。
「お母さん、お父さん、勇がうちで暮らすのって、反対じゃないよね?」
その言葉に、彼の両親は僕を値踏みするように見た。
少し緊張したが、彼の父は肩をすくめて言った。
「四人分の食料をちゃんと持ってくるなら、俺は反対しないよ。」
「よしっ!じゃあ、俺の部屋で一緒に寝よう。」
「分かった。」
僕たちは布団を取り出して、光の部屋に運んだ。
床に布団を敷いてから、楽器を探しに家を出た。
道中、光はずっとペンを手にし、音符が二つ描かれ、そのほかの大部分が線で消された紙を見つめていた。
彼はずっと何かのメロディを口ずさんでいて、たまに音を書き加えるが、すぐにそれをまた消していた。
「そのメロディ、いつから作ってるの?」
「この紙に書こうとしたのは昨日から。でも実はもう一年ぐらい、何か書こうと頑張ってたんだ。でも全部気に入らなかった。昨日やっと、この二つの音だけ書けたんだ。」
「へえ、長かったね。」
「うん。何を書いても、なんか違うんだよな。」
数十分後、僕たちは小さな楽器屋の前に立っていた。
看板には『音楽の世界』と書かれていた。
店の入口にはサックス、ドラムスティック、ドラム本体、そしてアイドルグッズが並んでいた。
少し奥に進むと、鍵盤楽器のコーナーがあった。
「じゃあ勇、試してみようぜ。」
逆さまに置かれたピアノやシンセサイザー、グランドピアノの鍵盤を片っ端から押してみたけど、まともに動くものはなかった。
僕たちはかろうじて音の出るピアノの前に立った。
いくつかの鍵盤は調律が狂っていたし、鳴らない鍵盤もあったけど、それが一番マシだった。
少なくとも鍵盤が壊れていない。
ピアノが決まると、光はCDやグッズなどが置いてある部屋へ行った。
少しして、彼は一冊の本を持って戻ってきた。
「はい、これ。」
それはピアノの独学用の本だった。
僕はそれを受け取ってポケットに入れようとしたが、入らなかったので手で持つことにした。
本をポケットに入れようとしている間、ずっと気になっていた質問が頭に浮かんだ。
「で、ピアノを修理する人って、どうやって探すの?」
「今のところ分かんない。会う人みんなに聞いてみよう。並行して、自分たちでも直せるように頑張ってみよう。パンフレットがあったんだ。」
「じゃあ、いつ始める?」
「今すぐ行こう。どうせ他にやることもないし。」
出口に向かう途中、僕は弦楽器のコーナーを見た。
一つのギターだけがなぜかガラスケースの中に入っていた。たぶん高価なんだろう。
ガラスはすごく頑丈そうだった。近くには壊れたギターがいくつか落ちていた。
その透明な箱に守られて、そのギターだけはまるで何事もなかったかのように、完璧な姿でそこにあった。
でも今は、それが重要じゃなかった。
僕たちは楽器屋を後にし、修理してくれる職人を探す旅に出た。