2. 誕生日
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映画ではすべてが違って描かれていた。
地球に隕石が落ちてくる終末映画を見ると、政府のスーツを着た偉そうなおじさんたちが、こんな感じのカッコつけたセリフを言う。
「我々にはちょうど二十四時間しかない。ヤツに連絡しろ。」
その言葉のあとで、なんかすごい男が宇宙に飛んでいって、レーザー砲でそのでかい岩をぶっ壊して人類を救うんだ。
うん、たぶん映画だったら、そういう風に描かれてただろうな。
でも、俺は映画の中にいない。
すべてはほんの数秒で起こった。
あの岩の塊はどこからともなく現れた。そして二十四時間もかけて落ちてきたんじゃない、実際には十秒ほどで全部終わったんだ。
あとから
「その時はまだ、何が起きているのか、自分に何が待っているのか分かっていなかった」
みたいなことを言いたいところだけど――
嘘になる。俺は分かってた。みんな分かってた。
『本日、東京都新宿区は一日中晴れの予報です。風もなく、暖かく、降水確率は0パーセントです。』
――じゃあ、なんでだよ!?
空にあのクソでかい物体が現れた一瞬、なんで風が吹いた!?爽やかな海風じゃねぇ!
雨は降らない?あの巨大な岩の塊は「降水」に入らねぇってのか!?
騙したのか!?嘘つきが!クソ女!ふざけんなよ、畜生!!
でも、俺はまだ運がよかった。
何が起きているか理解できて、動けずに固まることはなく、すぐに地面に伏せて、足を体の下に折りたたみ、手で頭を覆った。
どうやって落ちたのか、友達が何をしたのかは見なかった。
手で頭を覆い、耳を塞ぎ、目をぎゅっと閉じた。
まるでまぶたで目を潰してしまいそうなほどに。
多分、これが夢であってほしいと思っていた。
ゴロゴロという音。
静寂。
その静寂の数秒後、周りのすべてが衝撃波で吹き飛ばされた。
その後、耳をつんざく静寂は、同じくらい静かな叫び声と泣き声に変わった。
その衝撃の力は建物を倒し、窓ガラスを割り、木々を根こそぎ引き抜いた。
車や人々、信号機が一瞬空中に舞い上がった。すべてが。
俺も吹き飛ばされた。
俺はある家に飛ばされ、その家が俺の動きを止めて肋骨を何本か折った。でも痛みは感じなかった。全ての痛みは恐怖で鈍くなっていた。
大きなガラスの破片がいくつか俺の太ももに刺さったことすら感じなかった。
とにかく、俺はとても怖かった。
すべては始まったのと同じくらい早く終わった。
なんとか立ち上がり、周りを見渡した。
これから俺が生きていくことになる世界を。
これはむしろ悪夢のようだった。
いや、違う。俺が見た悪夢はそんなに怖くなかったし、俺の悪夢はたぶん大多数の人の悪夢と変わらなかった。
俺が見た周りの光景は、自分が想像していた終末とは比べ物にならなかった。
俺が見たものは悪夢とは呼べなかった。
これは地獄だった。
かなり多くの人がガラスの破片を頭に受けていた。多分、彼らはもう死んでいるだろう。
誰かはレンガや木の枝やそれに似たもので頭を割られていた。
それでも生き残った人もいたが、恐怖のために立ち上がることができず、ただ理解できない目で前を見ていた。
友達はどうなったんだろう?
周りを見回した。
彼は俺の少し左側に横たわっていた。頭から血が流れていた。
俺と同じようにあの建物に吹き飛ばされたに違いないが、壁に頭を強くぶつけたらしい。
生きているのだろうか?
「うあああああああ!!!」
それは小さな女の子が泣いていた声だった。
たぶん、俺は彼女をちらっと見た。彼女は頭に帽子をかぶっていて、そこにはこう書いてあった:
『Happy birthday!』
彼女は母親と一緒に歩いていて、手には風船を持っていた。きっと今日は彼女の誕生日だ。
母親は彼女の前に倒れていた。間違いなく死んでいる。
おそらく母親は飛んでくるガラスや枝、レンガから娘を守ったのだろう。
でも女の子も傷ついていた。腕にはいくつかの破片が刺さっていて、主な衝撃は母親が受け止めていた。背中から突き出たガラスや枝のせいで、まるでハリネズミのようだった。
こんな風になってしまって悲しい。女の子は六歳くらいに見える。
君がこの出来事を乗り越えられますように……
……誕生日おめでとう。