13. 不信
ええええっ 0_о!? 新しい章がついに出たの о_0!?
俺はしばらくの間、彼の手を握ることをためらっていた。
条件? どんな? もしかして、俺が彼に迷惑をかけすぎたせいで、今度は俺を厄介払いしたいのか? それとももっと悪い? 光を消せとでも? なぜ? そうだ、俺たちのことをあの境井が報告したんだ。じゃあ、俺たちはこれからどうなる?
「お前にはただ、口を閉じていてほしいだけだ。」
「え?」
「余計な問題を起こしてほしくないだけだと言ってる。」
「それだけ?」
「それだけだ。」
そんな簡単なはずがない。
「で、でも……境井さんが……」
「お前にとっては“境井様”だ。俺は上下関係を乱されるのが嫌いなんだ。」
「……境井様はきっと、起きたことを話したはずです。」
「もちろん、すべて聞いている。境井様のことは心配しなくていい。しばらくは顔を合わせることもないだろう。もし会ったとしても、気にする必要はない。お前の友人のことだが……今、“予防的な”面談をしているところだ。」
何だよそれ、予防的な面談って。嫌な予感しかしない。
「じゃあ、俺との面談は終わりですか?」
「ああ、十分だ。」
「それじゃ、失礼します。」
「行け、幸運を祈る。」
俺は全速力で走った。
光に何をしているんだ?
色んな最悪を想像したが、戻った時には全てが元通りだった。
皆の視線が一斉に俺へ向いたが、誰も何も聞こうとはしなかった。最初に沈黙を破ったのはヒカルの父親だった。
「何を話していたんだ?」
「別に大したことじゃない。光と俺が宗教に加わる気はないのかって聞かれた。まだだって答えた。」
「じゃあ、バーでの件についても咎められなかったのか?」
「俺も驚いたけど、余計な質問はしないことにした。」
「そうか、賢明な判断だな。」
「それよりも、光と何か“面談”をしたと言っていた。本当か?」
俺は光の方を見たが、彼は何も言うつもりがないようだった。代わりに話を続けたのはヒカルの父親だった。
「そうだ。彼の側近の二人が来て、少し離れた場所でヒカルを呼び出した。五分ほどして戻ってきたよ。」
俺は再びヒカルの方を向き、答えを待った
「話しただけなんだよな? それ以上は何も?」
光は沈黙を保った。
それを見た父親が、軽く注意した。
「おい、息子。話しかけられているのがわからんのか?」
「あ、うん。ただ話しただけだよ。」
……嘘じゃないよな?
「何を話したんだ?」
「俺も宗教に入る気はないのかって聞かれた。それだけ。」
「で、なんて答えた?」
「まだその気はないって言った。」
……そうか。光がそう言うなら、それが本当なんだ。
彼が俺に嘘をつくはずがない。
「わかった。」
俺たちは三時間後に作業を終えた。
最後の遺体を積んだ荷車を運び終えた時、ようやく俺は“死の穴”を覗き込む勇気を出した。
それは巨大で、すでに半分ほど埋まっていた。
死体だけでなく、そこには蠅の群れがいた。数えきれないほどの蠅が。
彼らは死体の上を飛び回り、その光景を楽しんでいるかのようだった。
中には飛ぶのをやめ、饗宴を始めた者もいた。
亡者の顔の上を這い、耳や鼻の穴に入り込み、絶望に満ちた瞳の上にとっていた。
普通の人間なら、その光景を見ただけで吐き気を催し、
一週間は食事どころか肉を見ることすらできなくなるだろう。
だが、もう誰も“普通”ではなかった。
生き残った者たちの目に映るこの現実が、あまりにも自然で、当たり前のことのように感じられた。
――それが、何より恐ろしかった。
重い一日が終わり、皆が疲れ切っていた。
夕食を終えると、俺たちは無言のまま互いに「おやすみ」と言い、目を閉じた。
光はすぐに眠りについたが、俺は違った。
あの預言者の言葉が頭から離れなかった。
「なあ、起きてる?」
「ん……?」
まだ起きてるな。
「いや、なんでもない。おやすみ。」
「んー。」
俺は三十分ほど、眠ろうともせずに横になっていた。
むしろ眠気と戦っていた。
――真実を確かめる必要がある。
「光、寝たか?」
「……」
念のため、さらに十分ほど待ってから、できる限り音を立てずに体を起こした。
そっと彼の掛け布団をめくると、裸の身体が目に入った。
……たしかに、暴行の痕はなかった。




