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十一話

 祝詞を唱え終えた香菜姫が、再び開手を二回打ち、二度深く礼をすると、華王はゆっくりと降りていった。それにつれ、領民達が口々に叫んでいる言葉の内容が、明確になってくる。


(どうやら、上手く効いたようじゃな)


「「「「聖女様、ありがとうございます!聖獣様、ありがとうございます!」」」」


「「「ありがとうございます!おかげで傷が治りました!」」」


「「「井戸が復活しました!水が飲めます!」」」


 その場を埋め尽くさんばかりの歓声の中、先程と同じ場所に降りた香菜姫の前に、クラッチフィールドと兵達、そして領民たちが走り寄って来た。


「ありがとうございます!どれだけお礼を言っても、言い足る事はないでしょう。我らクラッチフィールド領の者は、生涯、聖女様の御恩を忘れる事はありません!」


 先頭にいた領主が言葉と同時に深々と頭を下げると、兵士達も同様にお辞儀をする。当然、周りにいた領民達もまた、それに倣う。


 魔獣が退治され、傷が治り、水の心配の無くなった彼らの喜びにあふれた顔に囲まれ、感謝の言葉を浴びせられた香菜姫は、少しばかり照れくさそうにしながらも、皆の傷が治って良かったと微笑んだ。その言葉と笑みに、再び皆の頭が下げられた。



 門周りの魔獣達の片も付いたのだろう。討伐隊の面々も、誰一人欠けることなく、全員無事に戻ってきていた。


 その横では、兜を脱いだ周王が、やはり領民(主に女性と少年達)に囲まれながら、『白銀の勇者様!』『素敵でした!』と持て囃されていた。彼らにすれば、見たこともない形の鎧兜に身を包み、長い白髪を後ろで一つに結んだ周王は、まさに異世界から来た勇者そのものに見えるのだろう。


 そして崋王はといえば、聖女様の聖獣様として、幼い子供から老人にまで(かしず)かれ、その前には、ささやかながらも思いのこもったお供えが、次々と積み上げられていた。その中には幼い少女が摘んだ、可憐な花もある。


 まんざらでもないどころか、嬉し気にニヨニヨと笑う狐達を見た香菜姫が、


「お主達、どちらも鼻の下が伸びて、だらしのない顔になっておるぞ」


 と、からかうような言葉をかけると、


「「そんな事は!」」


 慌てた様子で同時に己の鼻周りを隠す。その慌てぶりが可笑しかったのか、領民達の間から笑い声が起きた。


 するとその時、今まで開くことのなかった神殿の扉がそっと開き、中から髭を貯えた白衣の男が顔を出したのが姫の視界に入った。男はしばらく辺りを見回していたが、近くにいた領民に声をかけ、何やら質問しているようだ。

 聞かれた領民が此方を指差し、何か喋ったため、髭の男は香菜姫の事に気づいたようだが、じっと姫を見るものの、特に何をするでもなく、最後は不快そうに眉をしかめたかと思うと、黙って扉を閉めた。


(なんじゃ、あれは。何やら、当てが外れたような顔をしておったが…まぁ、よい)


 香菜姫は、神殿の髭男の行動が気になりはしたものの、先ずはこちらだと、いまだに礼を言い続ける領主に向きあうと、


「さて、クラッチフィールドよ。一応片はついたものの、妾は今回の事について、詳しい話を聞きたいと思うのじゃが、良いか?」


「あぁ、そうですね。でしたらお疲れでしょうし、討伐隊の皆さま共々、私の屋敷にお越しいただければと。何分、このような状況のため、大したものは出せませんが、お食事の用意もいたしますので」


 妾は構わんがと、確認するようにバーリーの方を向くと、彼も頷いたため、


「あい、判った。では、世話になるとしようぞ」



   **



 先程の場所から歩いて四半時程の所に、クラッチフィールドの屋敷はあった。それは立派な鉄柵に囲まれた広い庭のある三階建ての建物だが、今その庭には、いくつもの天幕が張られ、多くの領民達の寝起きの場所として、使われているのが見てとれた。


「ここにいるのは、兵士達の家族です。あの柵には魔獣よけの魔術が掛けてありますから、外よりもいくらか安全なんです。命を懸けて戦ってくれる兵士達に少しでも報いたかったので。幸い、妻も理解してくれましたので…」


 その時、天幕の間で談笑していた葡萄茶(えびちゃ)色の髪の女性が、こちらに気が付き、笑顔で走り寄って来た。その側には、同じ髪色だが領主によく似た面差(おもざ)しの少年がおり、同じような笑顔で走って来る。


「旦那様、お帰りなさいませ!」


「父様、お帰りなさい!」


「妻と息子です。二人とも、ご挨拶を。討伐隊の精鋭部隊の方達と、聖女様だ」


 クラッチフィールドの言葉に、抱きつかんばかりの勢いで走ってきた二人は慌てて立ち止まり、


「こ、これは、申し訳ありません。ダリルの妻のベリンダと申します。聖女様、この度は、真にありがとうございます。領民共々、心から感謝致します。それと、これは息子のダルトンです。ダルトンご挨拶を」


「はじめまして、ダルトン・クラッチフィールドです。あの、聖女さま!聖女様の癒しの雪、すごかったです!怪我なんて、ぱぁっと治っちゃって、みんな、すっごい喜んでました!それに白銀の勇者様は、空を飛ぶように駆けるし、ものすごく強くて、かっこよかったです!」


 母親が止める間もなく、矢継ぎ早に語る少年の瞳は、憧れや尊敬で溢れていて、さすがに香菜姫も、少々面映ゆい。


「そのように言うてもらえると、うれしいの。じゃが、其方(そち)の父も優れた射手ぞ。それに、兵達も優秀じゃ。彼らが今日まで持ちこたえてくれたからこそ、我らは間に合うことができたのじゃからの。ダルトンよ、大いに誇るが良いぞ」


 憧れる相手から父を誉められたのが、嬉しかったのだろう。少年の笑顔がいっそう明るく輝く。どうやら、《大好きな父様》が、《尊敬する大好きな父様》に変わったようだ。父親を見る目が、いっそう誇らしげとなっている。

 その様子をほほえましく見守りながらも、それ以上息子が暴走しないよう、その肩をガッチリと掴んでいる母親にも、姫は声をかけた。


「それと、妾の名は香菜じゃ。ベリンダよ、少しの間、世話になるぞ」


「もったいないお言葉。たいしたおもてなしもできませんが、ごゆるりとなさって下さい」


「後は、まぁ、私の姉とその娘が先日までいたのですが、今は神殿に避難していまして……」


「神殿とは、あの背の高い建物じゃな」


「はい。あそこは建物自体が堅牢な上に、魔獣よけの魔術が幾重にも掛けられているので、ここよりもずっと安全なんです。だから、姉や姪を始めとして、近隣の裕福な商人などが数名、避難しています。私としては、怪我人や老人、子供の避難所として使いたかったのですが、何分神殿長との話し合いが上手くいかなくて…」


 自嘲気味に苦笑するクラッチフィールドに、周りの者達も困ったような顔をしたため、この時点で、香菜姫の中で神殿長という者の評価は、大変低いものに成り下がった。


 通された部屋の中央には、大人が何人も横になれそうな台がおかれ、その両脇には、背もたれ付きの腰掛けがずらりと並べられていた。台の上には、汁物や獣の肉の焼いた物、小麦の饅頭を切った物等が置かれており、果物が盛られた皿もある。


 皆が腰掛けると、同じ衣装を纏った男達の手によって、赤い飲み物が入った足付き杯が配られた。少し酸味のある果物と酒精の香りがすることから、香菜姫は、南蛮人が好んで飲むと言われる葡萄酒のようなものだろうと、当たりをつけた。


「聖女様と、討伐隊の活躍、そして、我々を悩まし続けた、憎き巨大魔素溜まりが消滅した事に、乾杯!」


 立ち上がって、杯を持ったクラッチフィールドの言葉に、皆も杯を持ち、乾杯と応える。


 そのまま多くの者が、一気に杯を空けているようだったが、飲み慣れない酒精は、どのような酔いを招くか判らないため、香菜姫は浄化の真言を素早く唱えると、一口二口飲むに、留めておいた。


 そして、勢いよく飲み干したクラッチフィールドから、ようやく今回の詳しい話を聞く事ができた。


「あの巨大な魔素溜まりは、今から十日ほど前に、突然できたのです。それまでにも小さな魔素溜まりはいくつか確認できていたのですが、あんなに大きな物は、初めてでした。すぐさま残っていた領民を全員領都に避難させ、直ぐに王都に討伐隊の要請を出したのです」


 しかし、魔獣はいくら倒しても、次から次へと産み出されるため、状況は日に日に酷くなって行ったという。


「姉や姪は早々に神殿に逃げ込みました。しかも、どうやったのか、貴重な食料や水を、ごっそりと持って行かれてしまい……」


 苦々しい顔をする。


「なので、今日、皆さんが来ていなかったら、我々は明日飲む水にも困りかねない有り様でした。いや、それどころか、明日の朝を無事に迎えることが出来たかどうかさえ……」


 もちろん、最後まで諦めるつもりはありませんでしたがと呟く領主に姫は、


「間におうて、ほんに良かった。ところで、先程の話じゃと、魔素溜まりは他にもまだあるようじゃな」


「はい。それほど大きくない物が、三ヵ所ほど」


「では、其処(そこ)らも明日、全部浄化してしまおうぞ。後ほど正確な場所を教えてたもれ。それが済み次第、妾達は次の場所へと向かうゆえ」


 そこからは大変だろうが、自分達で頑張ってもらわねばという姫に、領主が頼もしく頷く。ならばと、香菜姫は、気になっていた事を質問した。


「それと、魔獣の遺骸が随分と散らばってしもうたが、あれは放っておいても大丈夫かの?」


「ご心配は要りません。ほとんどの魔獣の肉は、魔素が強すぎて食べることが出来ませんが、鳥型の魔獣は、きれいな水にしばらくさらしてやれば、ある程度魔素が抜けて食べる事が出来ますので、食料として活用できますから。他にも、羽や毛皮、牙等は使い道が色々とありますので、残った領民全員で、対処したいと思います」


 その言葉に、姫は先ほど見た光景を思い出し、あれは食べるためだったのだと得心する。


(道理で皆、熱心にむしっておったわけじゃ)


 その後は、バーリーが復興に関しての要請書を、明日までに準備して欲しいと言い、後日宰相から連絡があると思うが、当座の食料として、持ってきた保存食や小麦粉は、こちらで好きに使ってくれて良いからと言うと、事務的な話は終わりとなり、その後はひたすらに飲み食いの場となった。


 姫は適当なところで、ベリンダに頼んで寝所に案内してもらったが、男達の宴は当分続きそうに思えた。



  ◇*◇*◇




「一体何があった?まさかと思うが、既に防御壁の門が破られたのでは無いだろうな?」


 神殿の中央応接室では、外の様子を伺い戻った男に、白く長い髭を蓄えた老人が詰問していた。


 一時間ほど前に、突然大きな音がしたと思ったら、地面が酷く揺れたため、神殿長のアドコックは最悪の状況も考えていたのだが、その後は特に何事も起きなかったため、先程、神官のベイカーに命じて、外の様子を確かめさせていたのだ。


 ドラーラ神教クラッチフィールド支部神殿は、最悪領都が魔獣によって全滅しても、その内部は安全だと信じてはいるが、《もしも》が絶対に無いとは言い難いからだ。しかし、


「いえ、それどころか、どうやら討伐隊の精鋭部隊と共に、聖女が王都から来たようで。彼らが魔獣達を倒し、あの大きな魔素溜まりまで浄化したと町人達がはしゃいでいました。しかも、聖女さまが不思議な歌で光る雪を降らせ、怪我人たちを癒してくれたと……」


 喜ばしい報告であるはずなのに、ベイカーの言葉に苦々しさが濃く現れているのは、聞き手に対する忖度なのか、それが本心からなのかは判らない。しかし、彼の報告が、アドコックが望んだ内容では無かったのは確かなようだ。


「はぁ?!聖女だと!わしはそのような話は聞いておらんぞ。いや、確かに聖女召喚をするという話は聞いてはいたが、それが成功したという話も、こちらに向かっているという話も、一切聞いていない。これはいったい、どういうことだ!」


 実際、王都にある大神殿からは、なんの連絡も来ていない。正確には、聖女召喚成功の連絡の手紙はすでに出されている。ただ、その手紙が届くよりも早く、姫達が到着しただけなのだが、そんなことは知るはずもなく。


「しかも、勝手に領民達を癒しただと?いったい、誰がその様な事を頼んだんだ、神殿の許可もなく!」


 予定では、最後の最後で神殿の扉を開き、領民や領主を招き入れて、自分達の慈悲深さを見せつけるつもりだったことは、口にせず、ただひたすらに、今の状況に腹を立てていた。


「なにより、本来聖女は神殿に属する者のはず。ならば、この地に着いた時点で、真っ先にわしに挨拶をしに来るべきだろうが!」


 当然、その怒りは会ったこともない聖女へと、向けられていく。


「異世界から来られた方なので、あまりこちらの事情をご存じないのかもしれませんな」


 ならば我々が、きちんと教えてて差し上げれば良いだけの話だと、でっぷりと太った男が、老人に追従するように言う。


 この男、アルロ・バビジは、北部から東部にかけて手広く商売をしているバビジ商会の会頭だが、今回支店の視察中に今回の騒動に巻き込まれたため、部下共々、神殿に避難していたのだ。もちろんそのために結構な金額を、寄付という形で払っている。


 そこへ、上質だが、いささか扇情的なドレスを纏った中年の女が、くすくすと笑いながら会話に混ざって来た。


「聖女と言えど、所詮は異世界の小娘ですもの。この世界の事情に(うと)いのは仕方ありませんわ。神殿長がそんなにお怒りにならずとも、その程度の事は(じか)に説明すれば、()ぐに解決いたいますわ。どうせ今頃は、領主屋敷に滞在しているでしょうから、明日の朝にでも、ご一緒しませんこと?」


 その時に、色々と教えて差し上げればよろしいのだからと、妖艶に笑う。大きくカールさせた淡い金髪を緩やかに結い上げ、濃い藍色の瞳は、この地の領主とよく似た色合いであるにも関わらず、そこに誠実さは見られそうに無かった。代わりに口元の右下にある黒子が、艶かしさを強調している。


「おぉ、これはバムフォード公爵未亡人。本日も、実にお美しい!おや、お嬢様もご一緒でしたか」


 商人が、おもねるようなお世辞を言い、その直ぐ後ろに居た少女にも声をかけた。公爵未亡人とよく似た面差しだが、娘のチャンテル嬢の髪は灰色がかった金色で、瞳も薄い水色のため、少々華やかさに欠けていた。

 しかし、そんな事を口には出さないだけの分別は、その場に居た男達は当然持っている。


「確かに、公爵未亡人の言う通りかもしれませんな。では、明日の朝、お願いできますかな。それはそうと奥方、昨夜足をくじかれたとお聞きしましたが、お歩きになっても大丈夫なのてすか?何でしたら、私が今から治療を…」


 いい歳をした老人にしか見えない神殿長だが、未亡人の胸元から目を離さないまま、自分の側へと座らせるために、その手を引こうとした。しかし、未亡人もまた、手慣れた様子でそれをかわすと、


「あら、神殿長、ありがとうございます。でも、どうせならば、わたくし聖女様に治していただきたいと思いますの。ほら、さっきの話に出ていた、光る雪?でしたかしら。わたくしの足の上に、それを降らしていただこうかと」


「おぉ、素晴らしいお考えですな。それならば、我らもその聖女の力量を見ることができますし、聖女も奥方を治せるという名誉にあずかれるというわけですな!なんとお優しい上に聡明な!」


「あら、お母様、わざわざ聖女様に治させるの?」


「だってチャンテル、そこらの領民をどれだけ治そうとも、たいした(ほま)れにはならないわ。でも、わたくしを治したとなると、話は別よ。そうでしょう?」


「だからって、わざわざこちらから出向かなくても…」


「だって、どのような者かは知らないけれど、一応聖女様なのだから、ある程度は敬ってあげないと、可哀想だわ。領主であるダリルの顔も立ててあげないといけないし。それに、光る雪なんて、本当に降らせることができるのなら、貴女だって見てみたいでしょう?」


「そうね。もしそれが本当なら、私の誕生日の余興に使ってあげてもいいし」


「あら、それは素敵ね!なら、その時は是非ウィリアム王子も招待しましょう!だって、あなたは王子の婚約者候補の筆頭ですもの」


 機嫌良くそう言った途端に、急に嫌な事を思い出したように、眉をしかめる。


「王都の堅物の中には、聖女を王子妃にしようなんて言ってる者が何人かいるようだけど、この世界の事情を知らない者に、そんな大役、務まるわけがありませんもの。ほんと、なんでそんな簡単な事さえ判らないのかしら」


「まさに、そのとおりですな。お嬢様、その時はわたしめも、ぜひご招待いただけたらと存じます」


 ねっとりとした視線を母に向けているのを隠そうともしない商人が、殊更丁寧にお願いしてくるが、


「覚えていたらね」


 チャンテルの返事は素っ気ないものだ。だが、貴族のその様な態度には、慣れっこな商人の言葉は、そんなことでは止まらない。


「今回マジックボックス持ちの魔術士をお貸ししたのは、私だということをお忘れなく」


「わかっているわよ!」


(商人の分際で、たかだかあれっぼっちの事で、私に恩を売った気でいるなんて、どれだけ厚かましいの!)


 チャンテルはそう思ったものの、まだ利用価値がある男だということは判っていたため、その場は微笑んでおくことにした。



  ◇*◇*◇



 翌日、3つ程の魔素だまりの浄化のために、クラッチフィールドから詳細な地図を預かった香菜姫達が、玄関前の広間で出発の準備をしていると、


「聖女は何処にいる?」


 大声を張り上げながら、白衣の一群が入ってきた。先頭には、白髪で長い髭の老人がふんぞり返るように立っており、そのすぐ後ろには、昨日香菜姫を睨み付けていた髭男もいる。


「あれは?」


「神殿の神官達です」


「あぁ、領主が困っているのに手を貸さず、自分達だけ安全なところで隠れておった者共じゃな。妾は、その様な者共なぞに用はない。下がっておれ」


「何という口の聞き方!神殿長自らが、わざわざ出向いて来られたというのに、なんたる無礼な!」


 侮蔑に満ちた姫の言葉に、髭男が声を張り上げるが、恩人であり、客人でもある姫に対する無礼を、クラッチフィールドが黙っているはずもなく、


「無礼はそちらの方でしょう、神殿長。私はあなた方を招待した覚えはありません。しかも、こんな朝早くから、どういうおつもりですか?」


「あら、ダリル。彼らは、わたくしがお連れしたのよ」


「姉上……どうしてこちらに?」


 ひどく不愉快そうなクラッチフィールド領主の言葉に、皆の視線が彼に集まった。


祝詞の奏上の仕方は神社や神道の流派によって多種あるようですが、ここでは【二拝二開手→祝詞奏上→二開手二拝】としています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ただの庶民だった娘っ子ならともかく、名門一家に生まれた高貴な女性がそう簡単に買収されるわけがないですよね。 よく召喚された聖女や召し上げられた聖女は庶民であったり下位貴族であることが多いで…
[一言] すみません、、あの、16日では?
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