幕間:次に来る時は
「どう思いましたか?バール様」
ラファエルの城の中を歩きながらベリアルはバール王とアスタロス公爵の数歩後ろを歩きながら聞いた。
「あの女、明らかに飛天様を隠しているな」
表情は何ら変わらなかったが、何かを隠しているとバール王は瞬時に見抜いた。
「確かにね。あの天使は飛天様とも切っても切れない関係があるし、案外ここに飛天様を隠しているかもね」
アスタロス公爵は左腕に捲いた蝮を撫でた。
蝮は気持ち良さそうに赤い舌を出してアスタロス公爵の手を舐めた。
その光景が名高い悪魔として恐れられると同時に、かつては神として崇められていた姿を垣間見せた。
「それはありえますね。何しろガブリエルが直々に魔界に赴いて流した情報ですから」
ベリアルはアスタロス公爵の意見に頷く。
彼らが魔界の城で夜叉王丸は何処に行ったのか皇帝を始めとした者たちと議論している所にガブリエルが姿を現して告げた。
『飛天はラファエルの城に幽閉されている』
何で敵である自分たちに漏らしたのかと聞けば
『彼の十八番、“気紛れ”とでも言えば良いかしら』
しかし、彼等はガブリエルが気紛れで動いたのではないと解っている。
全ては飛天の為に動いていると。
ベルゼブルは直ぐにバール王を筆頭に交渉能力に秀でたベリアルと、いざという時の為にアスタロス公爵を使者に天界に向かわせた。
夜叉王丸の軍団も同行すると言ったが、彼らが動くと主人を想う余り暴走する可能性があるから謹慎を申し付けた。
魔界がガブリエルの言葉を信じたのはガブリエルもサリエルと同じく過去に堕天の経験がある。
サリエルは魔眼の持ち主、ガブリエルは復讐を司る。
これが原因で二人は僅かながら堕天した。
この二人もラファエルと同じく夜叉王丸と深い関係がある。
「あの女、何の為に飛天様を隠しているのか・・・・・・・」
バール王は考えながらこれからの対策を考える。
恐らく向こうは知らぬ存ぜぬと言い張るに違いない。
そうなれば戦になるだろうが、彼は構わないと思った。
寧ろ望む所だ。
夜叉王丸は帝国の猛将にして皇帝であるベルゼブルの息子。
何が何であろうと、どんな犠牲を払おうとも必ず取り戻してみせるし皇帝からも直々に許可を得たのだ。
何を恐れる必要がある。
否、何も恐れる必要も事もない。
目的の為ならば如何なる犠牲も払おうとバール王は考えていた。
そして、次に来る時には・・・・・・・・・・・・
「・・・・次に来る時には兵を率いて来るだろうな」
バール王は独り言を漏らすように言った。




