謎の人
その日はあの後、何度やっても上手くいかなくってお開きになった。
しょんぼり落ち込んで寮に行こうとしても、寮分けしたっきり引っ張られて来たのでどこに行けばいいのかさっぱりだ。
荷物とかどこにあるんだ?
言いえない不安が募る。
「あ、いたいた。君が、君達が天才1年生だね?」
レイちゃんとどこともなく廊下で突っ立てると、声をかけられる。
声のするほうを見れば中々に可愛いとカッコイイが上手く混ざった女生徒がいる。
「?」
「姫のこと〜」
私は何も知らないし、知らない人だしで困惑してるけど、レイちゃんは少しの隙で私を持ち上げる。
「師匠はレイちゃんを天才って」
天才はアンタでしょうがと思うが、天才故に常人の思考を持ち合わせてないのかもしれなかった。
しかし、この子と長く付き合いそうな感じはするし、色々教育しとかないと面倒になりかねないかもしれない。
「あんまり威厳ないね。とりあえず、君達面白い呼び名で呼ばれてるよ」
「呼び名、ですか?」
「ふーん、どうでもいい」
楽しげに喋っていた女生徒は、レイちゃんの冷酷な視線に怯んで押し黙ってしまった。
「そ、そう?」
「い、いやー気になるなー」
さすがに気まずく、私は棒読みだが、乗ってあげた。
「……満月の夜ですって」
「そ、そうなんだー」
私も聞いててなんの感慨も、感想もなく、ただ重い沈黙だけが降りてくる。
「……行きましょうかね、色々大変だろうけどサポートしてあげるからね」
「姫は私が守るの」




