聖十二席
「そうだ。非常に効率が悪い上に燃費も悪い。最悪だ。私の弟子にそんなのは要らん」
いや、勝手に弟子にされた挙句、不要とか。
鬼畜だよ、この自称師匠。
「何か言いたげだな」
「思うところはありますが、声に出すほどでは」
「まあ、いい。お前の意思で同行できることではないからな。喜べ」
「ワーイ、ウレシーナー」
「姫、喜ぶ、私、嬉しぃ〜!」
ああ、疲れる。
こっから何年間か、この冷徹な男と、脳天気な女にまとわりつかれるとか、やって行けるだろうか。
「とりあえず魔力を流すことに慣れてもらう。この石は砕いても闇に飲み込まれても構わん。とにかく魔力に干渉させろ。おい、お前もだ」
「魔力に干渉……」
レイはじっと私だけを見ていたが、コールド……師匠が石を投げつけて、それを見もせずにキャッチすると面倒くさそうな態度をみせる。
「マーシャル家は天才の巣窟と聞くが、性格に難があるとは本当だったな」
師匠がボソッとレイに悪態着いてますけど、レイは聞こえてないのかゆっくりとした動作で杖を顕現させた。
さっきも見たけど、杖から綺麗だ。
純白とはこの杖の為の言葉として産まれたと言っても過言ではないと思えてしまう。
多分魔力も流れて無いだろうに、杖は淡い光で包まれている。
白く長い髪、心配になるほど白い肌。
半目なのに大きな瞳、そしてその瞳は色をコロコロ変える。
杖を握ってからは蒼の瞳が、凝縮された紅に。
石を左手にもって、杖の先端で軽く触れる。
瞬きの一瞬。その刹那でただの石が聖なる力を帯びた。
「凄いな。起源の魔法並の光の魔法だ」
「す、凄いよ!レイ!アナタって天然ちゃんと思ってたけど、凄いのね!」
「あう、うぅぅ、姫〜、可愛すぎ……」
「な、なんでそうなるのよ」
でも気になる事を師匠が言ってたな。
なんだっけ。
「レイが起源の魔法使いじゃないって、なんで分かるんですか?」
「簡単な話さ、マーシャル家は聖十二席だからだ」
「聖十二席?」
「コレも後々授業でやるんだがな、勉強熱心は関心だ」
「別にそんなつもりじゃ」
「なにか?」
「いえ、なんでもないです。私凄く知りたいです」
「よろしい、と言っても話せば長いのでな、簡単に説明すれば、魔法の始まりの時に12人が魔法使いとして目覚めた。その時の魔法使いを聖十二席と呼ぶんだ」
御伽噺の様な話だと誰もが言う。
魔法自体が御伽噺じゃないかと思わなくもないけれど。
世界に魔法は突如として生まれたとされている。
それは突然起きたらしい。
『火』『水』『雷』『土』『風』『光』
『闇』『塩』『毒』『命』『霊』『呪』
の12種使いが一族単位で現れた。
表世界では多勢に無勢と感じたその一族たちは魔法使いと名乗り、魔法界を作っていく。
派生した一族もいるらしい。
その一族の1つに『バフォーム』と呼ばれる『力』を司る一族があるとか。
一説には『命』から分岐したとかなんとか。
レイ・マーシャルはその12の一族で存命な『光』を司っているらしい。
……とんでもない子に懐かれたな!?




