王と騎士
「私やりませんよ?」
手を振ってやらないと言えば、断られると思ってなかったのか酷くビックリされる。
「いやいやいや」
自称寮長はご冗談をみたいな顔をしてわがままを言う子供にあやす様に言われる。
そんな風に言われる筋合いはない。
「いやいやいや」
「いやいやいや、この子ヤバいって!」
それでも否定するると、レイちゃんを指さして青ざめた。
部屋の前での出来事で既に恐怖の対象になってしまっているようだ。
「レイちゃんに喧嘩売ったのそっちですよ?」
その恐怖の対象に引くチャンスは結構あったのに。それを無視し続けたのはそっちだから知ったこっちゃない。
明日以降の学校生活がどうか支障が無ければいいなと思うけど多分無理だろうな。
「うぐぐ、君になら勝てそうなのに」
「弱そうなのに喧嘩売ったんですか?」
自称寮長がさらにとんでもないことを言いやがった。確かに私は弱いけど、何も知らないからね。
この人が何年生かは知らないけれど、2年以上なのは確実だし、培ってきたものが違う。というか、私には内。
「勝たないと意味ないもん」
もん、とか言われても無理なものは無理だ。それにこの人事が段々と嫌いになっていっている現状舐めた事してるなと苛立ちが大きくなっていく。
「え、無理無理無理。魔法使ったの1回ですよ?」
「仕方ない白い子とやるかァ……はぁ、嫌だなぁ」
「嫌ならやめればいいのに」
ダダしか捏ねないこの年上に最後のチャンスを上げたのに、ムキになって否定されてしまった。
もう、知らない。レイちゃんに殺されてしまえ。
「うるさい、うるさい!フィールドが展開されたら決闘が終わるまで誰も入れない!ルールは簡単どちらかが戦闘不能になるか、降参すれば勝負終わりだ」
「大丈夫、レイちゃん?」
今の今までじーっと私だけを見ていたレイちゃんに、話聞いてた事、戦えるか心配したら、焼き付けるような目から、うるうるとした瞳に変わった。
「海様が私めの心配を……っ!海様!!」
「は、はいっ!」
レイちゃんに抱きしめられ腕ひとつ動かせない。
突然のことにびっくりして大きな声を出してしまった。
公衆の面前で抱きつかれて恥ずかしいのだが、レイちゃんはお構い無しだし、幸せそうなので抵抗はしないでおいた。
今日はせっかく出かける約束してたのに反故になりそうだし、せめてレイちゃんのしたいようにさせてあげたかった。
「私、海様為に勝利を!」
「う、うん。頑張ってね」
膝まづいて宣言されたのだが、構図的に王と騎士だ。そのまま命令してしまえば、完全にソレになってしまうので頭を撫でて応援することにする。




