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錬金術士海のつくる話 〜闇の女王と聖なる下僕 〜  作者: 新規四季


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現状最強の子の片鱗

「私はココ海の寮長だ!」


小さな可愛い子がぷりぷりと怒っているのは微笑ましくてまぁ、良いのだけれど朝イチはやめて欲しい。


寮の間取り的に何故か三階建ての最上階の1番デカい部屋を割り当てられた。本来なら将来が決まった位のエリートが入る部屋らしいのだ。

私的には広くてラッキーと思っていたのにとんだ災難が降り掛かってきた。


開き切ってない目なので視界もぼやける。

正直体もダルい。逆によくここまで元気だと関心するくらいだ。


日が昇ると同時に動き出してたのかこの子はニワトリの血を引き継いでいるんだろうなと思いながら生返事を返す。


「はぁ、どうも」

「ムッ、なんだそのだらけきった態度は……わぁあ!!」



自称寮長が私に詰め寄って来た時にはうつ伏せに組み敷かられていた。

今の今までレイちゃん寝てたのに誰にも気付かれずに押さえつけるなんてスゴすぎる。

ひょっとしなくももう生徒の中じゃ勝てる子居ないんじゃ。


「うるさい、あと海様に近づくな」

「あのー、大丈夫?」


いくら何でも無様だし、可哀想だから形だけの心配をしてみる事にした。

しゃがんで目線を合わせてあげると動けない体勢でバタバタと暴れだす。


「うぐぐググッ!決闘だ!」

「私1年ですよ?」

「だからなんだ!」


うがーっと喧嘩?を売られてしまった。やはり昨日この事は悪い方に作用してしまったようだ。1年であること、それも昨日入学したばっかりという事を理由に断れないかなーと思ったけど無理だった。



「嫌です」

「なんだとー!」


理由をつけて断れないなら、ストレートに断ってみる。断られると思ってなかったのか唖然として、その後に叫ばれてしまった。なんか面白い人だな。


それはソレ、これはコレ。


「必要ないじゃないですか」

「ターニャが怯えてしまっているのだ!何とかするには原因に勝って安心させるしかないでは無いか!」

「……嫌です」


一方的過ぎるし、流石に失礼だ。

レイちゃんの手を引いて部屋に2人して入って、当て付けのように大きな音を立ててドアを閉める。


ドンドンドンドン!!


そしたら空かさずコレだ。さっすがに頭にきた。こうなったらとことん後悔してもらおう。なんて言ったって私には多分最強のレイちゃんが居るからね。


「海様、ぶちのめす?」


怒りで口角が上がった私にレイちゃんが可愛い声で私に聞いてくる。

目線はドアの向こうをギロリと睨み付けたままに。


「そうね、お願いするわ。そういえば名前呼びには慣れたのかしら?」

「そ、そんなっ!尊きお名前に慣れるなんて烏滸がましいこと出来ません!」

「そ、そう?そんな高貴な名前ではないんだけど」


一旦レイちゃんとの会話を挟んで少し冷静になってドアを開ける。


うわ、騒ぎすぎでしょこの人。めっちゃ人だかり出来てるし、すごい視線が集まってくる。


「おいお前」

「は、はい」


レイちゃんが胸ぐらを掴んで持ち上げる。相当に苛立っていそうだ。

この状態は恐らく良くないんだろうけど、手網を握れ的なことを言われた気がしなくもないけれど、寝起きだしね、忘れた。


それに、自称寮長がぶら下がりながら最早敬語を使い始めたことが既に可笑しかった。


「海様からぶちのめす許可、下りた。ここで殺す」


そう言って空いた片手を体の真横に広げて無詠唱で聖剣を作り出す。

相変わらず綺麗な剣だし、サラッと凄いことをやってのける。


ほぼ素人の私でも無詠唱での魔法の行使が上位の技という事くらい分かる。

周りの有象無象も同じ様にこのひとつのやり取りでレイちゃんのヤバさを肌で感じたようだ。


「待った!待った!待った!ここでやり合って万が一死んだら終わりでしょ!?決闘なら亀の甲羅でしょ!」

「生き物?」


顔を真っ青にして、今日一の大きな喚き声で生き物の名前を言うものだから、意味が分からなすぎて思わず聞いてしまった。


「はー本当に何も知らないのねー」

「いや、だから昨日来たばっかなんですけど。そんなのでマウント取らないでくださいよダサいなぁ」


いい加減私も無理そうだ。

ここに居る恐らく海の寮生にわざわざ聞こえるようにお前は器が小さいねと言ってやる。


「ムムムッ!いいから着いてきて!」


レイちゃんがポイッと自称寮長を廊下に投げ捨てると、寄ろけながら先導する。

既に勝敗は決していると思うのだけど、どうあっても認められないらしい。


「めんどくさいなぁ」

「久しぶりに本気出す〜」

「上機嫌ね」

「殺す口実あれば本気出せるから」

「殺しても退学にならない、よね?」

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