突然の宣言
「レイル。お前は今日でクビだ」
それは、何気ない中での一言だった。
突然の追放宣言を受けたレイルは、慎重にリーダーであるニックに聞き返す。
「え? す、すまない、どういうことだ?」
「そのまんまの意味だよ。お前はもうクビだ。別のパーティーに行ってくれ」
「いや、そんなの納得できるわけないだろ!」
やはり聞き返したとしてもニックの言葉は変わらない。
うんざりとした様子でニックは自分のことを見ている。
この時点で、もう何を言っても考えを変えさせることはできなさそうだ。
「クッ……どうして俺がクビなんだ。ちゃんと説明してくれ」
「だってー、レイルだけこのパーティーで浮いてるしー」
レイルの問いに答えたのは、ニックではなくヒーラー役のソフィーだった。
フワフワとした髪をいじりながら、机に寝そべって話している。
このように軽く説明されて、納得できるはずがない。
レイルは怒鳴りそうになるのを抑えて、もう一人のメンバーであるイーグを見る。
「大丈夫だってレイル。レイルは真面目だから、すぐに次のパーティーが決まるよ」
「そんなこと誰も聞いてない!」
イーグは慰めのような言葉をレイルにかける。
しかし、それはレイルの怒りを助長するだけの言葉だ。
こんな時まで無気力なままなのか――と、怒りを通り越して呆れてしまう。
「もう分かっただろ。ここにお前の居場所はない。大体、勝手に依頼を受けてきたりして迷惑なんだよ」
「勝手にって――依頼を受けるのは、冒険者なんだから当然だろ」
「私たちは別に本気で冒険者をやりたいってわけじゃないしー。ね、イーグ?」
「そうそう。ソフィーの言う通りだよ。楽しくやりたいよなー」
「……ということだ。今日までご苦労だった」
レイルは言い返す暇すら与えてもらえず、ニックによって荷物を投げるように渡された。
この三人が落ちこぼれなのは分かっていたが、まさかここまでの駄目人間であるのは予想外だ。
思えば、一年前にパーティーを結成した時点でもう間違えていたのかもしれない。
出身が同じということだけでパーティーに誘われたが、あの時に断っておくべきだった。
三人がまともに冒険者としての活動をしないため、パーティーランキングも今や最下位である。
「それじゃあな。頑張って次のパーティーを探せよ」
「……ランキング最下位のパーティから抜けた者を、他のパーティーが拾ってくれるわけないだろ」
「そんなこと言われても知るかよ」
その言葉を最後に、レイルは無理やり部屋から追い出される。
これからどうするべきなのか。
どこに行けば良いのだろうか。
その答えは、全くと言っていいほど出てこない。
「やっと面倒くさい奴がいなくなってくれたねー」
「そうだな」
「それより、隣の街に新しい店ができたみたいだぜ?」
こうして。
部屋の中から聞こえてくる声を無視して、レイルは歩き始めたのだった。
18時にもう一話更新します!
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