呪いの魔女
明け方、ハイテックセンターをめざして2人は歩きはじめました。
ロボット王国の町の外れから中心までは、かなり距離があるようです。
2人は地図を見ながら、センターの方角へ向かいます。
「けっこう広いんだね〜、この都は」
「そうだな〜。さっきのところが横浜だとすると、センターは、さしずめカスミガセキってところか?」
夕方になり、2人は町の中心近くの、立派な教会の近くまで来ました。センターまであともう少しというところです。
突然リキヤ君が立ち止まりました。
「どうした?」
「おい、むこうにいるあの女、まさか……」
リキヤ君がゆびさした方向には、あの魔女がいました。何匹かのサキュバスに、何か命令をしているようです。
「あれが呪いの魔女か……まだおれたちには気がついていないみたいだ」
「ここの教会に隠れよう!」
2人は、ぬきあし・さしあし・しのびあしで、ゆっくりと隠れながら教会に入り、裏口から抜けて出ようとおもいました。
するとーー
ドゴーン!!
後ろのほうから、火の玉が飛んできて、壁にあたりました。
「おろかなやつらめ……このわたしが気がつかなかったとでも思ったか!!」
なんと魔女は2人に気づいていたのです。
「やばい! もう逃げられない!」
「戦うしか……ないようだな」
魔女が2人のまえに立ちはだかりました。
「いくぜぇー!」
おおつか君が魔女に向かって走りだし、剣をおおきくふりかぶります。
「こざかしい!」
魔女は手のひらから火の玉を出し、おおつか君に向かって投げつけました。
ボォォ!!
「うぉっと! 危ねぇ!」
おおつか君は火の玉が当たる瞬間に体をねじり、間一髪よけました。脇の辺りをかすったのか、少し焦げた匂いがします。
「くらいやがれっ!!」
おおつか君はねじった体の反動を利用して、鉄の剣でおもいっきり魔女の横腹にきりかかりました。
しかし……
ガキーン!!
「なっ、なに!?」
なんと魔女は魔法の盾で、おおつか君の攻撃を防いだのです。
「ハッハッハッ! その程度で私を倒せるものか!」
魔女は余裕の表情で笑っています。
「くっ、正面からじゃ物理攻撃が効かないってことか!」
おおつか君は少し後ずさりをして間合いをあけました。
「お前もネコにしてやろう!」
魔女が何かブツブツと呪文を唱え始めます。そして魔法の盾を消しておおつか君に杖を向けたその瞬間のことでした。
「……へっ、かかったな!」
「なに?」
「今だ! いけ!」
おおつか君の合図で、リキヤ君が魔女の後ろのイスからとび出してきたのです。
おおつか君は合図を叫ぶと同時に体をかがめました。
「おりゃああ!!」
リキヤ君は、鉄の槍をおもいっきり魔女にむけて投げつけました。
ヒュン!
「ぐわぁー!!」
槍は魔女の体をつらぬき、刺さった部分から白い光が放たれ魔女は宙に浮かびます。
そして魔女は光とともに消滅しました。
「あ、危なかったぜ」
「でも、いいタイミングだったな。さすがおおつか」
「いやいや。それにしても、ずいぶんと上手く槍を投げたね。前に何かやってた?」
「まあな。陸上部で少し、槍投をやっていたからね」
「なーるほど」
「いつどこで、何が役に立つかわからないからね。日ごろから、なんでも頑張ってやってみることが大事なのさ」
少し休んでから、2人は教会から出て再びハイテックセンターにむけて歩きだしました。
そして0時ちょうどくらいに、ようやくセンター裏口の近くまでたどりつきました。
「ヨモギ君は大丈夫だろうか……」
リキヤ君はヨモギが心配でなりません。
時刻は0時をまわりました。そろそろ合図の花火が打ち上げられる頃です。
その頃、地下の牢屋ではーー
ガチャ、キィ~……
「だ、だれ?」
長い黒髪の美しい女性が、ビクッと怯えた様子で鉄格子の方を振り向きました。
「シッ! しずかに。ネコ戦士のヨモギです。見張りは全員倒しました。ひめ様、王様、どうぞこちらへ……」
「おぉ、たすかった……」
ロボット王国の王様は、とても疲れた様子です。
「私は今から海へ行き、ロボット兵団をそこにおびきよせます。その隙に私の仲間が、ダークロボマスターを倒してくれるはずです!」
「……わかった。頼りにしているぞ」
「あなたがたは、はやく安全なところへ!」
「ヨモギさん…」
ひめ様は心配した眼差しをヨモギに向けました。
「大丈夫です。後で必ず、おむかえにあがります」
「きっと‥…必ずですよ!」
「ええ。約束です」
「ヨモギさん、どうかご無事で……」
ヨモギは、牢屋に閉じ込められている人たちを救出しました。
その時、海ではロボたんが用意した花火が打ち上げられたところです。
ヒュー‥…ドドーン!!
ヨモギたちは計画通り、敵のロボットを海へおびき寄せ、船にのってロボットたちを相手に戦いはじめました。
(みんな……無事でいてくれ!)




