9 「一言で性格を説明して」「そんなもんできるかぁ!」「いやできるって」「……あれ?」(登場人物について・そのに)
前回が文面かったすぎてー書くのがーちょっぴり負担になったのでーかるーくかきたーい
題名通り、今回は登場人物の性格ってやつを考えてみたいと思います。
まず、作者様に質問です。
「あなたの小説の主人公、またはお相手役の性格を一言で言ってください!」
言えますか?
一言ですよ、二言以上はダメです。
もしこれが、「あなたのリアル生活の友達の性格を~」だったら、まぁ無理ですよね。
だって、ニンゲンってそんなに単純な生き物じゃないですもん。
一言で言い表せちゃう単純な人なんてなかなかいないのではないでしょうか?
どんな人も一番強い印象的な側面の他に、真逆の側面を持っていたりしませんか?
……まぁ妄言ですのであしからず。勝手な推察です。
ではなろう小説登場人物はどうでしょう?
言えません!……と、言おうとして、断言できなかった作者がここにいます。
正確に申しますと、「現実にどこかにいそうな一般人を意識して書いた拙作の一つである現代恋愛ものでは、確かに言えない。けれど、なろうで掲載中のそれぞれは、意外と……言える?」でした。
でもそれはおそらく当たり前のことだったのです。
非テンプレものを作る場合、作者様がどういう風に作品を構想されるか、それは作者様によって異なるだろうと思います。
が、大抵の方が構想段階で一番最初に考えるのが、「ストーリー」と「キャラの性格」ではないでしょうか。
例え最初じゃなくてもいずれ考えません?
「この子はこういう性格の子だからここではこうして……」って。
テンプレ作品でも、同じです。
ヒロインやヒーロー候補を作るときに何を考えるかと言われたら、容姿と、性格(属性)ではありませんか?
他の方の作品を使うわけにもいかないので、拙作(非テンプレ作品)で例を挙げたいと思います。(宣伝の意図はありません)
拙作の一つ、いくつか前の回で「明確なイメージ絵があるんですよー」と申し上げたヒーロー。
彼の性格は一言でいうなら「ドS鬼畜」です。
もともと、ネットの画像を見ていて書きたくなったから、という不純な動機で生まれた子です。そういうわけで、外見と一言で表した性格がインスピレーションをくださった元キャラ様と同じになっているわけであります。
とはいえ、同じなのは顔とそこのみの全くのオリジナルキャラです。周りの環境も、人物も設定も全部一応オリジナルですし、性格もかなりの方向でねじれています。
(完結後に活動報告でネタバレしたところ「あーそうだったんですか」や「彼よりもイッちゃってますよね(色んな意味で)」とのご感想をいただいているので、元キャラ様とはおそらく大きくずれています)
話を戻しまして、それは私が、あえてそういう性格の子を書こうとして「性格から作った」からに他なりません。
つまりですね、「こういう子!」と一言でぱっとイメージを持てるような子を最初から考えているんです。
ですから、「一言で説明して」に対して、答えられるわけです。
当然、そんなマニュアル的機械人間じゃ複雑かつ共感していただけるような心理描写は書けませんから、いわゆる「属性」では表しきれない部分――捻るところやリアリティを持たせるところも多く出てきます。が、あくまでベースとなる性格は設定されています。
私見ですが、むしろこれがないとお話は作れないと思うのです。
だって、作者の中で「この子がこの場面でどう動くか分からない」ってことになっちゃいますから。
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さてさて、ここまで作者目線で書きました。
では次に、読者様にお聞きしたいのです。
「何を求めてなろう小説を読みに来てますか?」
超リアル!現実的なものが読みたい!……という方はあまりいなくて、むしろストレス社会から解放される「夢の世界」を楽しみに来ている方が多いのではないでしょうか?
その夢の世界――現実とは違うからこそいいのですよね。
以前書いた通り、夢の世界だからこそ許される「ご都合主義」に、性格……特に異性の性格付けも入ってくるのではないかなー?それを求めているのではないかなー?と思うのです。
それをご説明いたしましょう。
性格と言えば、泣き虫、怒りんぼ、おっとり、真面目、チャラチャラ…など色々考えられますが、ここでは性格属性というやつを、主に恋愛対象になりうる異性キャラで考えていきたいと思います。
異性キャラが出てきたときによく見る性格属性とは、あれです。
「ツンデレ」「ヤンデレ」「クーデレ」「デレデレ」「ヘタレ」……などなど、現代ワードでカテゴライズされてきた「~系男子」「~系女子」というやつらです。
(ちなみに私、未だにクーデレとツンデレの違いが分かりません。)
さぁこれを、試しに現実であてはめてみましょう。
・ツンデレ
女「べ、別にあんたのためじゃないんだからねっ!……な、何よその顔!違うったら違うんだから!」
男「お前のためにやってるわけないだろ?……でも誰かに頼るんだったら俺のところに来いよ」
⇒リアル「あぁそーかい、面倒なやつらだな。後半だけでいいだろうに」
・デレデレ
女「○○が大好き!ほんとに、ほんとに大好きー!一生一緒にいようね!一生だよ!絶対だよ!」
男「え、それなんで俺に教えてくれなかったの!?ずっと一緒って言ったじゃん!俺は○○が大好きだよ。ねぇ、俺のことも好きって言って?」
⇒リアル「うん、好きだし、言ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと鬱陶しいかな」
・ヘタレ
女「あのね、私……○○がね………あぁやっぱり無理!……私なんかが○○の傍にいられるとは、思えないんだもん……」
男「俺なんかで、いいの?……でも……俺じゃ……頼りにならないし……」
⇒リアル「はっきりしろよ!この段に来てどうしてマイナス思考なんだよ!きっぱり好きって言えや!」
・ヤンデレ
女「私のこと捨てるなら、一緒に死んじゃお?ね?」
男「俺に振り向いてくれないなら、君のことを一生閉じ込めたい。鎖と手錠でさ」
⇒リアル「すみません、近づかないでください」
(セリフは三分で考えた超適当。違ったらごめんなさい。そしてとても恥ずかしかった。単に恥ずかしかった)
リアルで考えたら、これらって、恋愛相手としてなかなか厳しい。普通にまともな人と恋愛したいと切実に思いません?
先ほど挙げた、拙作の「ドS鬼畜」なお方もですね、ヒロインに相当酷いことしてますよ(作者自覚あり)。ヒロインの耐性が高くて度量が広すぎるからこそのギリギリのラインで保ってますが、それでも「こいつさいてー!」と思う方もいるほどです。
リアルなら間違いなく恋愛相手にはなりえません。
けれど、小説――つまり、二次元ではこれが求められていて、なおかつこれがウケる、要は、萌えるわけです。
二次元だからこそそれがいいと思って書く、読者様もそれを求めて読む。
恋愛などは分かりやすいですが、別に恋愛に限らず、友情にしても、戦闘にしても、これが当てはまると思いました。
「現実ではありえない状況下(世界)での疑似体験がしたい――夢の世界に浸りたい」
小説内だと分かっているからこそ、読者はそれを求め、作者もそういうある意味「テンプレ」な性格付けでキャラを書くのだと思った次第であります。
需要と供給が一致したわけです、やったね!
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が、「テンプレな性格の子(お相手候補)たちを作ったよ!その性格に合わせれば小説内の心理描写はどんなものでも万事オッケーだよね!」
そんなわけありません。
それが
「複雑な心理変化を一緒に共感したい――できる程度のリアリティと理由づけは欲しい」
という読者様の思いでございます(多分)。
少なくとも、私はそう思います。
そして、ここに違和感があると、急激に冷めてしまいます。
以前もとりあげた、ご都合主義VSリアリティという側面です。
次回はこれをちょっとだけ考察してみよーかなーと思います。あれですよ、ハーレム逆ハーレムって許せますか?ってーやつです(でも多分大したこと書けない)。
恋愛もの書く作者的観点からゆるゆると。需要あるんかこれ。