5 連載か、短編か、それが問題だ
【読み手として】
読み手として普段立ち入らない分野を見るときは、ジャンル別の特徴を意識して作品一話目を開くことが多いです。
まず、短編に合ったジャンルって何かな?と考えたときに、ファンタジーや歴史、SFは向かないのかな、と思いました。これらのジャンルは話が大きく広がることが多く、短編で収め切るには足りない!ということが多い気がしたんです。
だからこれらで短編を書くのは大変技量がいると個人的には思います。その世界観をせいぜい2~3万字に詰め込むのですから。(逆に短編で収め切った秀逸なものもあるので、そういうものを積極的に見つけていきたいと思う次第です)
逆に、短編に適したジャンルといえば、推理やコメディー、詩、エッセイでしょうか?
起承転結で話がきちっと終わりやすいジャンルは短編としてさくさく読んでいくのに適している気がして実際に投稿されているものを読んでもかなり満足感が得られます。
文学についてはそもそも幅が広いのでどちらに向いている区分けができない気がします。
では恋愛ジャンルは?――連載・短編いずれにも向いているんじゃないでしょうか。
恋愛ジャンルの結末はものすごくざっくり分ければ「結ばれる」または「結ばれない」です。もちろん、ヒーローヒロインが恋愛の形で終わらないものもありますし、恋愛側面をどこかで扱っていればいいので、これ以外の終わり方もいっぱいあると思うのですが、なんらかのオチはつけやすい、または読んでいて世界を完成させられる――納得の切り方になっていることが多い、と思います。
そもそも読み手にとってその話が連載か、短編で期待する部分が変わってきます。
短編はそれで話が完結していますから、短い時間でその話の中に入ることができます。
起承転結を一話で終えられるいい点といえば、もちろんその場で「結末が分かる!」です。
商業ものと異なり、アマ(たまにプロもいらっしゃるか)が無料で書いているなろうの連載ものはいつ、連載されなくなるか分かりません。
話が好きであればあるほど、「ここから先どうなったの?」と気になるもので、連載ストップは悲しいもの。
それがない短編、というのは一定の安心感があります。
逆に、短編の悲しいところは、(矛盾しているようですが)その話がとても好みの場合であっても、その話はそこで終了してしまう、ということです。腹六分で食べるのを辞めたときに「もう一口!」と言いたくなるあの感覚。
それが「連載してください!」という要望に繋がります。
そんな読み手として一番空しいのは、やはり、起承転結がない――「起」だけ、または「起承転」で終わっているものでしょうか。
恋愛ジャンルの話になりますが、私は主人公カップル(らしき二人)がくっつく又はくっつかないになることが絶対的なオチだとは思っていません。けれど、「起」であがった話がどうなった?くらいは知りたい。ざまぁものなら、ざまぁシーンまでその短編で見せてほしい。
ですので、最近よく感想欄で見るお怒りのメッセージや、エッセイも思わず頷いてしまうこともあります。
逆に「起承転結あるからこの短編で完成しているけれど、このキャラや世界観が好きだからもっと読みたい!」というものもあります。こういうものは大変素敵な短編だなぁとお気に入りになることが多いです。作者様が要望に応えて下さって連載されたら試し読みなしにブクマ行きになります。
連載物のいいところは、と言われればもちろんこの逆。
すなわち、「話がたくさん読める」「話に深みがある」「キャラたちがどうなっていくのか知ることができる」「先が気になるわくわく感を長く味わえる」あたりだと思います。
ただ、この魅力は、完結しないリスクとの兼ね合いで上下します。
作者様が作品を絶対完結させる方なら短編並みの安心感があり、「あぁもういっちゃってください!」と言いたくなります。ちょっと更新がなくても余裕で待てます。
逆に、連載をたくさん抱えていらっしゃる作者様だと若干不安になり、完結まで待って読む、という方も多そうです。――私は話そのものに惹かれたら、エタるか関係なしに読み始めてしまいますが。
【書き手として】
では書き手として、連載と短編どっちがいいのでしょう?
個人的な感覚ですが、小説の連載は精神的にかなりの負担なんですよねー。
読み手として、更新頻度が高い方がいいのは分かり切っているので、基本毎日更新か、2日に1回更新。
ストーリーを作って、文字に起こして、表現を見直して、話の整合性を取って、加筆修正して、誤字脱字直して、見直して投稿――これを毎日。かなり追い込まれます。
好きで書いているのは違いないし、実際楽しんでいるんですけど、途中でどんどん精神的に追い詰められます(というか勝手に自分で追い詰めてる)。
読者様が多い作品は「更新を期待してくださっている方がいるからこそのこのブクマ!」
読者様があまり(ほとんど)いない作品も「少なくても読者様いるし!完結させたいし!」
どっちもある意味プレッシャーがあります。精神的ゆとりを作るストック無しでの投稿ができません。連載を開始した時点で導火線に火をつけた感覚です。
なので、今は連載をお休みさせてもらっています。
(その点、こういうただ思ったことをずらずら書いたエッセイって上の作業がない分、私にはものすごく気楽です。読者様もほとんどいないだろうし、更新を待たれていることもない。テキトーに満足したら完結させられる。ただただ活字を書きたくなった時に書ける。エッセイジャンルは憩いです)
他の作者様方はどうなんでしょう?そんな感覚になる自分が変なのかもしれません。
なんにせよ、「完結させる」というプレッシャーはかかると思うのです。
逆に短編はそれがありません。その点は気楽です。
ですが、こちらには技量がいります。なにせ2~3万字で起承転結を収め切ってなおかつ文章で読者様を惹きつけなければいけないので、構成や表現が難しい。短編専門の作者様はすごいです。
こういう作者の心理から、プロローグ的な短編の存在は、気持ちがとっても分かります。
「連載しても読まれないんじゃ、モチベーション落ちてエタっちゃうかもしれないから、試験的投稿がしたい」
「要望があったら連載でいい」
連載して、のお声が欲しいというのもあるかもしれませんが、自分の労力や他に書きたいものとの兼ね合いもあるんじゃないかなーと。
でもそこはぐっと堪えた方がいいんでしょうね。
連載でも3話の短いものだっていいんですから、短編でなく、連載にして短い形でまとめられるように用意しておくのが一番作者にも読者にもいいのだろうな、と思ってます。
「人気がなければ短めに、人気が出たらもっと深める」
そういう打算くらいあってもいいと思います。
できないなら、せめてあらすじかタグ付けをして読者様に注意喚起をするとか。
読者作者お互いにとって不満の起こりにくい使い方ができればいいなと思うばかりです。