2 ご都合主義VSリアリティ
これから先、読者目線は純粋読者として、作者目線は純粋作者目線で書きます。
分けられるときは上下に分けますが、話の展開から繋がることもあります。自分用備忘録なのでいろいろとあしからず。
なろうで読者の立場にある方に質問です。
読者としてブックマーク(以下、ブクマ)をつけ、そして外すのはどの瞬間でしょうか?
ブクマをすぐにつける方は、たくさんのブクマを抱えるか、気に入らなかったら直ぐ外すかのどちらかだと思います。逆に目を通した物全てブクマ、も不可能ではありません。
私は、ブクマをつけるのに慎重になる方です。
それは、私が公開ブクマを「他者様に自信を持っておススメするお気に入り」として考えているから、ということと、ブクマが作者にとって分かりやすい「読者」の表れで、それが消えた瞬間に受けるショックがかなり大きいことを知っているからということの二つが原因です。
そんな私は、閲覧履歴を活用し、2~3話くらいまで読んで「続きも気になる!チラチラ」な作品に対しては、ブクマを入れることにしています。多くとも3話くらい読めば、大体文体や、その作品の雰囲気もつかめますので、そこから先も気になるようなら期待の作品となってます。
(そういう意味で、書き手の方にとっては読者様の掴みになる1話~3話って結構大事なのではないでしょうか。)
どちらにせよ、「気になる」期待作品にブクマをつける、というのが共通かと思われます。
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今回とりあげるのは、つける瞬間ではなく、外す瞬間です。
ブクマを外す――クリック、またはタップ一つの作業ですが、その行為をわざわざするには動機があるはずです。
考えられることとしては、①長期で連載が止まっている(いわゆるエタった状態)②完結した③展開が気に食わない④話の整合性(粗)が気になる、というあたりでしょうか。
その中で、私が作者として最も気になるのは④です。
①については、作者側のリアル事情の兼ね合いがありますし、作品が好きであれば待っている読者は多いものです(一読者として待っています)。更新があった時に一から読み直したりする読者様もいらっしゃるのでは? いつまでが許容範囲かはその読者に依ると思います。
②についても、仕方ありません。読み捨てられてしまったということでしょう。
個人的には完結まで読んでいる作品については最後まで読みたいから読んだのでしょうから、そのまま残す方も多いのではないか、とも思います。
③は、作者にとってはむしろありがたいのではないかと思ってしまいます。
作品がたくさんの方に読まれれば読まれるほど、「好きだよ!」という方と、「もういいや」になる方のどちらかに必ず別れます。
「好きなキャラが死んでしまった!」
「あの人とくっついてほしかったのに、あっちとくっついたよオイ!」
「つまらん」
「なんで負けるんだよ、鬱展開なんて勘弁しろよ!」
考えられる不満は他にもあると思うのですが、このように、読んでいる以上思うことはたくさんあるのです。
だがこれを、感想欄にぶつけるべきか?――これは感想のところで書くつもりですが――と言うと、必ずしもそうではないと思います。
となれば、「そっとブクマを外す」。
これは読者作者お互いにとって、精神的な安全策かもしれません。そういう意味で、ありがたいと思う作者もいると思われます。(もちろん異論はありましょうがそれはひとまずおいておきます)
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さて本題の④です。
以前私自身がいただいたもの以外も併せて感想で見てきたのは、
「●●と○○だとダブスタ(ダブルスタンダード)になる」
「この設定ではこの発言(行動)はありえない」
などのご指摘がこれにあたります。
話のアラとは、具体的に何なのでしょう。
話は少し変わりますが、なろうに求められている――すなわち大衆受けするものとして挙げられるのが、テンプレと言われるものだと考えられます。
ファンタジーと恋愛でざっと挙げると、俺最強、チート、ハーレム、異世界転生、乙女ゲーム悪役令嬢転生、婚約破棄もの、逆ハー、異世界トリップなどでしょうか。
これらの共通項は何か考えたときに、一番最初に出てきたのが、カタルシスです。
鬱鬱としてきたところからの見事なざまぁ!――すっきり!
鬱鬱とすらしない。最強の敵をあっさり打ち倒す――俺(私)、かっこいい!
イケメンが全員私の虜!美少女はみんな俺が好き!――気分がイイ!
これらには、多かれ少なかれ「ご都合主義」が存在します。
これらテンプレが大人気だということは、ご都合主義は認められていますし、求められているものであるはずです。
では、ご都合主義が許される小説の中では、「結果よければすべてよし!不満なんかないぜ!」となるのか、というと……そんなことがないから上記のような感想があるわけです。
個人的な読み手としても、この「ご都合主義」、もちろん好きです。
ヒロインがピンチの時にヒーローがやってくるなんて、典型ですよね。
その他にも、普通の学校にイケメン美少女が大量にいるわけないですし、金持ちだけが集まる令嬢学校なんてどこにあるんだ、だし、超イケメンが平凡な女の子にメロメロ、というのもまぁ現実にはあんまりない。浮気するやつはまた浮気するもので、カスな人間はカスなのです。
……が、これら全部にリアリティを求めた、リアル再現の現代ものばかり読んでいては疲れます。
「現実でお腹いっぱいなんだよ……夢を見させてくれよ……」そう思います。
それなのに、作品を読んでいて、急に冷めてしまうことがあるのです。
例えばこんな感じでしょうか。
・キャラが登場時の性格から外れた、説明出来ないくらいの発言や行動をしている――「成長した、というには一日で人格変化しまくったな……」
・理由なくイチャイチャし始める生まれたときからの兄弟姉妹もの――「普通に育った兄弟姉妹にこんな感情生まれないと思うよ!?恋愛感情で肉親を見るにはなにかしらのきっかけがあると思うよ!」
・内政もので、現状の王様が抜け漏れだらけの統治をしているのに国として成り立っている上、不満も出ない――「こんなやつが統治してたら一年だって持つはずないんじゃないかな!?内乱オンパレードにならないかな?」
・貴族を怪我させた(殺した)平民がいるのに周りがスルー――「えええ、身分制度ってゆるゆる?厳格な身分制度だって言ってなかった?」
・現代もの会社が舞台で、どう頑張ってもあり得ない営業や業務を行っている。――「会社、どうなってるの?」
・主人公がいい大人で既婚の女性の転生者――「なんでこんなに恋愛鈍感体質なんだろう……?もう少し手前で気づいてもよさそうなんだけど、そこまで?」
なかなか適切な例を挙げるのは難しいですが(上記だって人によっては問題なし!の方も多くいらっしゃるかと)、急に冷めてしまう瞬間というものはある気がします。
読者によって、この「冷めてしまう瞬間」にズレがあるとしても、これがあった途端、ブクマを外してしまう読者様もいらっしゃる、のではないでしょうか。
……すみません、私は気になるともうそれ以上のめり込めず、後はひたすら苛々が溜まってしまうので外しちゃいます。③だと、「もしかしたら話の途中だからかもしれない!」と一旦完結まで待つのですが、④だと戻って来られません。
つまり、
【読者目線】
ご都合主義はいい――けれど、行き過ぎると「矛盾」を感じるから、「矛盾」が出ない程度のリアリティ(現実味)が欲しい。
ということです。
【作者目線】
では、作者は④でのブクマ外しが起こらないようにどうするか?
作者は書いているときに気付かないことが多いと思います(実際に自分が言われたこともあるのでこの題材を書いてて息苦しい)。長く書いていればいるほど陥りがちになるのではないでしょうか。
逆に、自分では設定矛盾なく書いているつもりで、「ここはこの程度書けば違和感がないと思っていた」ということだってありますし、実際に、作者様の筆力や描かれ方によっては矛盾や違和感を覚えない場合だってあるのです。
そんなわけで、私はこれらに気を付けることにしています。
・なるべく連続で書く――キャラを忘れません。
・時間があいたら、書いてきたものを自分でざっと読み直す――性格や言動などの矛盾はなくなる、かもしれません。
・大まかなプロットは必ず作る。
・一度その国や制度がありえるのか、ありえないならどこを直せばいいか実際に考えてみる。
・登場人物の気持ちになって、気持ちが動く理由があるか、行動の動機があるか、考える。
・理由を後出しでもいいから説明する――なるべくその世界の理由づけで納得いくようにしたいところです。
「ファンタジー世界だから」「打倒すべき王政と決まっているゲーム世界なんだから」などは最終手段でしょうか。
後から出していくとこじつけともとられかねませんので、予定して書いていた場合には、伏線を引っ張っておくべきなのでしょう。
・それでも納得していただけなかったら?――諦めます。
商業作家さんでさえ全ての人間を納得させることはできません。自分の言葉の限界を尽くしても納得していただけなかったのなら、もう仕方ない。次回への教訓にすることにして、その作品はそれ以上いじらないです。
とはいえ、自分で夢中になって書いている時は大抵気づかないものなので、投稿前に時間を置いて一度読み直すといいのだろうなぁと思う次第であります。