12 「一緒に作っていきましょう」? それとも、「あなたの作品を読ませていただきます」?
読者として他の作者様の作品を読んでいるときに、よく「リクエスト」を見かけます。ここで申し上げる「リクエスト」とは、読者側からのリクエストと作者側からのリクエストのどちらも指します。
が、どちらの場合も賛否両論で、よくよく話題になるのでこれらをてきとーにまとめて個人的意見を書き留めておこうと思います。
・読者側からのリクエスト――完結前、後、どちらも見かけます。
【読者目線】
完結後のものは、
「こういう番外編が読みたいです!」「続編お願いします!」「もっと読みたい!」
などです。
これらは、「その作品が好きだからもっと読みたい!」という、読者からの分かりやすいラブコールですから、応えられるかは別として、リクエストに不愉快になる作者はおそらく少数派なのではないかと思います。
なので、感想欄を見ている他の読者サイドからも微笑ましく、または共感できるものが多いです。
議論になる(?)のは、完結前の方。
よく感想欄で見かける
「○○とくっついてください」
「お相手は○○がいいです」
「結末はこうして!」
「次はこうした方がいいんじゃないの?」
「△△を死なせないで」
などですね。
そして、「○○して!」などと書かれた感想(仮にaさんからのものとします)の後に(特に語気が強めだと)、大抵、「これは作者様の作品なので、作者様がお好きなように書いてください」などのコメント(bさん)が入る。
そうすると、最初に書き込んだaさんとしては他意なく、むしろ好きだからこそ感じた自然な思いをつづったのに、なんだか悪いことをした気がして、感想を書いてはいけないような気分になる……そして次回から感想を書かなくなる。
それを見ていたその他大勢の読者様は、感想を書くか悩んで、結局何も書かずに想いを胸に秘める。
更に「作者様がお好きなように~」と書いたbさんも、別にaさんの感想を貶すつもりはなかったのにそれきり感想がストップしてしまったのを見て、あれ?と焦る。
このAパターンでは、感想欄で(しばらく)閑古鳥が鳴きます。
さらにこじれるBパターンでは、
他にも感想を見ていたcさんが「作者に意見するな!作品が変わってしまう!」と思い、一方でdさんが「感想だから書くのは自由。判断するのは作者自身だもの」と思います。
そのようなc、dさんたちから、aさんの感想やbさんの感想に対しての感想が入る。
これにお怒りになったaさんやbさんから再反論が入る。
怒りゆえに感情論や人格否定の言葉まで入ってくる。大乱闘です。
そうして感想欄が荒れる。
こういう状況を一セットにしてたまに見かけます。
リクエスト混じりの感想を書くべきか、書かぬべきか。
難しいですね。読者の立場でいつも困ります。
作者としての私個人は、話の筋は全て決めてから投稿するので、話の流れについてのリクエスト感想に左右されることはありません。リクエストいただけるということは、その登場人物たちにのめり込んでくださっているってことだなーと思いながら、にやにやと二次創作気分で楽しませていただいています。
ですがこれは作者によって千差万別です。
私と同じく筋をぶらさない方でもあまりリクエストを好まない方はいますし、逆に「それ、いい案だなぁ!採用!」とか「読者様の要望はこれか。だったらこっちにするかな」と読者のニーズで変えることにしている方もいます。
中には、「作品は私のもの!口出しすな!」と不快に思う方もいるかもしれません。
作者がこれらリクエストに対してどう思っているかがプロフィールや活動報告などに書かれていない限り、読者からは分かりません。
こういう時、私は、感想欄のお返事を見るのが一番だと思っています。
以下は個人的意見です。
他の読者様への感想返信に、「もう決めてありますので今後をお楽しみください」などとはっきり書いてあれば、リクエストがあろうがなかろうが、作者様の中でブレがないので、一感想として受け止められていると考えられます。
なので、「こうなるといいな、待ってます」なリクエスト感想を書いても平気だと判断します。
「そうですねぇ、今後をお楽しみください」などとぼかして書くタイプの作者様にも、送っても平気なのでは、と個人的には思います。
リクエストを取り入れるにせよ、自分の書いた筋をぶらさないにせよ、書かれた内容にマイナスの印象を持っていない場合が多いのではないかと考えられるからです。
これらの感想にお返事がない方の場合・そもそも返信しない方の場合には特に困りますね。
活動報告をちらっと見れば、どういうメンタルの方かは察せることもありますがそこまでする余裕は正直ないので……結局感想を書かないことにしています。
ただ、どのような場合であっても、このようなリクエストも混ざった感想を書くときは、言葉遣いには気を付けた方が無難かと思われます。
これはある意味感想の書き方とリンクするんじゃないかなぁと思うところですが、
「○○して!」「○○じゃないと読みたくない」
このような、しゃべり言葉、断定口調や否定的要望は、人によっては気分を害します。
作者とその読者が何度か感想のやり取りをして名前を覚えているほどの仲ならまだしも、初めての場合はマナーは守るのがよいのではないでしょうか。
親しい友人じゃないんですから、見知らぬ他人に向けた言葉遣いは最低限注意すべきだろうと思うのです。
同じことを伝えるにしても、
「○○だといいなぁ、と思います。頑張ってください」
「個人的には○○になればいいと思って読んでます。更新楽しみにしてます」
などだと、作者の逆鱗に触れることはないのではないでしょうか。
こういう意味でも、読者が感想を書くのには大きなハードルがあるんです。
……わ、たしだけでは、ない、はず。
【作者視点】
上の話を見て分かる通り、作者としては、感想についてのルールをどこかで示しておく方が感想はもらいやすいと思います。
プロフィールでも、活動報告でも、感想のお返事でも構いません。
それから感想が荒れることがないよう、不穏な空気が漂った時点で早めに返事をして、ヒートアップ寸前で止めることも作者としては大事かもしれません。最悪の場合、せっかくいただいた感想を削除することになりかねませんから。
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・話は変わりまして、作者からのリクエストの場合です。
【作者目線】
あれですね、恋愛ものでたまに見かける、アンケートってやつです。
特に複数のお相手候補がいる作品で、典型的なものが
「このあと分岐なのですが、どの(誰)ルートがいいですか?」
とか
「どういうお話の進め方がいいですか?」
私は前で述べた通り、自分一人でその世界を作りきるので、このようなものをしたことがないのですが、おそらく、
たくさんの読者を抱えた作者様が「読者の要望になるべく応えよう」とした場合
か
「一緒に作品を作りましょう」タイプの作品なのだと思います。
【読者目線】
これを見たとき、読者様ってどう思うんでしょうか?
おそらく「一緒にこの大好きな作品を作れる!嬉しい!」と思う方と、「あなたの作品を読みに来ているんだから、聞かないで欲しかった」の方のお二方に分かれると思います。
個人的には、後者です。
小説はどこかで出てきた話を伏線にして――例えるなら織物をするイメージです。そして、その織り主は作者様以外にありえません。
ですので、好きな作品でこういうものを見ると、少しだけ、「あーそっかぁ……」がっかりします(ブクマは外しませんが)。
ただ、これは、読者と作者の距離が近いなろうだからこそできるものだとも思いますし、なろう特有の新たな小説の形なのかもなぁと思ったりもする今日この頃です。
※ 余談ですが、前書きや後書きで「この後、考えてません!」や「実はいきあたりばったりなんです」と書かれてしまうとこれ以上にがっかりしてブクマを外すことがあるので、できれば書かないでほしいなぁと思います。などと、一読者の我儘なお願いでした!