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走る 走る 間に合った

どこまでもどこまでも走っていく。

息が苦しくなって、足がもつれて、転びそうになって地面に手をついた。けれど、すぐに立ち上がる。地面を蹴りあげる。

いくつもの坂を降って登って。家々を追い越して、車やバスに追い越されて。焦る気持ちを抱えて。ただ、間に合いたい気持ちを抱えて。

どこまでもどこまでも走っていく。

踏切の音が不安を募らせる。背を向けて別の道を探す。遠くなる不快音に、それでも不安は消えない。

木々の緑が風に揺られ、さらさらと音を立てる。この葉と土の匂いが辺りに広がる。車も家も段々数が少なくなっていき、代わりに自然が広がっていく。長く伸びる線路だけが、人の存在を感じさせた。

どこまでもどこまでも走っていく。

迫る音に振り返ると、短い電車に抜かれた。突風が髪を舞い上がらせる。しばらく目で追ってから、たま走り出す。

どこまでも、どこまでも走っていく。

駅が見えてきた。急いで切符を買うと、滑り込む欲に改札を抜ける。線路を挟んで反対のホームでは、電車が既についていた。

どこまでもどこまでも走っていく。

階段を掛上って行く。その途中で、電車が駅を発った音が聞こえた。足が止まる。

それでも、それでも歩いていく。

階段をゆっくりと降っていく。ホームにはやはり何もいなかった。電気掲示板には、次の電車は1時間後に来ると告げていた。あの走った時間も買った切符も無駄になってしまった。意味もなくホームの端を歩き続きける。その時、ふと、視線を感じた。


「ごめんね、待ってたの」


特別な誓も、小さな約束も、何もなかった。それでも、彼女は僕を待ってくれていた。それだけが、何でもないことも素晴らしい事のように感じる。

どうしようもなく嬉しくなって、彼女との残りの距離を埋めるように、僕は走り出した。

遅刻しそうな授業に間に合った記念。、

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