1
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
初めましての方も、そうでない方も、いかがお過ごしですか?
千斗です。
この作品は2作目になります。
とは言え、まだまだ拙い私の文章ですので、読みづらい部分、多々あることを先にお詫び申し上げます。
また更新が遅いことも重ねてお詫び申し上げます。
そんな私ですが『探し者』、どうか最後まで読んで頂けたら幸いです。
それではまた、後書きで出会えることを祈って。
2014.4.28.Wed
政心大学は自然豊かな郊外にある私立大学だ……と言えば聞こえは良いが、つまりは街の中心部から遠く、交通の便が悪い、そんな大学だ。バスは一時間に一本。それ故、大学近くの寮に住んでいる学生が大半を占める。
そんな中で、僕、夏凪朝は中心部に安いアパートを借りて住んでいる珍しい学生というわけだ。片道で四十分はかかる。
その分必要品をすぐに調達できたりと、生活を送るという意味では寮より格段に便利だ。
さて、そろそろ出掛けるとしよう。今日の四十分は何に使おうか――。
◆◆◆
僕は今年の春、晴れて政心大学の一年生となった。
政心大学には文学部、心理学部、教育学部、法学部、そして農学部の五つの学部があり、郊外にあるという特性を生かして、多くの活動が同時にかつ大規模に行われている。全国的にもその活動はかなり評価され、年々志望者は増えているのだ。
僕は高校時代からの希望通り心理学部へと進んだ。まだ進学して一ヶ月半程度だが、かなりの充実感。サークル活動もどこも活発なようで、朝から晩まで大学から活気が消えることはない。
心理学部に進んだ者として、参加するサークルは既に決めている。その名も『心理研究サークル』。
今日はその心理研究サークルの大きな集まりがあるのだ。そのサークル室には既に多くの人が集まっていた。
「はいはい、皆集まってくれてありがとう!今日は一年生が入ってから初めての全員集合ってことで、自己紹介からいこうかな!じゃ、そっち、木藤君から!」
そうサークル長が言うと、指示された方から順に自己紹介が始まる。僕の番も特に問題なく終え、あとはサークル長と副長を残すのみとなった。
先に副長が自己紹介を始める。
「地獄だ。無論本名なんかではないし格好いいとも思っちゃいない。が、わざわざ本名で呼んでもらう気もない。だから、俺のことは、地獄、と呼ぶように。以上だ」
ざわめきが生じる。それも無理はない。かなり個性の強い人だ。心理研究をしようと集まってきた集団、変人も多々いるとは思ってきたが、ここまでの変人は稀に見る変人だ……。
「はいはい、皆一回落ち着いて~」
ざわめく中に凛とした、しかし優しい声が響く。
「この人にちょっと面食らった人もいると思うけど、これでもこのサークルの副長です。なかなか気難しい奴だけど、頭に関しては問題ないので安心してね。」
そんなサークル長の言葉で全体として落ち着きを取り戻していく。あの人、かなりのやり手だ。
「私は戸西悠里。教育学部四年生です。一応、この心理研究サークルを統括させてもらってます。皆とは仲良く楽しくやっていけたら良いなと思いますので、どうぞよろしくお願いします」
自然と拍手が起こる。戸西先輩には、人を惹き付ける何かがある。いや、きっと生まれたときから持っている物なのだ。
それに引き換えてあの地獄という先輩。あの人は絶対何かある。戸西先輩とは真逆の何かが。
その後は、今後一緒に研究する仲間と親睦を深めるようなレクリエーションがあり、これまた戸西先輩の統括力のすごさを知ったわけだった。地獄先輩はと言えば、部屋の隅で壁に持たれて、じっと皆を見ていた。
僕はまだ、これからの大学生活がどうなるかなんて、知る余地もなかった。