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戦国リーゼント  作者: 寛喜堂秀介


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27/34

番外編 熱田の町は普通じゃない

あくまで番外です

本編の※くらいの話だと思ってください

 六角承禎しょうていという男が居る。

 南近江国主 六角佐々木家の先代当主にして、三好長慶、織田信長という、ふたりの天下人と争い続けた不屈の男。


 信長に敗れた彼は、甲賀こうが郡にいた。

 甲賀は六角傘下でありながら、郡中惣ぐんちゅうそうによる合議制で動く独特の体制をとっており、また国境を接する伊賀いが惣国一揆そうこくいっきと協力関係にある。


 これらの勢力に協力を乞い、承禎は足利将軍義昭を奉戴する信長に、ゲリラ的反抗活動を開始した。


 不安は無い。

 ゲリラは六角家のお家芸だ。

 承禎の祖父、高頼も、当時の足利将軍の親征を嘲笑うかの如く甲賀山中でゲリラ活動を展開し、ついにはこれを退けている。


 追い風も吹いている。

 将軍義昭と信長の不和。

 信長に敵対する諸勢力の協力。

 いわゆる包囲網が形成され、承禎もその一角を担うべく、兵を起こした。



「われわれも、そして伊賀衆も、誓ってあなたに協力いたしましょう」



 甲賀の代表たちも、口をそろえて協力を申し出てくれる。


 敵は強大だ。

 だが、承禎はひとりではない。

 包囲網のみんなが、伊賀衆、甲賀衆がついていてくれる。

 ひとりでは抗し得ぬとしても、みんながいれば……怖いものなど、何もない!



棟梁とうりょう。敵方大将、織田信長より手紙が」



 使いの者がそう言って、代表のひとりに書類を差し出す。



「なに、降伏の勧告でしょう。心配することはない。我々の決意は揺るぎませんよ。もとより、甲賀山中は我らの庭。ここで戦う限り、われわれに負けはありません」



 そう言って、彼は手紙を広げた。

 その顔が、見る間に青ざめていく。



「どうなされた」



 承禎が尋ねると、彼は他の代表に手紙を回しながら、にっこりと笑った。



「なに、なんでもありませんよ」





 数日後。



「殿。甲賀より、六角親子の身柄が送られてまいりました。甲賀五十三家、みな織田家に従うむね、申し出ております」


「左様か」



 地図の威力である。






 信長「(チラッ」


 伊賀衆「(ビクッ」







 伊賀の地は、揺れていた。

 親交があり、協力関係にあった甲賀郡中惣が、敵対関係にある織田方に、唐突に降伏したのだ。


 伊賀には、事後通達があったのみ。



「どういうことだ! これでは裏切りも同然ではないか!」



 棟梁の一人が、声を荒げて言う。

 それをなだめるように、別の棟梁が口を挟んだ。



「落ちつかれい。まずはこれを」



 その棟梁が言って差し出したのは、何枚かの地図だった。



「――これは我らが地を記した地図!? なんと詳細な!!」


「左様。多少妙な道が加えられてはいるが、見る者が見れば、その正確さは一目瞭然りょうぜん。甲賀もこれにて落ちたのであろう」


「どういうことだ……まさか裏切り者が!?」


「――待て」



 殺気立つ棟梁を一言で制したのは、老人の一言だった。

 伊賀を統べる上忍三家がひとつ、百地家の棟梁、百地丹波ももちたんばだ。



「裏切りではない。この地図の出所は知れておる」


「それはいったい!?」


「――熱田山田党」



 百地丹波は、短く、切るように言った。



「ふむ。あの出自不明の異装の集団か」


「熱田を支配し、織田に協力しているという」


「なにやら珍品器物を多数持ち、思いつきもせぬような知識を、惜しげもなく披露しているらしいな」



 そうだ、とうなずいてから、老人は続ける。



「ヤツらが熱田を、伊勢湾を栄えさせたおかげで、こちらの関銭せきせんも増えておる。ではあるが、この伊賀の正確な地理なぞを握っているとなると、放ってはおけん」



 老人は、白いひげをしごいてから、つぶやくように言った。



「――山田党。よくよく調べねばなるまい」






 百地丹波「というわけで任せた若いの」


 千代「ファっ!?」







「ここが熱田ですか」



 千代ちよは口の中でつぶやいた。

 百地丹波が、山田党を探るために使わした、年若い密偵だ。


 乱立する朱の鳥居。

 行きかう人の群れ。

 何艘もの船が、港に停泊している。

 家が軒を連ね、町が広がらんとする土木作業の音が聞こえてくる。


 活気が熱を帯びる。熱田はそんな町だった。



「おお、千代嬢ちゃん。ひさしぶりだね」



 と、ひとりの男が声をかけた。

 その顔を見て、千代は笑顔を作る。



「六郎叔父さま」


「うん。熱田までよく来た」



 笑顔を返すこの六郎、千代の実の叔父である。

 父の末弟で、歳は千代とそれほど離れていない。

 熱田に潜り込んで小商いをしており、その伝手もあって、千代は密偵に選ばれたのだ。



「ええ。でも、疲れてしまって」


「そうだろう、そうだろう。うん、すぐに家に案内するよ」



 そう言って、六郎は千代を誘う。

 途中、妙な格好をした男が、六郎に声をかけた。



「よおう、六郎。女連れとは、珍しいこともあるもんだっぺよ!」


浩二こうじさまこそ、馬にも乗らず、どこへ?」


「海だっぺよ! いい風も吹いてるし、毎年この季節になると、我慢できねーっぺよ!」


「ああ、あれですか。祭りも近いですし、お体を大切に」


「ありがとよ!」



 軽快なやりとりのあと、浩二と呼ばれた男は港のほうに歩いていく。

 あっけにとられたように見ていた千代は、六郎に目をやる。



「叔父さま、あれは」


「ああ、山田党の方だよ」



 六郎はどこか気の抜けた様子で言った。




 濃姫「(ウロウロキョロキョロ」


 加藤図書助「なんで当たり前のようにいるんですかぁーっ!?」







「千代のお勤めは、棟梁からの使いで聞いているよ。山田党を調べる。協力するように、と仰せつかっている」



 家の中に案内すると、六郎は言った。



「ずいぶんと気軽な。わたしが捕まれば、叔父さまも無事では済まないというのに」


「なに、熱田に入っているのはわたしひとりじゃない。棟梁は、山田党の秘密が探れるなら、わたしの筋は潰してもいい、とお考えらしい」


「左様ですか」



 こだわりなさげに、千代は答えた。

 それほど重要な任務ということだ。



「まあ、山田党のみんなは何も隠していないからね。よほど妙なことでもやらかさない限り、ただ調べるくらいじゃ、捕まりもしないだろうけど」


「は、はあ」


「わからないかい? そうだろうね。棟梁にもありのままを伝えたのだが、信じてもらえなくてね。それでお前を寄越したってわけさ。お前も、六郎が裏切っていたら殺せ、くらいは命じられているだろう?」



 事実だった。

 百地丹波が、六郎の筋は潰していいと判断を下した理由のひとつだ。



「――まあ、山田党に関しては、調べたらわかるよ。千代もびっくりするんじゃないかな? ほら、あれだ。熱田は、いろいろとおかしいからね」



 なにやら不安にさせるようなことを言って、六郎はすっと席を立つ。

 すべて承知でいながら、やはり、こだわりのない様子だ。




「それより、腹が減ったろう? 用意するよ。千代は、獣肉は食べられるかい?」


「はい。狸やウサギなら食べますが」


「ああ、それなら、ちょうどいい。まずは山田党を舌で知ってもらうのがいいだろうと思ってね。準備していたんだ」



 そう言って、六郎はカマドの前に立つと、調理にかかる。

 千代はそれを見て、あぶら汗がふき出るのを感じた。


 見たこともない調理法だった。

 油と思しきものを鉄鍋に入れ、コマ切れにした材料をその中に踊らせる。

 さらには、冷や飯を入れる。米がほぐされながら、油でからりと炒られる様は、衝撃以外の何物でもない。

 そして、なにやらおいしそうな匂いがたち昇ってくる、油の浮いたスープ。穀物を練ったものを皮状にして、中に詰め物をしたと思しきものが乗っている。



「これは?」



 唾液を飲み込みながら、千代は尋ねる。



「熱田風のあつものと炒り飯さ。ワンタンスープとチャーハンという名前らしい」


「ワンタンスープ」



 言いながら、千代はスープをすする。

 強い獣肉の風味。思わず噛んでしまうほどに濃密なスープ。その滋養は、ほとんど音を立てて体に吸収されるように感じられる。


 千代は無言でワンタンを口に入れる。

 肉だ。皮が肉汁とスープを吸い込んで、えもいえぬ美味になっている。


 次はチャーハン。

 ぱらりとほぐれて箸にかからぬので、木製のさじのようなものですくって食べる。

 米やコマ切れにされた肉野菜が、口の中ではらりと舞い散る。獣のものと思しき油がそれらをふわりと包み、熱のうま味が全体を調和させている。


 舌が歓喜の声をあげ通しで、千代は目に涙を浮かべて出された料理をすべて平らげた。

 食べ終わってから、しばし余韻に浸っていた千代は、ふと我に返って、顔を真っ赤にしながら六郎に尋ねる。



「これが、熱田風ですか」


「正確には、山田党風、かな? それほど気軽に庶民の口に入るものじゃないし。まあ、これから熱田はどんどん人も物も集まる。安価に材料が手に入るようになれば、いずれ庶民が気軽に食べられるものになるだろうね」


「なんとうらやましい……」


「失言だよ、千代」


「ゴホン。もとい、すさまじいことですな。これほどのものを、庶民が口にできるほど安価に、とは」



 千代は顔を赤らめて言いなおす。



「そうだろう?」



 六郎は笑って言う。



「――だけどそれが、熱田の当たり前なんだよ」






 濃姫「(シクシク」


 侍女「舌を火傷したからって泣かないでください! 食い意地張って急いで食べるからです!」







 食事を終えた千代は、港に案内された。

 そこで見た光景に、千代は思わず叫んでいた。



「なにこれーっ!?」



 港の沖に木っ端のようなものが浮いている。

 よく見るとそれは三角の帆が付いた木板のようなもので、上には人が乗っている。


 おかしいのは、それが、風上に向かって進んでいることだ。



「ろろろ、六郎叔父さま、あれなんですか!? 妖術ですか!?」


「ウインドサーフィンというものらしい。なんでも帆に工夫があって、風上に向かっても進めるとか」



 六郎の姿を見つけたのだろう。沖で何人かが手を振っているので、六郎も手を振り返した。



「なんで平然とした顔してるんですかぁーっ!?」


「……慣れたから?」



 千代は思い切り頭を抱えた。



「さ、次に行こうか」



 そう言って六郎に案内された先で、千代はまたしても叫んだ。



「なにこれーっ!?」



 案内された先は反物たんもの屋だ。

 その店先には、喧嘩上等や南無阿弥陀仏なむあみだぶつといった刺繍のなされた長ランやボンタン。それに、セーラー服や体操服やスクール水着が並べられている。



「山田党御用達の反物屋さ。仕立て売りもする……というか、山田党のみなさんの注文が多すぎて、自然とそうなっちゃったんだけど」


「ああ、六郎さん。今日はお休みで?」



 と、六郎の顔を見つけて、店の使用人が笑顔で声をかけてくる。



「ああ、そうなんだよ。郷里から姪が来てね。熱田を案内しているところなんだ」


「それはそれは……どうですお嬢さん。せっかく熱田に来たんだ。山田好みの変わり仕立て、六郎さんのツケにしとくから買っていかないかい」


「おいおい……でもまあ、かわいい姪の頼みなら、買ってあげてもいいよ。この“タイソウフク”とか、いいんじゃないかな?」


「おや、六郎さんもいいご趣味で。どうだいお嬢さん、安くしとくよ?」



 ふたりは談笑しながら、千代に――もっと言えば千代の足から目を離さず、勧めてくる。



「だ、だ、だ」


「だ?」


「――誰が着ますかこんな破廉恥極まりない服ーっ!!」



 千代は顔を真っ赤にしながら叫んだ。






 濃姫「……(パタム」


 侍女「どうなされました? その体操服、お気にめされたのでは?」







「まったく、六郎叔父さま、破廉恥です」


「そうかなあ? いいと思うんだけどなあ」



 首をかしげながら、頬に紅葉を張り付けた六郎はつぶやく。



「思うんですが、叔父さまは熱田に毒されすぎです」


「それは、そうかもしれないね。当たり前になっているヘンなことが、ここじゃあ多すぎるから……と、着いたよ」



 そう言って六郎が指差したのは、一軒の店だった。

“熱田社御神饌しんせん”と掲げられた看板を見て、千代は顔を輝かせた。



「御神饌って、あれですよね! 甘いの! 甘くて幸せなお菓子!」


「お、おちついてよ千代。ちゃんと食べさせてあげるから」



 両肩をつかまれ、がくがくと揺さぶられながら、六郎がなだめるように答える。



「例のものを頼むよ」



 六郎が注文して、ほどなくして出てきたのは、不思議な食べ物だった。



「六郎叔父さま、これは?」


「山田党考案の、神饌菓子の一種さ。和風ケーキと言うらしい。カステラ生地に、餡子あんこを挟みこんで、クリームを乗せた、とかなんとか。日持ちしないし、高いからめったに食べられないんだぞ?」


「叔父さまありがとう!」



 言いながら、千代は和風ケーキにかぶりつく。

 ふわふわとした生地の中から、しっとりとした甘みがわきだしてきて、千代は甘美な味の世界が広がる口を、開くことが出来なくなった。



「――っ!!」


「そんなに涙を流して感動しなくても」



 そう言われても、千代は口からケーキを離そうとはしない。



「きみ、その食い意地をなんとかしないと、そのうちしくじることになるよ」



 六郎が頭をかきながら言った。




 濃姫「(コソコソ……チラッ」







 ――ぱらりらぱらりら。



 感動の余韻を引きずって、ぼーっとしている千代の耳に、妙な声が入ってきた。



「……ふあー? なんです?」


「溶けすぎだ。心配しなくていいよ。あれも、いつものことさ」



 千代は六郎にうながされ、道の端に寄せる。

 道の角を曲がって、現れた人間に。



「なにこれーっ!?」



 千代は叫び声をあげた。

 やってきたのは、馬に乗った人間たちだった。

 全員、さきの反物屋で仕立てられたと思しき、奇抜な衣装を着こんでいる。

 頭も、総髪そうはつだったり坊主だったり、見たこともない形に固められていたりと異様極まりない。

 さらには乗っている馬にまで、馬鎧らしき奇妙なものが、派手派手しく取りつけられている。



「ぶーんぶんぶんぶぶぶん! ぱらりらぱらりら!」



 なぜか奇声を発する男までいる。

 それが街中を駆けるのだから、もう、なんというか、ツッコミどころしかない。

 しかも、人を轢かないように気をつけている。老人を見かければ、馬を止めて彼らの避難をちゃんと待っているのだから、千代の心中はお察しだ。



「あれが山田党だよ」



 六郎にそう言われても、一切理解できない。



「山田党に関しては、下手に理解しようとせず、そういうものだと割り切った方がいい」



 その言葉に、千代は納得せざるを得なかった。




 菓子屋「和風ケーキは売り切れです」


 濃姫「!?」







 山田党に関してこれでもかと言うくらい理不尽を見せつけられた千代だが、百地丹波からの命令は、山田党を探ってくることだ。


 本音を言えば関わりたくなかったが、やるしかない。

 情報は、面白いほど手に入る。


 出自は不明。

 桶狭間の合戦で織田方に勝手寄騎よりきして功を立て、党首正道は織田信長に見込まれて妹婿になる。

 それから、にじり寄るように熱田神宮の支配権をもぎ取り、さらには熱田全域にその権力を及ばせる。

 どこで手に入れたのか、奇抜かつ奇妙な知識を多数持っており、それを惜しげもなく他人にふるまう。

 役に立たない。あるいは利が通らないものも多いが、それでも彼らのひらめきは、商売人にとって千金に値する。


 彼らは隠さない。

 隠していないが、それでもわからないことは多い。


 彼らがどこから来たのか。

 彼らがなぜ、そのような知識を持っているのか。

 鉄の神馬をはじめとする、異質なからくりを、どうやって手に入れたのか。


 実際聞いたものが居る。

 しかし、返答は要領を得ないものだった。



「雷に乗ってきたとか、おれたちにとって当たり前の知識だとか、身の回りにあたり前にあったものだとか」



 直ちにそれを信じたわけではない。

 だが、山田党の複数の人間が、共通してそう答えている。

 口裏を合わせた痕跡はない。第一あの山田党に、そんな高度なことができるか、そもそも疑問だ。


 千代は信じられないながらも、ひょっとして、と思い始めた。



「あまり根を詰め過ぎない方がいいよ。あの連中と関わると、ほら、疲れるし」



 六郎の言葉は正論だったが、千代も止めるわけにはいかない。

 たとえ理解できなくとも、たったひとつだけ、知らねばならぬことがある。



「山田党の当主さまですね? わたし、六郎の姪で千代と申します」



 ある日、千代は熱田の町に出ていた正道に、偶然を装って声をかけた。



「おおォ。六郎の姪ッ子かァ。オレは山田正道だぜェ。よろしくなァ」



 変わり髷リーゼントの巨人は、そう言って鷹揚おうように笑う。

 あの連中の党首らしく、いかにも単純で、豪快そうな男だ。



「こちらこそ、叔父に商いのタネを授けていただき、ありがとうございます。ただ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


「なんだァ?」


「その、叔父は、わたしが言うのもなんですが、たいした商売もできない小身です。お返しするものとて無く――」


「いいんだよォ。そんなことはァ」



 正道は、千代の言葉をさえぎるように言った。



「オレたちゃァ、熱田に世話になってんだ。熱田に恩を返すのは、当たり前だぜェ」



 熱田に恩を受けたから、熱田とそこに住む人に返す。

 それを当たり前のように言うこの男、賢いようには見えないが、器は大きい。



「では、伊勢湾の諸港や、在地の方々に、銭をくのも」


「世話になってるからなァ」



 深く考えるのが、バカバカしくなってくるような返答だ。



「これからも、それで通すおつもりですか?」


「当たり前だろォ?」



 正道が、そう言ってにやりと笑う。



「――オレは、山田正道だぜェ」



 理解はできない。

 できないなりに、千代は自分が、そして伊賀がどうすべきか、わかった。



「つまらない娘の話につき合っていただいて、ありがとうございます。郷里くにへのいい土産話になります」



 千代は、そう言って頭を下げる。

 別れ際、山田党の党首は笑って言った。



「おォ。また熱田に来いよォ!」



 それから、ほどなくして伊賀は織田家に従う。

 それを機に、伊賀衆は熱田の山田党にこぞってよしみを通じる。

 正道はとくにこだわりもなく、その手を握り、彼らに礼を返す。


 外から見れば奇妙に見える信頼関係が、そこにはあった。

 だが、熱田や、当人同士にとってみれば、それは当り前のことだった。



「六郎叔父さん! また和風ケーキ食べに来たよ!」


「ちょっと熱田に染まりすぎだよ、千代」






 千代「うそっ!? 和風ケーキ売り切れ!?」


 濃姫「!?」




戦国リーゼントにおつき合いいただき、ありがとうございます

番外編 熱田の町は普通じゃない を投稿させていただきました


新しい戦国もの、影武者/エルフ/マルティスト。無事完結いたしました。ありがとうございます。

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