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脳筋だから意味がない

 歴史上の人物や地名は、特に理由がない限り、その人物が持つ一番有名なものに統一させていただきます。


 元日の早朝、某県某駅。

 駅前のロータリーに、百人近いバイク乗りが集まっていた。

 初日の出暴走のために集まった、県内最強の武闘派チーム、武論駆衆ブロンクスのメンバーたちだ。


 ヘッド山田正道やまだまさみち

 巨大なリーゼントにオールドヤンキースタイル。グラサン姿のイカス大男だ。



「よォく集まった、野郎どもォ。今年も……ヒートしようぜぇ!」


「うおおおっ!!」



 正道の呼びかけに、威勢のよい雄叫び。

 バイクのエンジンが、一斉にうなり声をあげる。


 それと同時。

 おりから空を覆っていた暗雲から、一条の稲妻がひらめいた。

 地を震わすようなすさまじい炸裂音とともに、強烈な光が一面を覆う。


 そして。

 つぎに気がついた時、彼らは……戦国時代に来ていた。



「んん? ここはァ、どこだァ!?」


「わかんねっス! えれぇド田舎っぽいっスけど!」


「駅も道路もいきなり消えちまったぜ!?」


「どうなってんだオイ!?」


「おい平蔵へいぞう! ちーとノド乾いた。自販機探してきてくんねーか!」



 だが、彼らがそれを理解するには、まだ時間がかかりそうだった。









「――かしらぁ!」



 と、騒ぐ仲間たちを乱暴にかき分けて。

 舎弟の一人が、あわてた様子で正道のもとに駆けてきた。

 自販機を探しに行った男だ。



「なんだァ、平蔵へいぞォ」


「頭、周りがおかしいぜ! 電柱がねえ! アスファルトの道路みちもねえ! おまけに出会ったヤツはみんな逃げてくしよう!」


「そりゃあ、平蔵ォ。お前が強面こわおもてだからじゃねえかァ?」


「頭に言われたくねえよ!?」



 どっちもどっちの強面だが、いまは関係ない。

 平蔵は話を続ける。



「とにかく、やっと一人とっ捕まえて、ハナシ聞いたんだけどよう……どうもここは異世界らしいぜ!」


「なんだとォ!?」



 突拍子もない話だ。

 正道だけでなく、全員がおどろきの声を上げた。



「どういうことだァ、平蔵ォ」


「それがな、頭。そいつが言うにはよう……」



 平蔵は深刻そうな表情で、聞いてきた話を伝える。



「――ここはオワリの国とかいうとこで、一番威張ってんのはキヨスってところに居るオダノブナガって野郎らしい!」


「おおォ。聞いたことがない名前ばかりだぜェ。そりゃ平蔵ォ。嘘じゃなけりゃ、間違いなくここはぁ異世界イセカイってやつだろうぜェ」



 衝撃的な会話がなされているが、突っ込む者は居ない。

 正道にならって、全員が「そうだそうだ」とうなずいた。


 馬鹿ばかりだった。









「オダノブナガ? そりゃ織田信長っスよ!」



 と、舎弟の一人が声を上げた。

 仲間内でヤスと呼ばれている男だ。

 チビで非力だが、そのかわりに頭はいい。

 偏差値38の高校に通っている、チーム1のインテリだ。



「知ってるのかァ、ヤスゥ!?」


「あれっス。戦国時代の……チョーすげえ人っス!!」



 チーム1のインテリですら、その程度の知識だった。



「おお、さすがヤス! 博学じゃのう!」


「腕っ節はからきしだけどよう。テメエの頭のよさは、へへ……買ってるぜ!」



 その程度の知識でも、大絶賛だった。






信長「解せぬ」



コメディーテイストの戦国ものです。

皆さま、よろしくお願いいたします。

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