夜、自宅にて
相変わらず苦しい文章ですが
温かい目で見てやってください。
俺はとある日の夜、考えていた。
まだ知り合って日が浅い新井雪乃とかいう女。
アイツは、いったい何の為にわざわざ俺に話しかけてくるのだろうか。
入学してもう1ヶ月が過ぎようとしていたが、俺は未だ一度もアイツを名前で呼んだことがなかった。
何度も呼ぶようにと言われるのだが、どうも呼ぶ気にならない。
「はあ・・・」
最近、よくため息を吐く。
自分でも何に悩んでいるのかよく分からない。
いや、悩みなんて最初から無いのかもしれないが。
だけど
アイツの笑顔を見るたび、胸が締め付けられる。
アイツが名前を呼ぶたび、息が苦しくなる。
そして何より
あの笑顔が、どうしても 唯と重なって見えてしまうのだ
くしゃっと目尻を下げ、とてもほがらかな笑い方をする
そっくりだ
翼はそう思う。
明るく人見知りしない性格も。
まだ幼さが残る少し高めの声も。
長く切り揃えられた綺麗な髪の毛も。
雪乃を見ていると、あの記憶が蘇りそうになる
また、あの夢を見てしまうかもしれない
それが、翼にはたまらなく怖い
もうこれ以上、苦しくはなりたくない
こんな事を考えているうちに、いつの間にか目蓋が重くなってきて。
気がついたら 翼はベッドの中で寝息をたてていた。
翼には、寝る前に必ず行う事がある。
寝る直前。彼はいつも こう願うのだ
(どうか、あの夢を見ませんように・・・)
唯に縛られ続けている翼が、
何もかも無気力になってしまった翼が、
唯一、毎日寝る前に行っている事だった。
意識してやるというより、むしろ日常の日課のようになっていた。
それは 朝、ご飯を食べた後に歯磨きをするくらい、毎日夜お風呂に入るくらい当たり前の事で
でも この当たり前をやらないと また、見てしまう気がする
ただでさえ翼は寝起きが悪い。
非常に悪い。朝に弱いのだ。
これにプラスして、あの悪夢が毎日のように続いたら・・・・・・
本当に、馬鹿みたいに
どうしようもなく怖い
こんな臆病な自分が大嫌いだ
過去を懐かしく思うときがある。
ふと、思い出すときがある。
昔、どこかで
冬が好きな自分がいた。
正確には、嫌いじゃなかった。
あの頃の「俺」
俺は、「お前」を否定する。
何が冬だ
俺はやっぱり、冬が嫌いだ