胸の中の違和感
次の日、俺は妙な気持ちで登校した。
(何だ、この気持ちは・・・)
自分でも訳が分からなかったが、それでも自然と足は進む。
教室に入って席に着くと、雪乃が声をかけてきた。
「おはよっ」
「ああ、おはよう。」
昨日初めて話したばかりなのに、すっかり砕けた雰囲気で話しかけてくる雪乃だったが
翼には正直疑問だらけだった。
(コイツは何故俺にばかりかまうんだ)
お世辞にも愛想が良いとは言えない翼だが、それでも雪乃は笑顔だ。
「ねーねー、ツバサはどこの中学から来たの?」
「二中だけど。」
「へえ、そうなんだ!アタシは五中。」
こんなくだらない会話をしたのは何ヶ月ぶりだろうか
俺はあの事件が起こってから、人との距離を置き、壁を作るようになった
自然と友達も減っていき、最終的には誰も翼に話しかけようとしなくなる
当たり前の事だった。
あの頃は他人と話す余裕なんて無かったし、現実を受け入れられないままだった。
認めたくなかった。
掴めなかったアイツの手
落ちていく身体
ほがらかな笑顔
全部忘れたかった
忘れられない事なんて、分かってはいたが。
そして、今現在。
唯の死を約1年かけてやっと受け入れられた俺は
人との間に、壁を作るようになってしまった。
・・・まあ、こんな話はさておき。
さっきから異様な目線で見てくるコイツは何なんだ。
人を眺めるのが趣味なのか?だとしたら相当気持ち悪い。
「ツバサってさ、目死んでるよね。」
「はあ?」
「あ、ごめんごめんw死んでるは言い過ぎたよ。なんていうかさ、何も無いものを見てるみたい。
不思議な感じ。」
「・・・・」
よく見てるなぁと思う。
別に意識してる訳ではないんだが。
「ツバサ」
「なに。」
「名前で呼んでよ。」
「何だよ急に。気持ち悪い。」
「はあ!?何それ!ちょームカつくんですけど!」
「だっていきなり名前で呼ぶとか・・・気持ち悪いだろ。」
「いーじゃん別に。雪乃ね雪乃。」
相変わらずニコニコと話しかけてくる雪乃。
翼は目を合わせられずにいた。
「ほーら!早く呼んで!」
「何でそんなにこだわるんだよ。」
「だってアタシら友達でしょー。名前で呼ぶなんて常識じゃん。」
「・・・はあ。」
「ちょっとー何よその反応。」
ぐだぐだと言い合っていると、突然チャイムが鳴り響いた。
「あ、1時限目移動教室じゃん!先行ってるね!」
早口で言うと、雪乃はその場を走っていき友達の所へと行った。
(もう友達なんて居るのか)
少し虚しいような、そんな感覚を覚えた。
が、その感覚はすぐに消えた。
結局、この話はチャイムの音に消されお預けとなった。
(・・・ナイス)
心の中で、翼は呟いた。
名前で呼ぶのには、どうも抵抗がある。
恥ずかしげもなく呼べたのは唯しかいなかった。
それに・・・・・・
雪乃の笑顔と唯の笑顔が、どうも重なって見えてしまう
このモヤモヤした気持ちは一体何だろう
昨日からこんな感じだ
気になって仕方が無い
雪乃を見ると
眩しくて、辛くて、涙が出そうなほど悲しくなる
苦しい。
やっとそう気がついた頃には
既に太陽は沈み、皆下校している時刻となっていた。
すごく表現が下手というか
文の構成が下手くそで
読んでくださっている方、すみません。
上手くなるように頑張りたいと思います。