(2)
あたしのそんな姿を見て、カレロ君が慌てたように言う。
「ごめん、泣かすつもりは無いんだ」
「……あたし、そんなつもりだったんじゃ……」
「ああ、そうだね。ごめんごめん。僕が悪かった」
「ううん。あたしが悪い。ホントにそんなつもりじゃなかったんだ。ゴメンサナイ」
カレロ君は困ったように頭をかきながら。
「ごめんね。この話忘れてよ。明日もあるしさ」
(明日?)
「試合、見に来て欲しいしさ。みんなミクミちゃん来るの待ってるし」
そう言い残して彼は行ってしまった。
カレロ君がいなくなってからも、あたしはしばらく泣いていた。
そんなつもりじゃなかった……なんて。
そんなの言い訳だ。
じゃあ、あたしはどういうつもりだったんだ。
本のオバケは最初から三人を攻略するって言ってたじゃないか。
それが分っててあたしは行動してたんじゃないか。
「誰かに恋をする報いなのさ」
本に手をやると、本のオバケがそう言った。
「むくい?」
「生きるために、人間は他の命を食すだろうが。それと同じだな」
「でも、人を傷つけたりはしないでしょ!」
思わず声が大きくなる。
「それこそエゴだな。人間の身勝手ってもんだ。食べられる動物や植物にだって言い分はあるだろうぜ。お前さんたちには聞こえないだろうがな」
あたしは言い返すことが出来ない。
「しかし、そこまで落ち込むことは無いと俺様は思うがね」
「どうして?」
「恋愛ってのは経験なのさ。カレロ君は今回お嬢ちゃんに告白したことで経験値を得た。そのステップの一つになれたんだから、長い目で見れば彼の役には立ってると考えることが出来る」
「ちょっと、こじつけっぽい話ですね」
これは精一杯の嫌味。
「彼に彼女が出来た時、笑って祝福してやればいいのさ」
優しく取り繕うように本のオバケが言った。




