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「でも、希少性というのは勝手に高まるものじゃないんだぜ」
「どういうことですか?」
「普段から人気の無いケーキ屋が限定20個のケーキを売り出しても、みんな買わないよな」
「まあ、そうですよね」
「つまり、希少性というのは、それなりにみんなが認めていなければダメだということだ」
「認める?」
「普通のケーキも美味しくて、いつも人気があるケーキ屋だったら、限定20個のケーキを普通のケーキの二倍の値段で出しても売れるよな」
「なるほど」
「ミクミちゃんのことも基本は同じだ。(休み時間に会話を重ねた)ことでみんなから(ルーティン)だと認識された。それを急に止めたことで(ミクミちゃんの希少性が少しだけ上がった)ということになる」
「そうなんですか?」
「僅かなもんだがな。しかし、効果はそれなりにあるんだぜ。つまり、昨日までは男子三人が集まっている所に、ミクミちゃんがお邪魔していたが、今は男子三人がミクミちゃんの所にやってきてる」
「えっと……つまり同じことですよね?」
「一見すると同じように思えるだろうが、実はこれは全く違う。自らがミクミちゃんの行くという行為は三人の競争を加速させるからな」
「競争……とか、してないじゃないですか」
「今はまだ気付いちゃいないだろうがな。今まで三人均等だったものが、これからは不平等になる。だから競争は勝手に発生するのさ」
「はあ……イマイチ分りませんが」
「俺様の神懸かりなコーチングのおかげで短期間でここまで達したが、通常ならこの段階に達する迄に3ヶ月はかかるところなんだぜ」
「そ、そうなんですか?」
「ともかく、こっからが急展開ってところだな」
本のオバケがニタリと笑った。




