(3)
予鈴が鳴って、二人が自分の席に戻ると本のオバケが言った。
「さすがラテン系だな。手が早い」
「え? どういうことですか? てか、どうして二人はあたしの席まで来たんだろ?」
「そりゃ、お嬢ちゃんと喋りたかったからだろ」
「え?」
「まあ、あれだけ毎度毎度、休み時間に喋ってたものが突然来ないとなると気になるもんだぜ」
「そういうもんですかねぇ」
「お決まりの習慣とか日課のようなものだからな。こういうのはルーティンという」
「ルーティンですか」
「習慣や日課がある日、突然無くなってしまうと人は不安になるのさ」
「まあ、それは何となく分りますね」
「ルーティンだった筈の四人での会話が今日は無い。お嬢ちゃんを見ても具合が悪そうにも見えない。何が原因だろうと考える。ズバリ聞くのも変だ。だから(何してんの?)って曖昧にカレロ君は言っただろうが」
「そうでしたっけ?」
「とにかく、カレロ君は気になった。気になったから、まあ、半分は無意識だったんだろうがお嬢ちゃんを探りに来たワケだな」
「はあ……」
「その様子を伺っていたユキト君は普段通りにミクミちゃんとカレロ君が話しているのを見て、いつものルーティンに参加した」
「はあ……」
「この状態が続けば、モリヤ君が来るのも時間の問題だぜ」
確信しているように本のオバケが言った。
案の定、次の休み時間には、あたしの席の前に男子三人が揃っていた。
なるほど、ルーティン恐るべし。




