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優しい灯  作者: 豆大豆
2章
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変わる放課後③

入塾の申し込みをした次の日。

今日は、塾で学力調査のテストがある。


放課後、私はすぐに荷物をまとめて学校を後にした。

いつも放課後になるとあわただしく帰る人たちは、きっとこんな心境なんだろうな、などと考えながら、早足で向かった。


塾の教材も入ったカバンは、いつもよりも肩に食い込んで、歩きながら何度も持ち替えた。


塾に着くと、外には既にたくさんの自転車が並んでいて、それぞれに色んな学校のシールが貼ってあった。

中には剥がれかけたシールや、5年前の年度が書いてあるものもあった。


私は入り口で受付付近にいた講師に伝えると、すぐに個室に連れていかれた。

個室はあまり広くなく、私の自室ぐらいだった。

小さなホワイトボードと教卓、ぽつんと一つだけ置かれた机と、壁際に申し訳程度の観葉植物があった。

圧迫感が強く、講師の方とふたりきりになると、自然と緊張感が走った。


講師は「ちょっと待っててね」と言い、部屋を出ていった。

机に座った私はカバンから筆記用具を出す。

ペンケースに刺繍されている猫の肉球のマークが目に入る。

日向くんは、この猫の肉球に気付いてくれたっけ、と不意に思い出してしまった。

たぶん、私は緊張の中で心細さを感じて、誰かにすがりたくなってしまっているのだろう。


講師がテスト用のプリントを持ってきて、私の前に置く。

科目は私が希望したもののみだった。

テストの受け方と制限時間の説明を受け、すぐに始まった。

私は精一杯集中して、何枚ものテストを解いた。


1時間ほどで終わった後、講師がその場で確認をしてくれた。

やはり、私の弱点は理数系の公式や、暗記系だった。

他人に自分の弱点を明確に把握されるのは恥ずかしく、自然と背中に熱がこもるようだった。


その後、学習の方針を示され、教材とカリキュラムの説明を受けた。

「今日は授業がないけれど自習室は使っていっていいよ」と言われたので、私はさっそく使わせてもらうことにした。

講師にお礼を言って個室から出て、自習室に向かう途中、講義中の教室をいくつも横目に通り過ぎる。

ホワイトボードを力強くたたく音が聞こえて、少しビクッとした。たぶん、熱血な講師がいるのだろう。


自習室に入ると、既に多くの生徒がいて、ノートにペンが走る音や問題集をめくる音がそこかしこから聞こえてくる。どの背中からも集中している様子が伝わってくる。

誰もこっちを気にしていなかった。

ヘッドホンやイヤホンをしている生徒が多いのは、リスニング問題でも聞いているのか、雑音を減らしているのかな?


席を見渡すと、複数の机が横にくっついて向かい合わせになっている。

その間には仕切りがあって、隣と向かいの様子は見えないようになっていた。

なるほど。これは集中できそう。

私は音を立てないように、空いている席を探した。窓際にある、端っこの席が目について、自然と席に着いた。


なんだか、図書室でいつも座っている席みたいな配置で、初めての場所なのに、落ち着く気がした。

私にとって、あの場所はそんなに大きい存在だったのだろうか、と今更ながら思った。

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