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優しい灯  作者: 豆大豆
2章
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変わる放課後②

昇降口から出ると、空は青く、どこまでも遠く澄み渡っていた。

いつもなら心が軽くなるような世界の顔も、今は私にはほとんど響かなかった。


急いで駅前に向かうと、お母さんは花壇と一体型のベンチに、たくさんの人に紛れて座って待っていた。


合流してから塾へと向かう。

塾が入っているビルを見上げると、窓には様々な大学進学実績の張り紙があった。

私が目指している「桜ヶ丘大学」の名前も目に入った。

その名前を見るだけで気が引き締まった。


受付でお母さんが申し込みをしている間、私はあたりをきょろきょろと見渡し、入り口から次々に塾生が入ってくるのを眺めていた。

高校受験を目指している中学生らしき子や、私と同じぐらいの年齢の子まで、様々だった。

中には私と同じ制服を着ている子もいた。


私とお母さんはそのあと、塾講師らしい男性と面談をした。


今の成績や志望校、伸ばしたい科目。週に何回通えるか。

授業料や、自習室の使い方。

どういう勉強スタイルで、一日何時間勉強しているかも聞かれた。

自分の勉強時間が少ないとは思っていないけれど、それでも「足りない」と思われないかが、少しだけ不安だった。


「放課後は学校の図書室で、下校時間まで宿題と勉強の両方をしていました」

講師の方は、「それはどれくらいの頻度ですか?週に3回とか?」と尋ねてきた。

私の脳裏に浮かぶのは、毎日のように図書室で過ごした日々だった。


「毎日、でした」


口から出た言葉は過去形で、それがとても遠い日のことのように思えた。

一緒に机を囲んだ日向くんと夏海さんの顔が浮かび、少しだけ切なさを覚えた。


「あとは、家の自室で寝る前に勉強をしていました。」


塾講師の方はメモを取りながら話を聞いていた。

メモは箇条書きで「放課後、下校まで勉強」「自宅でも勉強時間は確保できる」と、整った文字で

私の言葉が要約されていた。

こういう人たちの字はどうして綺麗なんだろう、とどうでもいいことを考えてしまった。


面談が終わり、施設内の見学もさせてもらった。

自習室では、たくさんの人たちが勉強をしていた。

その姿を見るだけで、自分も集中できる気がした。


受付に戻ってきて、お母さんが入塾費用を支払った。

その金額は、私から見たらかなり大きかった。

だけど、背中を押してくれるお父さんとお母さんのために、

そして何よりも自分自身の未来のために、頑張ろうという気持ちが強くわいてきた。



きっとこれから、私はとても忙しくなる。

だけど、やりきりたいと心から思った。


入塾の受付が終わり、教材が入った紙袋を渡される。ズシリとした重さが、これからの私がやるべきことを予感させた。

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