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優しい灯  作者: 豆大豆
2章
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悔しさと決意

進路面談があった日の帰り道。


私は、日向くんと夏海さんとの間に明確な差を感じて、打ちひしがれていた。


特に夏海さんは、あっという間に私に追いついて、そのままの勢いで追い抜いていった。もう、追いつける気がしない。

悔しい。

私が努力だと思っていたことは、夏海さんにとっては取るに足らないものなのかもしれない。


胸の内に、劣等感が鉛の塊のような重さを作り出し、息苦しかった。

それなのに、夏海さんは変わらず優しく、友達としてそばにいてくれた。

その明るさと優しさが胸にしみるほどうれしく、同時に、いつか自分の浅さを見抜かれて、離れていってしまうのではないかという不安に押しつぶされそうになる。

そんなことを考える人ではないと分かっているのに、彼女に対する苦手意識のようなものが、どうしようもなく芽生えてしまった。


なにより、私の成績は後がないと思った。

私は夕食後、リビングのテーブルの上に模試の成績表を広げ、お父さんとお母さんに向かい合った。


お父さんはただ黙って成績表を見ていて、お母さんはその横で「頑張ってるのに、結果は出てくれないのね」と呟いた。


「これ、この前の桜ヶ丘大学志望の判定で……悪くてごめんなさい」


そして、続ける。


「でも私、諦めたくないから……塾に行きたい……」


お父さんは視線を成績表からこっちに向けた。

そして、ただ一言、「うん、わかった。母さん、いいよな?」とだけ言った。


お母さんも、その横で頷いていた。

すんなりと受け入れられて、私は驚いてしまった。


「でも、お金が結構かかりそうなんだけど……」


その言葉に、お父さんは小さく首を振りながら言った。


「そんなことは咲は心配しなくていいから」

優しい声だった。さらに続けて、「頑張りたいと思ったんだろう?精一杯やってみるといい」と言ってくれた。


強く、背中を押された気がした。


「うん……ありがとう」


そこから、どこの塾に行くのか、どれくらいの期間行くのかを話し合った。

学校最寄りの駅にある大手の塾を選んだ。

自習室があり、毎日21時過ぎまで開放されている。


塾の授業がない日でも、放課後に行ける場所を作っておきたかった。

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