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優しい灯  作者: 豆大豆
2章
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通知が運ぶぬくもり

日が暮れるのも早くなり、バスから降りた悠は暗い道を自宅へと歩いていた。

風はすっかり冷たくなり、ぽつぽつと並ぶ街灯の白い光も冷たく見えた。


悠の家は母と兄の三人暮らしで、皆平日は忙しく、いつも悠が一番に帰宅していた。

庭先のセンサーライトに照らされながら、慣れた手つきで玄関の鍵を開ける。


自室で着替えるためにスマホをポケットから出すと、通知が来ていることに気づいた。


咲だ。


脱ぎかけた制服はそのままに、すぐに画面を開き、咲からのメッセージに目を通した。


咲:「お疲れさま。返事が遅くなってごめんなさい。」

一緒に、「ごめんなさい」と書かれた女の子のスタンプが添えられていた。


彼女らしい文章。それを見ただけで、悠の心はふわっと温かくなった。

続けて、メッセージが書かれている。


咲:「しばらく塾に通うことになったので、当分は図書室に行けないです。伝えるのが遅くなってごめんなさい。」


悠は、ベッドの上にどさっと座り込んだ。


(塾か。確かに、成績を上げるなら一番良いよな)


理由が分かって、内心ホッとした。

少しだけ寂しい気持ちもあったけど、ぐっと堪える。

咲はきっと、自分の行く道を掴むために決断したのだろう。

その気持ちを尊重したかった。

悠はスマホの画面を見ながら、指で言葉を選ぶ。


悠:「了解、教えてくれてありがとう。体調、気を付けて。」

送信。


部屋着に着替えている間にスマホが震え、机の上で大きな音を立てた。


咲:「こちらこそ、連絡くれてありがとう。最近寒いから、日向くんも体調に気を付けてね」

マフラーをつけたネコのスタンプが添えられてくる。


それだけで、悠は自分の顔が少し緩んでいることに気づいた。


悠:「塾頑張ってね。応援してる。でも、無理しないで」

そして、「ご自愛ください」と頭を下げる漫画のキャラクターのスタンプを送信。


一瞬で既読がついて、「ありがとう」とお辞儀する柔らかいイラストのネコのスタンプが送られてきた。


無理をしないかだけが気がかりだったけれど、咲が諦めていないことが素直にうれしかった。


悠は、夏海にも短く、

悠:「返事、来たよ。塾に通うって」

とだけ送信して、画面を伏せた。



その夜、自室でのノートと問題集への書き込みはいつもよりも捗った。

夜の静けさに、ペンが走る音だけが響いていた。

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