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優しい灯  作者: 豆大豆
2章
81/145

夕暮れのファミレスで①

いつものように図書室で勉強をしながら過ごしていると、

気づけば、図書室には三人しか残っていなかった。


誰かが開けたままの図書室のドアの外からは、廊下を歩く誰かの「またね」と言う声が響いてくる。


ほどなくして、下校のチャイムが鳴り、

三人は教科書とノートを閉じ、帰り支度を始めた。


窓から差し込む陽の色は、いつの間にか少し前より青みが濃くなり、秋の訪れを感じさせた。


「……よし、今日はここまで」悠がイスを引き、軽く伸びをする。

その時、急に夏海が、ぱんっと手を叩いて笑顔を見せた。


「よし!じゃあ今日はお祝いにファミレス行こ!」

「え?」咲が瞬きをする。

「お祝い?」悠も半笑いで聞き返す。


「だってさ、咲ちゃんもC判定になったし、私も上がったし、悠くんは安定のBだし。これは祝うしかないでしょ!」

「いやいや、この前遊んだばっかじゃん。カラオケ行ってプリクラ撮って……」悠が苦笑する。


夏海は悠を少し下から見上げるように視線を向けて、それからニヤリと笑い、

「それはそれ、これはこれ!」力強く語る夏海は机の上の結果表を指で軽く叩きながら、「今日ぐらいさ、甘いもの食べて元気をチャージしてこ?」と畳みかける。


二人のやり取りを見ていた咲は、その勢いに思わず笑いながら、

「……うん、いこっか。ほら、日向くんも」小さくつぶやくと、夏海が満足げに笑う。


「ほら、咲ちゃんも行く気だし。決まりね!」

悠は小さくため息をつき、「すんごい押しの強さ……」と呆れながらも、どこか楽し気に荷物をまとめ始めた。



学校を出て、夕暮れ色に染まった住宅街を並んで歩く。

夏海は自転車を押しながら、少し先を歩き、悠と咲はその後ろを並んでついていく。

ファミレスが見えてきて、ほんのり漂うコーヒーの匂いが、もうすぐ訪れる会話の時間を予感させていた。


ファミレスは夕飯時のためか、多くの席が埋まっていた。

窓際の奥にある、四人掛けのテーブルに案内される。三人は意識せずとも図書室と同じ並びになった。

悠の正面に咲、斜め向かいは夏海。


三人は軽食とスイーツセットを頼んで、しばらくは他愛もない雑談に花を咲かせていた。

部活のこと、家庭のこと、二年の時の夏のバイトで咲や先生と遭遇したこと。


話題が落ち着いたころ、夏海がストローをくわえながら、ふと思い出したように口を開いた。

「てかさー、前から思ってたんだけど」

「うん?」咲と悠は同時に夏海に視線を向けた。


「咲ちゃんと悠くんって、付き合ってないの?」


唐突な言葉に咲は思わずグラスを持つ手を止め、悠は苦笑いを浮かべて顔を少し背けた。

「付き合ってない……よ?なんでそう思うの?」ちらと悠を見ながら咲は答えた。


「だって、一緒にいること多いじゃん。私が来る前から一緒に図書室に通ってたんでしょ?帰るときも一緒だったんだよね?」


「うん、まあ、それはそうだけど。でも別に付き合ってるとかではないよ」

悠は出来るだけ冷静を装って言葉を伝えた。


そのあと、咲と悠はちらりと視線を交わしながら、

すぐに少しだけ、笑いあった。


「へぇ〜?」

夏海はふたりを交互に見ながら、意味ありげに笑い、ポテトをひとつ口に放り込んだ。

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