春休みの合間に2
「えーと、つまり、咲は……」
ショートヘアの子が、グラスのストローをくるくるしながら、顔をのぞき込んでくる。
「バレンタインで、日向くんにチョコを渡して、そのお返しでミニタオルをもらった?」
咲は、うつむきながら、小さく頷いた。
「おー……!」
ポニーテールの子が両手を合わせて声を上げた。
「頑張ったね~、咲!」
ショートヘアの子が咲の肩をバシバシと叩きながら労ってくれる。
「どんなの渡したの?」
メガネの子がすぐに乗ってくる。
「えっとね……」
と言いかけた咲の言葉より先に、ポニーテールの子が口を開いた。
「咲ちゃんのことだから、ちゃんとしたのを買ったんじゃない?パッケージとか、すごくきれいなやつ」
「わかる。たぶん、すっごい迷って選んだんじゃない?」
ショートヘアの子が、ぽつりと添えるように言った。
「日向くんに似合いそうなやつ、めっちゃ考えてそう」
「量より質を選んでそう」
咲の言葉をよそに、みんな好き勝手に予想をしていく。そして。
「で、それだけじゃなんか物足りないなって思って……」
メガネの子が、テーブルに両肘をついた。
「手作りもちょっと付けた、とか?」
「そうそう。小さめのトリュフを三個くらい」
ポニーテールの子が、まるで見てきたように笑う。
「……!?」
グラスを持つ咲の手が、思わず途中で止まった。
三人の視線が、一斉に自分に向けられている。
タオルを握った手に、じんわりと熱が集まる。
「なにかメッセージカードとかも添えた?」
メガネの子が、にやっとしながら言う。
「あー、つけてそう。シンプルなやつ」
「……あ、あれでしょ」
ショートヘアの子が、小さく笑う。
「咲の猫。描いたんじゃない?カードに」
「うわ~、絶対かわいい。日向くん、そういうのもらったら絶対嬉しいし、大事にしてくれると思う」
「まって……」
咲が、声を出した。
一度、言いかけて止まって、もう一度。
「……中身、見てたわけじゃないんだよね……?」
少しの沈黙のあと、三人とも、わあっと笑い出す。
からかうというより、当たってしまったことの照れ笑いのようだった。
「やっぱり、そういうの似合うもん」
ポニーテールの子が肩をすくめる。
「咲がそういうのを渡すの、すごく自然っていうか」
「……何がいいのか分からなくて、いろいろと迷ってただけ」
咲がぽつりとつぶやくと、ショートヘアの子が目を細めた。
「気持ち、すごいこもってるのは絶対伝わったよ。本当に頑張ったね、咲」
咲は少しだけ俯いたまま、それでも顔を隠さずに笑った。
タオルの猫の刺繍を、親指でそっとなぞりながら。




