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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
62/145

春休みの合間に2

「えーと、つまり、咲は……」

ショートヘアの子が、グラスのストローをくるくるしながら、顔をのぞき込んでくる。

「バレンタインで、日向くんにチョコを渡して、そのお返しでミニタオルをもらった?」


咲は、うつむきながら、小さく頷いた。


「おー……!」

ポニーテールの子が両手を合わせて声を上げた。

「頑張ったね~、咲!」

ショートヘアの子が咲の肩をバシバシと叩きながら労ってくれる。


「どんなの渡したの?」

メガネの子がすぐに乗ってくる。

「えっとね……」

と言いかけた咲の言葉より先に、ポニーテールの子が口を開いた。


「咲ちゃんのことだから、ちゃんとしたのを買ったんじゃない?パッケージとか、すごくきれいなやつ」

「わかる。たぶん、すっごい迷って選んだんじゃない?」

ショートヘアの子が、ぽつりと添えるように言った。

「日向くんに似合いそうなやつ、めっちゃ考えてそう」

「量より質を選んでそう」

咲の言葉をよそに、みんな好き勝手に予想をしていく。そして。


「で、それだけじゃなんか物足りないなって思って……」

メガネの子が、テーブルに両肘をついた。

「手作りもちょっと付けた、とか?」

「そうそう。小さめのトリュフを三個くらい」

ポニーテールの子が、まるで見てきたように笑う。


「……!?」


グラスを持つ咲の手が、思わず途中で止まった。

三人の視線が、一斉に自分に向けられている。

タオルを握った手に、じんわりと熱が集まる。


「なにかメッセージカードとかも添えた?」

メガネの子が、にやっとしながら言う。

「あー、つけてそう。シンプルなやつ」

「……あ、あれでしょ」

ショートヘアの子が、小さく笑う。

「咲の猫。描いたんじゃない?カードに」

「うわ~、絶対かわいい。日向くん、そういうのもらったら絶対嬉しいし、大事にしてくれると思う」

「まって……」

咲が、声を出した。

一度、言いかけて止まって、もう一度。


「……中身、見てたわけじゃないんだよね……?」


少しの沈黙のあと、三人とも、わあっと笑い出す。

からかうというより、当たってしまったことの照れ笑いのようだった。


「やっぱり、そういうの似合うもん」

ポニーテールの子が肩をすくめる。

「咲がそういうのを渡すの、すごく自然っていうか」

「……何がいいのか分からなくて、いろいろと迷ってただけ」

咲がぽつりとつぶやくと、ショートヘアの子が目を細めた。


「気持ち、すごいこもってるのは絶対伝わったよ。本当に頑張ったね、咲」


咲は少しだけ俯いたまま、それでも顔を隠さずに笑った。

タオルの猫の刺繍を、親指でそっとなぞりながら。

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