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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
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気持ちのおかえし2

夜はまだ3月らしい寒い風が吹いていた。

悠は自室で机に置かれたメッセージカードに向き合っていた。

カードの隅には、小さなリボンと、花の絵が印刷されている。

店員さんが、ホワイトデーのおまけとして一緒につけてくれたものだった。


(なんて書けばいいんだ……)


悩んだまま、ずっとペンは動かなかった。


咲からもらったメッセージカードを手に取る。

そこには「いつもありがとう」とシンプルなメッセージと、猫の絵。

いろいろと書きたい気持ちを、この一言に込めてくれたのだろう。


(……飾らなくていいから、正直な気持ちを書こう)


ゆっくりと、ペンに気持ちを乗せて、カードに刻んでいく。


「チョコ、すごく嬉しかったです。

お返し、受け取ってもらえたら嬉しいです。

いつもありがとう」


書き終えたカードを、そっと眺める。

「いつもありがとう」の部分は狭いスペースに少し窮屈に詰め込んでしまったけれど、

伝えたい気持ちは、書けた。



咲に渡す袋は、すでに店員さんがきれいにラッピングしてくれてある。

丁寧に閉じられた口を見て、そこをもう一度開けることに躊躇いが生まれる。


(……開けないでおこう)


代わりに、メッセージカードに空いタ穴にリボンを通して、袋に結び付ける。

渡すときに、ちゃんと見てもらえるように。


自分の手で結び終えたリボンを見つめながら、悠はひとつ息を吐いた。


(……明日、ちゃんと渡せるかな、本当にこれで喜んでくれるかな)


明日忘れないように、リュックの上に袋を置いて、部屋の明かりを消した。

布団に潜り込むと、悠はカーテンから差し込む月明かりを見ながら、目をつぶった。


悠にとって、こんなふうに誰かに何かを贈るのは、初めてのことだった。

迷いは不安を呼んで、ずっと胸の中でもやもやしていた。

でも、これはあくまで「お返し」。きっと受け取ってもらえる。


咲は、受け取ってもらえるかわからなかったはずだ。もっと悩んで、もっと不安だったはず。

それでも、あのチョコと一緒に気持ちをくれた。

そんな咲の気持ちに自分が応えたい、渡したい、と言う気持ちが強くなっていった。


咲に何と言って渡そうか、言葉を考えながら、いつの間にか意識は沈んでいた。

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