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気持ちのかたち9
家に帰った悠は、自室の机にもらった袋をそっと置いた。
ラッピングを解くのがなんだか惜しくて、しばらく眺めていた。
白地の箱、小さな包み、そして猫の絵が描かれたカード。
どれも、咲の手を通って、自分のところに来たものだ。
カードは目に入るところに置いておきたかったけれど、
汚さないように、無くさないように、そっと机の引き出しの中にしまった。
箱に入ったオレンジピール入りトリュフをひとつ取り出し、口に運んだ。
知っている味だけれども、初めて食べるような気がした。
きっと、咲が選んでくれたというだけで、意味が変わったんだと思う。
次に、小さな包みの袋から、そっとテープを外す。
咲の指先が丁寧に包んだのだと思うと、悠の手つきも丁寧になった。
ふと、今日の咲の顔が浮かんだ。
緊張がこれでもかと伝わってきた。
だけど、手の震えも、頬の紅さも、全部が、まっすぐだった。
そんなことを思い出しながら、トリュフをひとつ、口に入れた。
(……おいしい)
少しだけ苦味があって、食べやすい大きさと、甘すぎない感じがどこか優しくて、それが咲らしいな、と思えた。




