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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
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日常のまなざし1

始業式が終わって、年明け最初の授業が始まった。


チョークの音と教科書のページをめくる小さな音が重なる。


悠は教室の真ん中より少し後ろ、窓際の席にいた。

いつもどおりの日常。の、はずだった。


ふとした拍子に、教室の前方、真ん中あたりに座る咲に視線が吸い寄せられてしまう。

ペンを動かす手。

黒板に向けられる横顔。


そのどれもが見慣れたはずなのに、今日は妙に気になる。


(……いや、そんな見てるつもりはないし。黒板を見てるだけだし)


自分に言い訳しながら、焦点を黒板にずらす。なのに、気づいたら焦点は咲に向いてしまう。

意識してないふりをしながら、意識しすぎていた。


理由は思い当たった。

冬休み中に咲と会うことはなかったけど、イルミネーションでつないだ手の感触や、そのあとの会話。

年明けのちょっとしたメッセージのやりとり。

すべてが、まだ頭に残っている。


それがいけない。たぶん。


続く授業でも、ふとした瞬間に咲の存在が気になってしまった。

咲が先生に指名され、「はい」と答えるその声が心地よかった。

隣の席の友達にペンを貸しているのを見て、(やさしいんだな)と思ってしまう。

いつもどおりの咲のはずなのに……。



昼休み。

咲は女子たち数人でお弁当を囲んでいた。


悠も友達と会話しながら、パンをかじる。

何気ないふりでつい咲のほうを見てしまった。


(……笑ってる)


ただそれだけで、胸があたたかくなった。

そして、一瞬、咲がこっちを見て、目が合った。

咲が自分に笑顔を向けてくれたように見えて、鼓動が高鳴った気がした。


悠はすぐに目を逸らした。


(……なんなんだよ、俺)


ため息を吐いて、口の中のパンをゆっくり飲み込んだ。

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